このところヨーロッパでは炭酸ガス問題で、
16歳の少女の訴えが英雄的に取り上げられています。
直接動画なんかの翻訳を見ていると、ヒステリックな物言いが苦手なので、
訳文を読んだりしていますが炭酸ガス=地球温暖化の進行、
と言う学説の信望者だという事だけしか見えてきません。
文章を見ても、それ以外の意見は聞き入れてくれそうに無い勢いです。
炭酸ガス=地球温暖化進行、この説が原因として重きを成さなかった場合、
その他の要因に対策が遅れて、逆に進行が早まってしまうのではないかとひやひやする訳ですが。
ダイヤモンド・オンラインによると
人類が掘り出して使った石油の量はすでに1兆リットル。
その石油のうち、化学製品などの原料として用いられるのは2割で
残りはエネルギー源として発電や輸送に費やされています。
石油由来のエネルギー需要は、今後もさらに増してゆくのは確実で、
世界のエネルギー需要は2030年時点で、現在より4割以上も増えるそうです。
石油の代替エネルギーとしての原子力発電は、すでに世界中で縮小、廃止の方向に。
風力、太陽光などの再生可能エネルギーは密度が低すぎて、現時点では実用に向きません。
現在の天然ガス発電による発電量を太陽光発電で全て賄うと、
地面に設置するパネル面積は現在の3000倍に広げなければならない計算となるそうです。
その設置には建築費、環境破壊、生態系も圧迫されると言うデメリットがあります。
今の技術レベルで再生可能エネルギーが主役になるのはかなり難しく、
当面は石油をはじめとする炭素化合物がエネルギーの主役です。
現在、有望な解決策として注目されるのが人工光合成。
2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸栄一博士の「クロスカップリング法」が、
植物の光合成を人工的に実現する手法として一躍注目され始めました。
植物がごく自然に行っている光合成は、太陽光のエネルギーを利用して大気中の二酸化炭素から
糖分(炭化水素、炭水化物)をつくり出しています。
人類が人工光合成の方法を確立すれば、未来永劫、無限のエネルギー源を手にすることができ、
現代化学の最重要テーマとして研究が続けられています
人工光合成は、(1)太陽光を用いる、(2)水を原料とする、
(3)化学的な変化により炭水化物、水素、その他の高エネルギー物質を生成する、
というのが定義です。
人工光合成のエネルギー変換効率が10%まで達すれば、太陽電池と同等です。
日本では、人工光合成化学プロセス技術研究組合による「人工光合成プロジェクト」
略すると「ARPChem」があるそうで、
太陽光と水を利用して水素を製造・出荷するプラントの実現を目標とするそうです。
現状、プラントから出荷される水素は、エネルギー用の燃料としてではなく、
エチレンやプロピレンなどの化学工業の原料として出荷され、
プラスチックなど化学製品の原料として使われるそうです。
燃料ではなく、化学製品の原料を生成するのは、
現行のインフラをすべて新しいシステムや設備に切り替えるには、膨大な投資が必要になるため、
現在の社会インフラを活用しつつ、少しずつ新しいシステムに変えてゆくと言う、現実的な手順を志向。
最初から水素をエネルギー源として生産・出荷するのではなく、価格を高めに設定し、
ポリマーなど、より高度で複雑な化学品への変換という高機能化することで、採算をとりやすくします。
経済産業省は2020年ごろに、水素の価格を450円/kgに下げることを目標としています。
その生成過程の人工光合成によって大幅に二酸化炭素を削減できると試算されます。
安く、しかも環境負荷の極めて少ない人工光合成のプロセスは、
地球全体を救うプロジェクトとなるとのこと。
現在、太陽光エネルギーの変換効率を、5.5%という世界トップレベルまで引き上げたそうです。
東芝や「ARPChem」に参加する住友化学、三井化学、三菱化学、TOTO、富士フイルムHDなど
株式でも注目されているようです。
考えてみれば、旧式の設備ほど炭酸ガス排出量は多いので、この時点で停止してしまえば
こういった対策研究なども停止してしまい、炭酸ガスを垂れ流すか、
文明を捨てるかの選択になると思うのですが、なんか、ヨーロッパでは盛り上がっているみたいです。
内燃機関の即時停止的な16歳の少女の意見は尊重するとしても、その責任は誰が担保するのでしょう?
100%迎合こそ無責任な話だと思いますが。
文明の恩恵を一番受けている北方ヨーロッパ人の意見としては、ちょっと弱い気がします。
焚き火のような、単純な暖房が炭酸ガスを一番出すと言う事も考えた方がいいかも知れません。
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