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2015年09月13日12:28

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ロイヤル・オペラの「マクベス」はシェイクスピアへの原点回帰ですな

先日のNY旅行の際にも書いたが、書店をぶらぶらはなんか落ち着くのですよね。
先日旅行書を求めに地元の大きな書店にぶらっと寄ってみた。
目的のものは速攻で見つかったが、それ以外にもあっちにもこっちにも目移りする始末。
でもそのぶらぶら感がいいのよね。
思わぬ見つけもののもあったし、この感覚はアマゾンじゃできないよね。
もっとも地元のもうひとつの大きな書店は7月に閉鎖されたし、CDショップとおなじく時代の趨勢的には前時代的なのかも。

土曜は仕事帰りに上野へ。
もっともギリギリだったのと広小路の方じゃなく山の上のほうだったので、
酒悦の福神漬けは買いに行けませんでしたが・・・・

ロイヤル・オペラハウス「マクベス」@ 東京文化会館

英国のオペラハウスの5年ぶりの来日公演でこの日はヴェルディの初期のオペラ。
5年前は「椿姫」のドタキャン騒動なんかすったもんだもあったけど、基本ここのオペラハウスは音楽監督パッパーノの指揮に歌心があるので好きでロンドンまで観に行ったこともあるくらいです。

さて今回の「マクベス」英国のオペラハウス、主役も英国人のバリトン歌手ということもあってシェイクスピアの原点に帰ったかのような演出であり、オペラというよりもロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの新しい演出の「マクベス」を観たかの印象でした。
もちろん上質のシェイクスピア劇としてですが。

いちばんわかりやすい点としては、現在用いられているのはヴェルディが後年改訂したものだが、今回のROHの「マクベス」では改訂版ではカットされた初演時にクライマックスで倒されたマクベスのモノローグを復活させている点。
ここのあるなしだけでもオペラと劇の違いが大きく出てくる。
昨年メトロポリタン・オペラで観た「マクベス」ではマクベスがマクダフに倒され群衆の歓喜に包まれるなかストンと終わるのでヴェルディの他のオペラ同様にオペラ的なカタルシスの余韻を残すが、
今回モノローグが入ることでそのカタルシスがそがれるもののシェイクスピア劇としてはマクベスの内面、言いたいことをぶつけるドラマツルギーがうまれ面白くもあった。

演出はキューブ状のセットでモノトーンを基調とし、やはり陰謀の内面性を重視したかのようなやはりシェイクスピアのお国柄を感じさせるものでした。
赤いターバンを巻いた魔女たちの黒子のように各場面にあらわれ、芝居を支配している印象を与える演出も面白かったです。

主役のキーンリサイドは「フィガロの結婚」の伯爵、他のヴェルディの「ドン・カルロ」のロドリーゴ、「椿姫」のジェルモンですばらしいバリトンにいつも惚れ惚れとしていたが、今回は歌手としてはそんなに印象を残さないものの、シェイクスピア俳優として内面の深さを十分に表現していた気もする。(実際カーテンコールの拍手も多かったし)

で、歌手としてはマクベス夫人役をつとめたモナスティルスカは素晴らしかったですね。
ウクライナ出身の歌手のようですが、とにかく圧倒されました。
昨年のメトロポリタンオペラで観たマクベス夫人はネトレプコさまでそちらは声の表現力、悪女っぽさは抜群だったのだが、今回のモナスティルスカはその声の圧倒感と、マクベス夫人の内面の寂しさを十分に出し切っておりなかなか良かったです。
ほかのオペラハウス、ほかの演目でも観てみたいソプラノ歌手です。




Giuseppe Verdi "MACBETH"

指揮 アントニオ・パッパーノ
演出 フィリダ・ロイド
再演監督 ダニエル・ドーナー

マクベス サイモン・キーンリサイド
マクベス夫人 リュドミラ・モナスティルスカ
バンクォー ライモンド・アチェト
マクダフ テオドール・イリンカイ
マルコム サミュエル・サッカー
ダンカン王 イアン・リンゼイ

ロイヤル・オペラ合唱団 / ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

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