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2015年09月01日21:39

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陳建民の麻婆豆腐のレシピ

 『きょうの料理』では月に1回、録画でかつての名物講師の名調子を振り返る回があります。先日は昭和56年に放送された陳建民の麻婆豆腐が取り上げられていました。

<材料>
木綿豆腐    2丁
にんにく     ひとかけ
ねぎ        1/2本
油         大さじ3
豚ひき肉     100g
豆板醤      大さじ1
甜麺醤      大さじ1
醤油        大さじ3
胡椒        少々
酒         大さじ1
水溶き片栗粉  大さじ3(片栗粉と水の比率は1:3)

 木綿豆腐は水切りせずに賽の目切りにする(本格的に作る場合は水切りして後で中華スープを加えるが、家庭では豆腐の水分をそれに充てる)。にんにくとねぎはみじん切りにする。
 中華鍋に油をなじませてから、豚ひき肉を投入し、ほぐしながらよく炒める。
 まず、豆板醤と甜麺醤、次いでにんにく、さらに醤油と胡椒と酒と、続けて調味料を加えていく。
 豆腐が温まったら、ねぎを加え、水溶き片栗粉でとろみをつけて出来上がり。

 試しにすべて半量にして作って食べてみました。豆腐2丁に対してとはいえ、醤油が大さじ3は塩分的に現在なら少し多めといえるかもしれなくて、ちょっと体を張ってしまったところではあります。
 油が多すぎたり、胡椒を入れ忘れたり(でも、できたから山椒を振った)、なにより私の腕なのであまり参考にはならないでしょうが、ちゃんとおいしくできました。でも、気のせいでなしに、やや醤油味の麻婆豆腐になってしまっていたと思います。

 試しに醤油を減量し、先に熱した中華鍋でにんにくと生姜と唐辛子を炒め、そこへ豚ひき肉を投入するアレンジを加えてみたところ、やはり、余計なことをすべきではないというべきか、なんだかちょっと不思議に麻婆豆腐から外れてしまったような気がしました。

 結論として、丸美屋の麻婆豆腐は豆腐を買ってくるだけで手軽に作ることができますし、本当によくできていますから、手っ取り早く作って食べるぶんには、それで十分でしょう。ひき肉は保存に気を使いますし、豆板醤と甜麺醤はそうしばしば使うものではないでしょうから、麻婆豆腐のために用意するかどうかは微妙な気がします。
 個人的には丸美屋なしでいかに麻婆豆腐ができるのか興味があったので挑戦しまして、まあ、悪くはないわけですけど、丸美屋を超えるのは大仕事ですな。丸美屋は、挑むこと自体にそれなりの覚悟を要する難峰といえましょう。それから、昭和56年当時に豆板醤と甜麺醤の調味料がどれほど一般的だったのか、気になるところではありました。

 番組中の陳建民は超片言なのに、そのことにまるで怖じる様子もなく、ひたすら饒舌です。アシスタントについた女性アナウンサーと軽口をたたきあって笑ったりすることもありました。
 最初は分量通りに作ってみるにせよ、慣れてきたら自分の感覚で量を加減し、自分がおいしいと思える料理を作らなくてはならない、そうでなくては食べた人がおいしいと思える料理にはならないと力説してもいます。当然、この内容をスムーズに言葉にはできないので、それっぽい単語をつなぎ合わせた内容を、女性アナウンサーが意味の通るように言い直し、それに対して「うんうん、そうそう」とうなずいていました。
 しかし、母国語で説明するにしてもこみいった内容になるはずの上記の発言について、それで意を尽くしているとはとても思えず、その不十分なところに含蓄があるといえなくもないですけど、私みたいに心の狭い人間なんかは「おいおい、大丈夫かよ」という気持ちの方が先に立ってしまいます。

 ちょっと興味深いのは、女性アナウンサーが自分の提示した解釈について、陳建民の同意が得られると(あんまり吟味せずに同意しているようにも見えましたが)、心底ほっとしたような仕草をみせることです。料理そのものについてはかなりリハーサルをしているはずですが、陳建民の発言については出たとこ勝負だったみたいです。
 今なら、おもしろくて(あるいは、おもしろっぽくて)特にコードに引っかからなければそのまま放送しちゃえという雰囲気がなきにしもあらずですが(本当はもっといろいろあるでしょうけど)、この当時はまだいろいろ厳しかったのではないでしょうか。それでもあえて放送されているというあたりに、なにかしら意義を認めていたのか、それとも、やっぱり、おもしろかったからだけなのか、少し気にはなります。

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