前回、売り出し中のアイドルは知名度を高めつつ飽きられないように露出をコントロールするのが大切みたいなことを書いたので、それに関連して東京テレビの深夜番組『おねだりマスカット』について触れてみます。
『おねだりマスカット』はおぎやはぎが司会を務める、AV女優たちがたくさんでてくるバラエティ番組です。AV女優たちがたくさんでてくる東テレ深夜のバラエティ番組なのに、ほとんどエロ要素はありません。ほとんどない、ということは少しはあるのですが、知りませんけどふつうのアイドル番組よりおとなしいぐらいでしょうか。
しかし、「東テレの深夜のAV女優がたくさん出てくるバラエティなのに、おっぱいもないとはなにごとだ! けしからん!」という声も聞かれず、おおむね好評をもって迎えられているようです。
思うにこの番組のいいところは、なんともいえない風通しのよさ、抜けた感じ、解放感ではないでしょうか。
80年代以降、テレビの裏側についてはほとんど語りつくされてきて、視聴者にも共有されるようになってしまいました。バラエティも、いい加減に駄弁っているように見えて、いろいろと触れてはいけない事項も多く、それこそ針の穴を通すように番組を進行させている場合があります。
アイドルの起用については、なにをどこまで踏みこんでいいかが神経を使うところで、事務所としてはここが唯一意識的にコントロールできる部分ですから真剣でしょうし、それをさばいていく現場のディレクターは大変だろうと思います。
なかには、「その間合いのぎりぎりのところを見切る快感がたまらんのじゃ」というディープなマニアの人もいるかもしれませんが、深夜番組の視聴者の大多数は宮本武蔵ではないので、リラックスして気軽に見たいという人の方が多いのではないでしょうか。
そこのところ、AV女優ならナーバスになる必要がありません。この番組を初めて見たとき、突き抜けて吹っ切れた明るさみたいなものが不思議でした。しかし、エロなしでもAV女優を起用することに意味があるとわかってからは、いちいち腑に落ちることばかりで、製作サイドの読み深さにうなることしきりです。
もっとも、本当のところは、どこまで見通しがあって作ったものか謎ですけれども。
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