mixiユーザー(id:14438782)

2014年08月31日10:52

75 view

鎧武

 そういえば、次の仮面ライダーが発表になった。ということは、鎧武もそろそろ終わりである。時期的にもそうだし、たしかに話も佳境へ差し掛かっている。

 なんかまあ、鎧武はひたすらかっこよかった。馬に乗って爆走してしまうし、変身は法螺貝が鳴ってソイヤ!の掛け声ととともに頭上の空間がファスナーで開いてそこから果物が降りてきて、鎧の形に変形して装着する。
 こう書くと間抜けみたいだけど、そこは演出でなんか爽快でかっこいいんである。

 とはいえ、ネットでの評判はよくないらしく、期待が盛り上がったところへ、実際にやっているのが序盤はストリートダンスチームの場所取りだったりしたもんで、まあ、しょうがないかもしれなかった。

 しかし、個人的にはとにかく出来のいい仮面ライダーだった。メインのキャストは知らない若い人たちばかりだけど、みなそれぞれきちんと作品世界で割り当てられた「らしさ」の雰囲気を身にまとっている。主人公の一本気な熱血さ、凌馬の怪しさ、耀子のイッてる感じ(これはややマイルドになってしまったけれど)、戒斗の力を希求する気持ちの強さ、光実の歪んではいるけれど舞への思いの深さ。特に後二者はその拘泥が自身を滅ぼす域にまで達していることを表現できていて、でも、仮面ライダーでそこまでやらんでもいいのになと、こちらがむしろ心配するほどだった。
 ロケーションもなかなか凝っていて、日本にこういう場所があったんだとしばし画面を見入ることもたびたびあった。

 シナリオもちゃんと練ってあった。そんなの当たり前と思うかもしれないけど、ワンクールのドラマでも最後まで詰めずに中盤の反応でラストを決めることが多いらしい。テレビドラマに限らず、コミックの連載などもそうだけれど、続きものというのはラストの秀逸さより、次回への引きの強さが重視されがちで、思わせぶりなシーンを撒き散らした挙句、ろくすっぽ回収せずむりくり撤収みたいなのが引きもきらないのである。

 そういうのが続きすぎて、さすがにアレだと思ったのか、鎧武ではきちんと最後までまとめてある雰囲気で、実際に結末が近くなるにつれ手際よく回収されている。
 脚本を担当しているのは『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』の人で、そちらは未見だけれど、聞いた話を自分なりに解釈した感じだと、「自分が打ち倒した敵は自分自身のなれの果てである」とか、「力を得たものは、その力ゆえに周囲から拒絶される/力を持つことの意味を喪失させられる」といった、運命の皮肉みたいなものを基本モチーフにしているらしく、たしかに鎧武にはそういう要素が散りばめられている。

 やっちまったなというシーンもないではなくて、舞台となる場所で異次元の植物が繁茂しすぎたことを知った外の世界がミサイルで街ごと吹き飛ばそうとする場面があったが、ここはさすがに無理がありすぎた。物語の世界をどこまで広げるかは難しい判断を求められるところだけど、さすがに全世界まで広げると話の枠組みが崩壊してしまう。案の定、その後、そのくだりはなかったことなって話はどんどん進んでいるけれど、ミサイルを射ってきた以上はその後も介入を試みるのが当然なはずで、必要のないシーンを入れたことで不自然さだけが置き土産になってしまった居心地の悪さは否めない。

 そんな瑕瑾もないではないながら、基本的には各要素がきわめて高い精度で統合されたドラマと成立していると思う。一年という長丁場を考慮して、それを維持するための体力・精神力を想定すると、驚異的ですらある。このまま最後まで走りきってほしいと思う反面、最後の最後でどんでん返しがあって、すべてぶち壊しになるのも悪くない気はする。
 日曜の朝って、なんかそんな時間帯ではある。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年08月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

最近の日記

もっと見る