先週私のブログで、大映京都撮影所の名物脇役・杉山昌三九さんを取り上げ、彼の最後の
出演作品が「玄海遊侠伝 破れかぶれ」であることを書きました。
そのブログを見て早速コメントを寄せてくれたもと大映女優さんが居ます。南美川洋子さんで
す。彼女に了解を取っては居ませんが、当時の南美川洋子さんのポジションや心構えが察せ
られますし、また勝ちゃんの人柄などがよく判る一文なので敢えてご紹介したいと思います。
「玄海遊侠伝のエピソード」南美川洋子
玄海遊侠伝は、私にとって大変思い出深い作品の1つになっています。あの映画の見せ場
は最後の方のシーンで、勝さんと松方さんと私が、大群衆の中で立ち回りをする場面があり
ます。撮り直しナシNGなしの超ロングシーンで、何と松方さんの刀が私の顔を直撃、失神し
て倒れてしまいました。作品になったそのシーンをじっくり見ると、確かに私だけが倒れて、
勝さん松方さんだけで進んで行くのが撮れています。(笑)
正気に戻った時、私の顔は見るも無残に腫れ上がり、「これでもう女優は終りだ」と痛さと
ショックに泣き崩れている中で、勝さんがお弟子さんたちに「牛肉の塊を買ってこい」とおっし
ゃり、泣きながらまっていると、大きな牛肉を直に私の頬に当てて下さいました。多分氷で冷
やしてしまうと紫色の内出血になってしまうからとの知恵だったと思います。
当然撮影は中止で、何日かは使い物にならなかったと記憶しています。あの時の勝さんの迅
速な指示と決断のお蔭で、紫色の顔にはならずに済んだと感謝しております。もし機会があ
りましたら、あの超ロングシーンをきばたきせずに見てみてくださいね。
各作品に思い出がたくさん詰まっています。女優という職業に携われて幸せでした。
↑明るく元気で美しい現在の南美川さん
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