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2018年12月12日22:33

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「おかえり、ブルゴーニュへ」ワインも人も熟成する

ブルゴーニュは、ボルドーと並ぶフランスのワイン生産地。
この映画を観た後は、美味しいワインが飲みたくなる。

おかえり、ブルゴーニュへ
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4610912
http://burgundy-movie.jp/

父親が長くないとの知らせに、10年前に家を出て世界を放浪した
長男のジャン(ピオ・マルマイ)が10年ぶりに帰ってきた。

家業のドメーヌ(ブルゴーニュのワイナリー)を、父親と
支えていたのは、妹のジュリエット(アナ・ジラルド)。

次男のジェレミー(フランソワ・シビル)は、
近くの別のドメーヌに婿入りをし、それなりの苦労がある。

長男の帰宅は、聖書の放蕩息子の譬えを思い出させる。
いかに彼自身に、家出を思い立つ切実なものがあろうとも、
残されたきょうだいには、自分勝手な長男と見えるだろう。

父親が亡くなり、3人は高額の相続税に頭を悩ますことに。
不動産にかかる税は、全てのワインを売り払っても足りない。
遺言は、3人の合意がないと家と土地は売れないとなっていた。

父亡き後初めての葡萄の収穫期となり、3人は協力して、
収穫や仕込みに精を出すが、それぞれに悩みを抱えていた。
色々揉めながらも、それぞれの事情に心を寄せ合う。

美しいブルゴーニュの葡萄畑、ワインの仕込みの光景、
私たちが飲むワインはこういう風に作られているのね。
オーストラリアのワインは若いうちに飲まれるが、
ブルゴーニュでは10年、20年と寝かすワインが多いとか。

葡萄汁を醸して深い味のワインができていくように、
きょうだいの生なぶつかり合いも、日々を過ごすうちに、
互いへの思いが深まっていく。

50万ユーロ(約6500万円)の相続税が、
え?そんなことで解決できるの?それならさっさと…と
思ったが、それも長男の問題が関わっていたからなのね。

葡萄畑の四季が美しい。


この映画、個人的には身に沁みた。
この3人が相続税額に驚き、葡萄畑や屋敷を売らないと、
払えないのではないかと、暗澹となるところ。

父親が亡くなった後、田舎の大きな庭付きの家と、
山林などが遺された。ハッキリ言って今の時代は、
駅近くでもない限り、田舎の不動産は二束三文。

しかし、庭の手水鉢、庭石、松の木までも税金がかかる。
いっそ、税務署で引き取ってください…と言いたいほどだが、
母が存命なのでそうもいかない。

都市部でもご近所には、かつて大きなお屋敷があり、
それが次々にマンションになっていった。
相続税対策だろうと思われるお宅も多かった。

こうして社会の不均衡を均して行くのだろうが、
農林業など土地から生産物をつくる業種は、
かくして日本では、どんどん減っていく。

この映画でも、すべてを売れば600万ユーロになるが、
生産物はその1パーセントにもならないと言われるシーンがあった。

いつの日か、食料安保が問題になるかもしれない程に、
日本の田畑も山林も荒れていくのだろうな。
そういった政治になっているのだから。
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