チチと「となりのトトロ」

ワタシのチチは、テレビは「ＮＨＫのニュースと、大相撲ダイジェストと、春夏の甲子園スペシャルしか見る価値はない！］と豪語するタイプで、子供時代のワタシにはチャンネル権はなかった。

本についても「物語りの本」と「知識を得る本」に分かれるとするなら、圧倒的に「知識を得る本」の味方の人であった、。
戦闘機の本とか軍艦の本とか、よく読んでたなぁ。ゴハンの本とか。

ちょこちょこ我家で預かっていた王子が３〜４才のころだったから、20年ほど前の話だ。

その日はテレビで何度目かの「となりのトトロ」を放送していた。
ワタシ自身大好きな作品なので、王子とふたりで「あっるこー、あっるこー、わたっしはげんき〜」と歌いながら見ていたのだった。

始まって少しして、チチがテレビの前に来た。
「むむ、やばい。王子が夢中になってみてるテレビのスイッチを切っちゃうような横暴なまねはしないだろうけど・・・」と心配していたところ、驚くかなチチはそのまま「となりのトトロ」を熱心に見ているではないか。ありえへん。
まぁ、それでも3人で熱心に見入ってるんだからいっか・・と思っていたら、「物語小説を読むのが大好きだけど想像力のないハハ」がやってきた

テレビにはネコバスが飛んでいた。
ハハはそれをみて「なにそれ、きもちわるい・・・」
最後まで言わさずにチチが言った「やかましい！ちゃんと見てから言え！」

ワタシは、そんなチチをみたのが生まれて初めてだったので、かなりビックリした。

結局、最後まで見たチチの心の中にはどんな感想と感動が残ったのだろう。
聞いといたらよかったわぁ。