ビートルズは、プログレの源流である。アイドル・バンドのビート・ポップからスタートして、大成功した後では、ロックをよりアーティスティックなものにしようと志向した。ビートルズの「サージェント・ぺパーズ」はプログレの元祖だと言う人もいる。ロックをヒット・シングルだけでなく、アルバム単位で作品にしたのも、ビートルズだった。その後のロックは、ビートルズに多くを負っている。
・ 曲 バンド アルバム
�� Rain child / Octopus [ Restless night 1970 UK ]
オクトパスは、ナイジェルとポールのグリッグス兄弟を中心とするバンド。メロディアスでビートもあって、プログレに近寄った良質なポップスだ。６０年代のロックン・ロールの中からビートルズが開拓して行ったブリティッシュな感性をうまく結晶化した。ビートの効いた楽しい曲から、切々としたビージーズのような曲まで、メロディのきれいな曲がずらり。ジャケットに描かれた「タコの腕を持つ女性」も実に刺激的。
�� Marigold conjunction / Stackridge [ Stackridge 1971 UK ]
スタックリッジは、当時から「田舎のビートルズ」と言われていた。そのように呼ばれたとおり、曲は優しくて牧歌的。５人編成のメンバーには、フルート奏者とヴァイオリン奏者がいる。この曲でも、バックにずっとヴァイオリンが鳴っている。アコースティック風味の強さが田園調。ポップとプログレをつなぐ中間地点にいたバンドであった。
�� Grass / Pretty Things [ Parachuto 1970 UK ]
プリティ・シングスは、プログレ基本編成の５人組で、１９７０年に既に５作目めというベテランだった。アンダーグラウンドのシーンから出てきたが、難解にならずポップな方向に行って、イギリスではかなり成功していた。高めのヴォーカルがシャウト気味の歌い方をするところでは、ジョン・レノンも彷彿とさせる。メトロトンが鳴っているが、当時、この楽器を使用することは「前衛的」だったのだ。
�� The maffin man / The World Of Oz [ The World Of Oz 1969 UK ]
ワールド・オブ・オズは、アイドルっぽい容姿の４人組。軽快で楽しくてメロディアス。まさに初期ビートルズの後を狙ったのだろう。ヴァイオリンなどストリングスが鳴り、音造りがそれなりに凝っている。細い声で、軽いドラムス。ビージーズに似たコーラスも出てくる。全体的にアコースティックなのでトラッドを思わせるところもあり、その延長上で中国風のエキゾチックな曲もある。
�� Eventide / Rabitt [ Boys will be boys 1976 South Africa ]
後にイエスで活躍するトレヴァー・ラビンが南アフリカにいた頃に作っていたのが、ラビット。４人組だが、ラビンがヴォーカル、ギター、キーボードを担当するので、キーボード奏者が２人いる。透明な声のヴォーカルに、ノリノリのコーラス。南アのアイドルでヒットチャートの常連だったという。イエス加入後は、ここで見せたラビンの才能が多彩に開花した。
�� Momma I need / The Gods [ To samuel a son 1969 UK ]
ゴッズという神をも怖れぬ名前のバンドは、後のユーライア・ヒープの中心人物ケン・ヘンズレーが作った。一時、グレッグ・レイクも在籍した。さすがブリティッシュというきれいなメロディーの軽快な曲が多いが、コーラスが少しばらばらになるところもある。この曲は、「ママ」と呼びかけを繰り返す。マザコンの曲は女性名の曲と同様に、メロディアスで良い曲が多い。
�� Calling occupants / Klaatu [ Klaatu 1976 Canada ]
カナダのクラトゥは、３人組だが、うち２人がギターのほかキーボードも弾くので、音は分厚い。デビューの冒頭を飾るこの曲は、優しく慈雨が降るかのよう。ポップだが、メロトロンも使ってシンフォ寄りのサウンド。１９７６年という時期は、既にプログレを経由して、再びポップに回帰しているので、それまでのプログレの実験成果が様々に盛り込まれている。
�� Your mother really doesn't aprreciate too much our friendship but I don't mind / Hojas [ Hojas 1975 Ulguay]
南米ウルグアイのオハスは、ビートルズ・タイプの４人組。というかリズムやメロディーがノリノリで、初期ビートルズの直系だ。ヴォーカリストがキーボードを弾いていて、オルガンが印象的。英語で歌っていることもあって、辺境にありがちな田舎くささはない。以前、ウルグアイの人と話したことがあるが、小さい国だけど南米ではとくに所得水準が高くて、音楽にも力を入れているのだという。
�� Kilroy was here / The Move [ The collection 1967-1970 UK ]
ムーヴは、エレクトリック・ライト・オーケストラの前身バンド。５人組で、軽いドラムスが、ビート・ポップの時代を象徴している。古臭いけど、メロディー重視の良い時代だったのではないか。バックにリコーダーを鳴らす曲があるなど少し実験もしている。この後、メンバーはポップに飽き足らず、弦楽器群を加えてよりプログレッシブなＥＬＯに変身して行く。
�� Hobo / Beggars Opera [ Pathfinder 1972 UK ]
ベガーズ・オペラは、プログレ基本編成の５人。１９７２年というとプログレがシーンを席巻している時期なので、オルガンの音が重くてすっかりプログレ風になっている。しかしプログレ５大バンドなどに比べれば、遥かにポップで軽い。ＥＬ＆Ｐがビートルズを演奏してみたみたいなサウンド。透明なハーモニーがきれいだ。
[次点] Home / Nirvana [ Local anaesthetic 1971 UK ]
ニルヴァーナは、５人組だが、チェロ奏者とかヴィオラ奏者のメンバーがいる。アメリカのバンドと区別するために、「ニルヴァーナＵＫ」と呼ばれることも。この曲は小曲をつなげた組曲風で、１９分もある。メロトロンも流れる。このようなところはすっかりプログレだが、なにしろサウンドがポップで軽い。出自は、ソフト・サイケなのだそうだ。パステルカラーの少女を描いたジャケットがなんとも幻想的で、音楽にも枯淡な味わいがある。
[番外] ( Theme from ) The Monkees（モンキーズのテーマ） / [ The Monkees 1966 USA ]
アメリカ産業界がビートルズに対抗してオーディションで４人の若者を選出した。産業ロックの元祖ともいえるモンキーズ。プログレとは何の関係もない。私も幼い頃に、「ザ・モンキーズ・ショウ」というテレビ番組をよく見たものだ。彼らは演奏はするが曲を作らない。ミュージシャンというよりも、むしろ俳優であり、コメディアンであった。で、小学生の私でも馬鹿にしていたのだが、今聴いてみるとなかなか楽しめる。メロディーとハーモニーに貴賤はない。と言いたいところけど、私の耳が退化しているのだろうか。
○その他候補にしたバンド
Barclay James Harvest (Titles, Jhon Lenonn's guitar),Electric Light Orchestra, Marspirami, Man, Worriors (Jon Anderson在籍), Zonbies,(以上UK), Golden Earring(Holland), Karat(Germany), The Beach Boys, Elf Project, Nimby (USA), Spectrum, Pirana (Austlaria), Collage(Nine songs of Jhon Lennon, Poland), Random Deeds(Hungary), O Terco(Alzentine),
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