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昨日の釧路はそんなに寒くなかった。
まだまだ朝晩肌寒く感じはするものの、気温は1日中10℃以下に下がることはなかった。
釧路にも遅い春がやってきた。
それと同時に昼前から釧路の街を海霧が覆い始め、夕方にはご覧の通りの風景に(写真1)。
中心街でこれだけ濃い霧は久しぶり、これぞ「霧のまち釧路」である。
太平洋に面した釧路では、春から夏に掛けて、温かい海流に冷たいオホーツク海高気圧の空気が触れ、海霧が発生し、南風に乗って街中が霧に包まれる。
釧路は、年間90日ほど霧が発生する国内でも有数の霧の多い都市だが、その多くが春から夏に発生する。
釧路では、長い長い寒かった冬が明けると頻発する霧は、春の風物詩でもある。
霧の日が多い釧路では、ただ「霧」と呼ぶだけでなく、その性質によって何種類かの呼び名で言い分ける。
昨日の霧はかなり濃かったから、一般には「濃霧」なのだが、釧路では濃いか薄いかはあまり問わない。
濡れるか濡れないかが重要なのである。
昨日の霧は濃かったけれど、水蒸気のつぶが小さく、表を歩いても濡れない「ガス」と呼ばれる霧だった。
路面も濡れていない(写真2)。
1晩経って今朝になっても晴れず、ずっと濃霧は続いていた。
しっぽりと濡れている(写真3)。
雨つぶは肉眼で見えないが傘を差さないと濡れてしまうような状態で、こういう霧のことは釧路では「ジリ」と呼ぶ。
「傘持ってこなかったけどジリってきちゃったよ」などと言ったりする。
これで、視界が利いて遠くまで見えるのは霧ではなく、雨つぶが見えなくても「雨」と呼ぶ。
そして、出勤する頃には霧に煙った中でつぶが目で見える雨になっており、こうなると「霧雨」だ。
こう言い分けるのも霧が多い釧路の生活の知恵である。
いずれにしても、洗濯物はなかなか乾かない。
霧さえ晴れれば、すぐそこまで梅雨のないスカッとした爽やかな陽気が来ているはずだ。
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