■小沢一郎「なぜ戦前の教育勅語をアレンジしないといけないのか」 柴山文科相の会見に批判相次ぐ
(キャリコネ - 10月03日 13:21)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=210&from=diary&id=5315464
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第4次安倍内閣発足に伴う内閣改造が10月2日に行われた。文部科学大臣に就任した柴山昌彦元総理補佐官は、同日に行った会見で教育勅語の内容について、
「今の道徳などに使える分野があり、普遍性がある」
と発言。さらに、現代的にアレンジをして検討する動きを「検討に値する」とコメントし、批判が上がっている。
自由党の小沢一郎代表は、ツイッターで「なぜ戦前の教育勅語をアレンジしないといけないのか。そもそも政権そのものが道徳的ではないのはどういうことなのか。もはや全てが悪い冗談でしかない」と投稿した。
教育勅語は明治天皇が国民道徳の基本を示したもので、1890年に発布され、戦前の教育で使用された。1947年の教育基本法制定に伴い、翌年に失効している。
「親兄弟友達を大事にしようというのに、教育勅語を持ち出す必要性はかけらもない」
日本共産党の宮本徹衆議院議員は、ツイッターで、
「許育勅語は、全体が、天皇が国民に対し、これこれの道徳を守れという命令であって、基本的人権を損ない、国民主権の憲法に反するから、国会で排除を決議した。普遍性のかけらもない」
「だいたい、親兄弟友達を大事にしようというのに、教育勅語を持ち出す必要性はかけらもない。わざわざ教育勅語を持ち出すのは、教育勅語復権・復活のよこしまな思いからでしょう。ダメです」
と投稿した。立憲民主党の有田芳生参議院議員は、「歴史認識が戦前回帰。文科相はすでに就任初日にして失格だ」とツイートしている。
小説家の中沢けいさんも「『同胞を大切にする、国際的協調を重んじる』などと当たり前のことを言うのになんで教育勅語を持ち出さなければならないのか。説明をして」と、発言に疑問を呈した。
ネット上では「日本人の道徳観を簡潔にまとめている」「戦前のものであれば全てだめなのか」と、柴山文科相に理解を示す声も上がっているが、反対の声が圧倒的に多い。
2017年3月、政府は教育勅語について「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定。野党や専門家からは「戦前回帰につながる」批判が上がっていた。同年4月には「政府として教育の場における活用を促す考えはない」との答弁を閣議決定している。
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教育勅語の成立には、井上毅と元田永孚が主な働きをしている。当時の日本は近代国家の要諦を学び始めたばかりであるから、この勅語がなぜ必要と思われたのか、から考えるべきであろう。
井上の思想や宗教の自由を侵さない思想と、元田の国家神道的な思想の対立は当時からあった。なにも戦争に負けなければ分からないほど当時の人たちはボンクラではなかったのである。
１８９０（明治２３）といえば、日清戦争よりも前である。大久保利通はすでに斃れ、江戸幕府から近代国家への切り替え、騒乱が漸く終わろうとしていた時期と言ってもよいだろう。帝国憲法が1889年（明治22年）なので、その翌年に出されたものであるから、前憲法との関係性が最も高いであろうと推測できる。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317610.htm
にある通り、憲法はできたが、教育については条文がなかった。また教育を法律で規定することは、時の政権によって偏りが発生する恐れもあった。そこで、教育方針を決めるための何かが必要であった。
そのような背景で作成されたものであるから、内容は具体性に乏しいものであった事は仕方がない。ここに書かれたものは当時の日本人がどのような人材を求めているかを書いたものである。
よってそこには人類に普遍的と思われる価値観と、当時の日本にとっての普遍性の混在であったと考えるのが妥当であろう。
朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ��ヲ樹ツルコト深厚ナリ
私が思いますに、日本の始まりは立派な事件であり、それが徳によってなされたことを評価します。
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ�外薀諒ジ史鰌薀忘．紡献�
人民が忠、孝、美を大切にすることがこの国を良くします、よって教育もこれが肝要です。
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ��器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ
孝、友、和、信、恭儉、博愛な精神で、學、業、智に勤勉で、��を求め、そのような人材が、公に溢れ、法を尊重する。
一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
もし国難にあれば、義により公のために働き、皇国の発展に資する
是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン
こういう行動によって、現在の忠臣としてだけではなく、祖先たちも誇りと感じてくれるであろう。
斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス
こういう価値観は現在に帝国のみならず、過去においても正しいものだし、世界のどこにおいても通ずる考えである。
朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其��ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ
私はこういう理想となる人間となるよう努力するつもりだ。臣民のみなもそうして欲しい。
明治二十三年十月三十日
御名御璽
といった感じであろう。時代背景を考えれば皇祖皇宗が盛り盛りであるのは仕方がないとしても、道徳と呼ばれる分野の価値観は、当然の話しだが、そう変わっていない事は明白だ。
ならば、重要なのは過去から変わっていない部分ではなく、この中で、現在では決して合意できない箇所であろう。特に皇国のため、という部分を取り除いたとしても、ここにあるのは公と私の対立であると思われる。
当時の日本は、司馬遼太郎も書いたように建国に対する熱意に溢れていた。そういう人々は、国家のために銃をもって戦場に行くことは当然であったし、伊藤博文でさえ、最後は銃をもって戦うと語っていた。
そういう人たちにとって日本という国のために自ら死地に向かうことは、全員ではないにしても、コンセンサスのある考えであったろう。
公のために参加することについて警戒を抱くようになったのは、これも多くの人にとっては当然ながら敗戦の結果であって、政治というものは決して信用してはならない、信用してしまえば、敗戦に至る戦争において、最後まできれいごとを言い続ける、という事を自覚したからであろう。
最後のひとりまで戦うと言っていたじゃないか、と本気になっていた人間が間抜けだったのである。政府の中枢にそんなことを言っていた人は一人もいなかった。戦争が終わった途端、保身に走った連中のなんと多いことか。
ならば、現在の主流になっている自己責任という言葉も、ここに端を発すると考えるのが妥当である。誰も野暮だから言い返さなかったが、どれだけ痛い目にあっても、子供のすべてを失ったとしても、それは自己責任として受け入れるしかなかったのである。
自己責任とは自分で責任を取るという意味ではない。政府は誰も責任と取らない。取らないようにしか動かない。だから、何が起きても自分で勝手にやりくりするしかない、という意味であろう。
教育勅語の中心にあるものは徳であったが、当然だが、国家が倒れてしまえば、徳などというものは残りはしなかったのである。少なくとも、政府と結びつくような徳というものは。
あの戦争で確かに失われたものが国体というものであって、国体の護持が唯一の条件であったにもかかわらず、民と国の関わりの中から、国体という接着剤は失われた。
では何が今のこの国を纏めているのか。少なくとも、天皇に頼った立憲君主制を必要としなくなったのは確かであって、だが、我々が国という時、遠く聖徳太子の時代まで遡れることができるのもまた事実だ。
何かがこの国を貫いている。その中心に天皇家があるのは間違いないのであるが、それはアメリカでいえば憲法と同じものであろうか。
権威と権力が国家に欠かせないとして、帝国はこのふたつを合一にしようとした。だがそれが無理体であったことは間違いない。権威と権力は常に分離しているのが望ましい。その望ましい形にある。
だとすれば、それが合一の時代に書かれた教育勅語が必要という話はない。では、これを望む人たちが「徳」を重んじる理由はどこにあるのか。
なぜ道徳を科目として教育課程の中に入れたのか。なぜ、徳というものを重要視して江戸しぐさみたいなものを愛好するのか。
失われた何かがあり、それを埋めるために「徳」が丁度いいと考えたのか。では今の世代には本当に「徳」はないのか。
恐らく、国家という価値観によらなければアイデンティティを保てない人々がいる。それは国家における権威の喪失の証拠とみなしてもよいだろう。
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