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2011年09月06日01:10

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『山賊のむすめローニャ』

7月24日の日記「脚本『コクリコ坂から』」に書いた、ジブリが今回の『コクリコ坂から』に行き着く迄の経緯に、この『山賊のむすめローニャ』が登場します。

タイトルからして前時代的な価値観なのか、それともおとぎ話か…気になる存在だったのだけど、偶然にもそのDVDに図書館で巡り逢えたので、果たしてどうなのか確かめるために、借りて観てみた。

原作は「長くつ下のピッピ」「ロッタちゃん」シリーズの児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン。
中世のスウェーデンの古城と森を舞台にした、1984年作品。(もちろん実写映画)
1985年のベルリン国際映画祭で、”独創的な映画賞”を獲得した幻の名作…らしい。
監督は「長くつ下のピッピ」「マイライフ・アズ・ア・ドック」の、タージェ・ダニエルソン。(どちらも観ていました)

ストーリーは、「ローニャが生まれたのは、山全体に雷鳴がとどろく嵐の夜でした。山賊の頭であるマッティスの森はまっぷたつに割れてしまいましたが、マッティスはそのことにも全然気付かず、自分の生まれたばかりの娘ローニャを、喜びに満ちた眼差しで見守っていました。『ローニャよ、お前はもう、山賊であるわしの心を、その小さな盗んでしまったな』。周りにいる山賊たちもマッティスと同様にとても幸せそうです。しかしそれと時を同じくして、マッティスたちの父や祖父の代から、ずっと敵対しているもう一つの山賊の頭、ボルガにも子供が生まれていました。ビルクという男の子です。時は過ぎ、ローニャは森ですくすくと成長していきますが、ある日、森の中でビルクと出会います。はじめはぶつかり合うローニャとビルクでしたが、いつしか2人はお互いを『きょうだい』と呼ぶほど仲良くなってしまったのです…。」と、パッケージ裏にある。

宮崎(父)さんが、好きそう〜な『世界』ではある。(笑)
主人公は11歳の野生みのある少女で、その環境はまさに「風の谷」の「風車のないバージョン」。
ファンタジーの要素もありながら、「山賊」にはなりたがらない社会性を固持しつつ、スウェーデンならではの「自然」を謳歌し、その息吹を表現しようとしているわけで、つい引き込まれて観てしまいますが…面白いけどわけがわかりません(笑)。この辺は、原作に引きずられている感も強いですね。。。

原作が長いのか、スウェーデン人が饒舌なのはわからないけれど、「そのひと言を言わずにわかって欲しい」…という回りくどい当時の表現が、今となっては何とももどかしく感じてしまう。大雑把に、表現が大袈裟だし。(笑)
『春を呼ぶ叫び』は、オオカミの遠吠えのようで、つまり意味がわかりません。そんな気分になるんだろうな〜としか。。。

メイキングを観ると、CG開発以前の映像だけど、それでもこだわって素晴らしく丁寧に作られています。当時としては画期的な方法論だったでしょう。

しかし、問題はその『世界』なのです。
セリフや家族愛には時代を超えたものがあるにも関わらず、設定やシナリオやストーリーに、『普遍性』を必要としないどころか意識すらしていない部分が見受けられる。「山賊」だしね。
この映画だけで「ファンタジー」を語るつもりはありませんが、企画としては確かに弱い…どころか、今観れば時代に逆行しているのがハッキリわかります。
原作のリンドグレーンも、書いた当時はメッセージ性は考えずに、ただ書き連ねただけだと独白。

アレンジが得意のジブリですが、どうアレンジしたとして、児童文学の「おとぎ話」…の域を越えることが出来なかったのでしょう。。。
ま、このまま作るわけじゃないにしても、当たり前かなぁ。
うまく作っても『ハウルの動く城』より違和感が漂ったかも知れません。

ルパンは世紀の大泥棒ですが、対抗する権力や悪に対峙していましたから、その存在が許された人物でした。でも「山賊」となると、暴力を使って金品を巻き上げる集団ですから、例えほがらかに描こうと現在では許されるハズもありません。。。


ただ、宮崎(父)さんが、好きそう〜な『世界』なのです。

魅力はわかりました(笑)。^_^
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