【DVD鑑賞記】
「スローターハウス5」
昔から、タイトルは良く聞くのに、見た事ないから見てみた。
自分の意思と関係なく、人生の様々な時期に、意識だけタイムスリップしてしまう男の話。
最初は、時系列をシャッフルしてるのかな?と思うんだけど、過去の時代でも、未来の記憶はあるの。
ナチスの捕虜になってた第二次世界大戦時代をメインに。
子供時代、終戦後の恋愛、結婚、そして子供が出来てグレるとか(笑)。
そして自分の死の瞬間まで、人生の様々な時期が、めまぐるしくシャッフルされる。
「フォレスト・ガンプ」ってこれが元ネタかなあ、とか思ったが、違うか。
ナチスの捕虜になってた収容所時代が、セットとか凄くて、「シンドラーのリスト」かよ!って感じ。
捕虜として酷いこともされるんだけど、割と放し飼いみたいな所もあって、日本人の考えとやっぱ違うんだなあ、とも思った。
これだけだと、SFというより、人間ドラマみたいですが、後半に凄いドンデン返しがあります。
ちょっと俗っぽい「2001年宇宙の旅」というか、最近だと、見た人も少ないから言っちゃうと、去年、封切られた「シグナル」みたいな?
この映画が凄いのは、そこからも話が続く所で、どうも我々は
過去→現在→未来
の順番で時間が流れてると思いがちですが、「過去も現在も未来もない。一瞬一瞬が全てだ」みたいなテーマだと思いました。
ちょっと調べた所、原作小説には、「なぜ主人公がタイムジャンプ出来るのか」と、「後半の、ドンデン返しの理由」が書かれているそうで、原作読まないと、わからない所も「2001年宇宙の旅」と一緒かあ、と思いました。
ただ、映画だけ見ても面白いし、ドンデン返しはビックリするし、映画で描かれてない部分は「見て察しろ」という感じで、映画も良く出来てます。
ただ、ふたつ、気になった点があって。
一つは「ああ、これ25年前とかに見たら、もっと感動出来たんだろな」
これ、日本公開は75年なんだけど、先ほどの「フォレスト・ガンプ」じゃないけど、似た映画が、今日までに沢山、出ちゃったんですよ。
ドンデン返しも、非常に俺好みなんだけど。
この後に作られた、いろんな映画で、似た様なのを見ちゃったというか。
あと、70年代の技術でやられると、「俺好みだけど…正直、絵面がチャチい」みたいな。
CG全盛時代の前、アナログ特撮の時代に見てたら、もっと「おおお!」と思ってたんだと思うんだよね。
あと、もう一つ。
戦時中、クライマックスで主人公が、ある惨劇に直面するんだけど、これが、あちらの人にとっては、我々の広島・長崎への原爆投下に匹敵する大事件らしいのね。
(劇中にも「広島以上の惨劇だ」というセリフがある)
で、原作小説だと、主人公がタイムジャンプできる様になったり、後半のドンデン返しの理由は、その惨劇に立ち会った事が理由らしい。
これも、我々、日本人にはピンと来ないだけど、逆に、あちらの観客には、ピンと来るのだろう。
(逆に、不謹慎な言い方かも知れないが、広島、長崎に起き変えると、日本人にはピンと来る)
よく「映画は時代や国境を越える」みたいに言われるけど、こういう部分で、越えられない事もあるよなあ、と思いました。
とはいえ、映画は見て良かったです。
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