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2016年06月20日00:06

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幻の『スパイ小説にみる国際政治』と、高畠通敏先生

映画「ブリッジ・オブ・スパイ」を見て、思い出したこと。
この作品は実話がもとだけれど、
実話に近いような、シリアスなスパイ小説はたくさんある。

故高畠通敏先生は、立教大学の先生で、選挙の計量分析の計量政治学で有名だが、
『政治の論理と市民』、『生活者の政治学』というご本があるように、
市民の政治参加を望まれ、市民のための政治学を説いておられた。

仕事をしていたときは時々、立教大学のお部屋を訪ねて、お話を伺うことも多かった。
いつも穏やかに微笑みながら、いろいろ教えてくださった。

ある時、「アフガニスタンや、イラン、トルコのあたりには、山岳民族がいるんだが」
と話され、
「ああ、クルド人ですね」と言ったら、「どうして知っているの?」とおっしゃる。

いまでこそクルドの人々についてご存知の方も多いと思うけれど、
30年ほど前は、まだ新聞記事も少なく、あまり知られていなかったと思う。

「あの…読んだばかりのケン・フォレットのスパイ小説で…」とお答えすると、
「そうか!」と大笑いされ、「先生もスパイ小説なんて読まれるのですか?」
「もちろん、読むよ」と。そのあと、話が盛り上がってしまった。

そして、「『スパイ小説にみる国際政治』という本を書いてください」
「それは面白そうだね。まずリストアップして」と題も決まってしまった。

「ル・カレは東西対立だね」「フリーマントルも外せませんね」
「サマセット・モームも書いているよ」「トム・クランシーはいかがでしょう?」
「第一次大戦前のホームズにもあるね」「ケン・フォレットも入れてください」
と、2人で名前を挙げては、年代順、地域別など国際政治との関係を
いろいろ挙げて、話し込んでしまった。

高畠先生がリタイアされたら、お書きくださるという話になったのだけれど、
先生は立教をリタイアされてから、駿河台大学に移られ、
2004年に、70歳で亡くなられてしまった。

たぶん、長生きされたとしても実際は、もっと真剣な政治学関連のご本を
書くことに忙しくしておられたと思うし、今の政治状況に関しても、
市民がどうあったらいいかを説いておられたことだろう。でも、もしかしたら、
幻の『スパイ小説にみる国際政治』も生まれていたかもしれない。

スパイ小説を読んだり映画を見たりするたびに、
あの立教大学の、本が積みあがった先生の研究室の夕べを思い出す。

今、ふと検索すると、先生のゼミのOB・OGの方々が、
読書会を続けておられることを知った。先生も本望だろう。

ところで、どなたかお書きになりませんか?映画も入れて、
『スパイ映画・小説にみる国際政治』 売れるんじゃないかしら?
(お書きになったら教えてね、買いますから!)
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