専門の国語について述べましょう。
私の専門の現代文、古文、漢文は、読む量を10倍くらい増やさないといけません。
それが高校では難しいからこそ塾に来るという現象があります。
副読本を大量に使って、レベル別クラス編成をすれば別です。
しかし、
1 レベル別クラス編成には反対論が多い。
保護者は、総論に賛成であっても、「なぜうちの子のクラスの進度が遅いのか」などとクレームをつけてくる場合がありますから、なかなかうまく行きません。
2 教材研究の時間がない。
という壁が立ちふさがっていますから、塾に通わせます。
実は、予備校の原動力というのは、このあたりにあります。
また、高校教員の養成方法も、到底、合格点を上げられません。
百人の定員の国文科があるとします。
卒論のゼミは、
万葉集など上代10人
源氏など中古は、30人
徒然など中世5人
歌舞伎や『雨月物語』などがある近世は、10人
国語学5人
夏目漱石など近代が一番多く、35人
漢文は2人程度です。
大学の単位というものは、何とかなるものですから、
近代でいい論文があるが、漢文は受験生レベル以下。英語で稼いで大学に入ったから。
という人は実に多いです。
だから、結構な実績を挙げている進学校も、漢文の専門家が一人もいないということも珍しくありません。
現在でも全然機能していないのに、
教科の枠を破壊したらどうなるでしょうか。
どんなに立派な指導要領を作っても、教えられる人がいないと、絵に描いた餅です。
今でも、アップアップしているのに、「古典探求」など、夢のまた夢です。
その結果、予備校に生徒が押し寄せたら、私にとっては得な変化ですが、
金がないと教育を受けられないという格差が進行するばかりです。
現状で、新指導要領をどうしても強行したいなら、
学校の枠を破壊して、各ジャンルの専門家の講演会のようなものに参加して単位を取らせるしかないと思います。
この専門家とは、高校の先生で構いませんが、近代の人が漢文を教えるようなことがあってはいけません、
長期的には、大学と教員採用試験を大幅に変えないといけませんね。
■高卒時に「英字新聞8割理解」の目標も 大幅改定の新指導要領に課題
(AERA dot. - 04月22日 07:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=5081254
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