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2013年07月24日16:19

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自己欺瞞

<アレルギー給食女児死亡>「完食」に協力しようとして

 ◇普段、あまりおかわりはせず
 東京都調布市の小学校で昨年12月、食物アレルギーのある5年生の女児(当時11歳)が給食後に死亡した事故は「おかわり」がきっかけだった。給食事故の起きたクラスでは当時「給食完食」を目標に掲げており、女児も協力しようとしてアレルギー食材の粉チーズが入ったチヂミを誤って食べ、その後ショック症状を起こして死亡した。女児の両親が23日発表したコメントの中で明らかにした。

 関係者によると、女児は普段、あまりおかわりをしなかったが、粉チーズを抜いたチヂミを食べた後、おかわりした際に粉チーズ入りのチヂミを食べた。この日、チヂミをおかわりする児童は少なく、女児は自分からおかわりを申し出た。給食後、おかわりした理由を友人に「完食記録に貢献したかったからだよ」と答えたという。

 女児の両親は「みんなと同じ物が食べられない日も多い中、周囲の役に立ちたいという思いが、このような結果を引き起こすことになろうとは」とのコメントを発表した。事故後の調布市の規定は、原因食材を全く使わない日に限り、おかわりができるよう改められた。【林奈緒美】


つぶやきにも書いたが、この完食推進運動のような教育は間違っていると思う。ここでは悲劇のように語られているが、これは医療過誤ならぬ教育過誤による過失事故というべきだ。


世界で食べ物がどれほど無駄になっているのかがよくわかるムービー「FOOD WASTE A Story of Excess」
http://goo.gl/sqLEa

◎ヨーロッパおよび北アメリカの消費者は1人当たり、毎年210〜250ポンド(約103〜114kg)の食糧を廃棄
◎何百人もの人々が飢えに苦しむ中、アメリカで生産された食品のうち半分は、非効率的な生産システムのために廃棄
◎アメリカ合衆国ではそれぞれが購入した食糧のうち、『生産』のために8%の食糧が失われ、『食品産業』で4%、『スーパーマーケット』で6%、『レストラン』で15%、『家庭』では25%が廃棄
◎これらの廃棄のためのコストは年間、約1650億ドル(16.5513091兆円)かかっており、この金額は、アメリカ合衆国の2011年度の海外経済援助費用の約5倍
◎1ガロン(約3.7ℓ)のミルクを捨てることは、1000ガロンの水を無駄にすることと同様。なぜならミルクを作るためには大量の新鮮な水の消費が必要
◎あなたが食品を捨てることは、栽培や生産、流通その全てを無駄にするも同然
◎食品廃棄物埋立て地からは推定16%ものメタンガスが排出
◎アメリカ人が廃棄する食糧の15%を捨てずに保存することで、毎年2500万人の人々を養うことが可能


こういう表面を見ただけの警句に対しても、意味がないと思うどころか怒りさえ感じる。小学校のアレルギーの事故も、残飯を出さないようにする表面的な美徳のためにもたらされたものだ。そんなに効率的にしたいなら全ての学校をナチスの絶滅収容所のようなシステムにすればいい。一粒の残飯も出ないどころか死体だって役立てる。効率の行きつく先はそんなところだ。

「アメリカ人が廃棄する食糧の15%を捨てずに保存することで、毎年2500万人の人々を養うことが可能」な訳がない。何で保存するだけで遠隔地の人々を養えるのだ。保存して次の食事に回せば地球の裏側の人の腹がふくれるとでも言うのか。保存のコストとリスクは誰が払うのか。浮いた食費をすべて寄付することを義務付けた法律でもあるというのか。
こんな数字をことさらにするのは無意味な罪悪感ばかりを増長させ、アレルギー体質の子供が間違った責務感を持ったように、過てる行動を生むだけだ。こんなインフォグラフィックを見て食べ物を無駄にしちゃいけないと完食する人がどれだけ増えようと、アフリカの飢えた子供は一人だって救われはしない。食糧事情というのはドメスティックな問題で、包括的なバランス問題にはなじまない。例えば先進国で半分以上が大学教育を受けていても、その知識が社会でほとんど生かされていないのに比べ、途上国では文字すら教わらない子供が多数いる。だからといって、先進国で大学に進まなくさせたところで、途上国の識字率は1%だって上がりはしないのと一緒だ。

残酷な現実に目を向ければ、世界は途上国の犠牲の上に成り立っているといえる。ものが行き渡らない人がいるから、世界の生産能力はかろうじて保たれているのだ。そこには非効率が生み出すロスも含まれる(遊びのないシステムはすぐに破綻するからだ)。これを全ての人々に平均的に行き渡らせるとすれば全く足りない。
食べ残し分を途上国に回せば世界から飢えがなくなるなんて考えは、極めて上から視線の傲慢なものだ。途上国はいつまでも余り物で我慢すると思うのか。中国のように当然自らもロスを出す先進国の仲間入りをしたいとなる。圧倒的に人口比の勝る途上国が先進国並みの消費をし出せば、すぐさま地球上の資源は枯渇する。食べ物だけ行きわたらせれば世界が平和になる訳ではない。飢えに苦しむ人々にパンを与えれば、彼らはそれで万々歳でもう何も望まないとでも思っているのか。先進国は格差を生み出すシステムの上に成り立っているくせに、なぜこんなことだけ共産主義的理想論を持ち出すのか。

こういうのを「自己欺瞞」と言うのだ。
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