mixiユーザー(id:809109)

2010年03月11日03:55

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「リボンブラ」 から 「ボンデージ」 までの話。

  





湯のみ 「これがウワサのリボンブラ♪」 でござる。

   …………………………

湯のみ 例年なれば、テレビでワコールのCMが始まるころは、ワコールのサブブランド 「ウイング」 や、トリンプのCMもお目見えすると思うのだが、そのようすがない。この不景気の影響じゃろうか。

湯のみ で、クダンのワコールの “リボンブラ” のCMじゃけん、すっかりヤラレてもたのです。耳から離れん。もっとも、オッサンの耳に残ってもシカタあるまい、ではあるが。

湯のみ いったい、ナニモノたちの仕業であるか、が気になりました

   作詞 = 仲畑貴志 (なかはた たかし)
   作曲 = 吉田ゐさお

   振り付け = みつばちまき
   ボーカル = 拝郷メイコ
   ディレクター = 河上優

だそうだ。知ってるのは仲畑貴志氏のみ。このヒトも息が長いネ。70年代末から80年代。バブル景気の盛り上がりに向けて “お祭り騒ぎ” になってゆくCM業界で、糸井重里などとともに、その中心にいた人物でゲス。

湯のみ 最近の作品ではこんなのが耳に残ってる。

   目のつけどころが、シャープでしょ
   ココロも満タンに、コスモ石油♪

湯のみ 歌の拝郷メイコ (はいごうめいこ) というヒトは Wikipedia に立っているので、知ってるひとは知ってるでござろう。本名=拝郷芽衣子。梶芽衣子と名前が同じだ…… 70年代は梶芽衣子さんが売り出した時代だった……

   …………………………

湯のみ 「リボンブラ」 の名前の由来は、真ん中のリボンみたいな部分に由来するらしい。それがどんなふうに画期的なのかは、アッシには知るヨシもない。

湯のみ なぜ、こんなことを調べたかというと、

   ブラとリボンの関係に心当たりがあったから

でござる。

湯のみ フランス語で 「ブラジャー」 を brassière とは言わない。 soutien-gorge 「スゥティヤンゴルジュ」 という。 brassière, bra は “英製仏語” である。この件については、すでに書いちょります。

   http://mixi.jp/view_diary.pl?id=674605580&owner_id=809109

湯のみ そうではありませんで、女性がアタマに巻きます

   ヘアバンド

ですね。アレを bandeau [ バん ' ドォ ] と言うのですね。そしてですね、

   ストラップ (肩ひも) のないブラ

のことも bandeau と言うんです。つまり、

   どちらも 「鉢巻き状」 の輪

ということです。

   …………………………

湯のみ フランス語で 「ひも状のもの」 を

   bande [ ' バーんド ]

と言います。コレは英語の

   band, bond

と同源です。ここがヤヤコシイんですが、これはもともとゲルマン語で

   *bandam 「帯状・ひも状のもの」
   *bendan 「ひもで縛る」

に由来します。動詞だと、英語で to bind [ ' バインド ] 「縛る」 となりました。英語の場合は、

   ゲルマン祖語 → 古ノルマン語 (スカンジナビア語)
       → バイキングによってブリテン島に (英語)

   ゲルマン祖語 → 古フランク語 →
       → フランク人によってフランスに (フランス語)
       → ノルマンコンクエストによってブリテン島に (英語)

という南北2系統によって、ほぼ同じ語形の語が入ってきて、合流したんですね。語形がソックリだから、区別ができない。

湯のみ これが日本に入ってきて 「バンド」 ですね。日本語では、「ベルト」 と 「バンド」 は同義語ですね。板東さんというヒトが、自己紹介するときに、自分のベルトを指さして、「バンドーです」 というシャレがありまさあね。あれは、英語では通用しない。

湯のみ 確かに、ウエストに巻くワッカ状のものを band と言います。女性のワンピースのウエストについていたりする。じゃあ、

   band と belt はナニがちがうのか?

湯のみ これはですね、

   カンジンなことは、 band は伸縮性があるワッカ

ということです。革ベルトには伸縮性はありませんやね。ウエストをしぼるために付いている帯状の飾りならば band と呼びうるんですね。しかし、

   手首に巻く “シュシュ” だって英語なら band

でしょう。「リストバンド」 というコトバがある。伸縮性がありますね。

湯のみ じゃあ、「リストベルト」 wrist belt というとどうなるか。革のベルト、腕時計のベルト、ですね。

湯のみ ちなみに、音楽のバンドは、語源が別です。ゲルマン語で 「印」 sign の意味。ヒトの集まり、「一団」、「一群」 が同じ “印” をすることから、「ヒトの集団」 の義。

   …………………………

湯のみ 古い時代のオランダ語に、

   ringband [ ' リン(グ)バンド ] 「首飾り」

というコトバがあったんですね。これは、英語の ring, band と同源の語を組み合わせたものです。現代オランダ語では、この語は消失しましたが、偶然、

   ringband 「リングを用いたルーズリーフバインダー」

という語がありやす。

湯のみ これがフランス語に入って、13世紀に、

   riban [ リ ' バん ] 「首飾り」。古フランス語

となりました。これが、

   ruban [ リュ ' バん ] 「リボン=ひも状・帯状のもの」

となりやした。

湯のみ 英語には、フランス語の riban が入って、

   riban [ ' リバン ] 「リボン」。中期英語 14世紀〜

からとなりましたな。これが、のちに、

   ribbon [ ' リバン ] 「リボン」

となるわけです。

湯のみ どうですか。「リボンブラ」 という名前を聞いたときに、

   ことによると、ワコールの命名には、
   こうした深謀遠慮があるんでは……

などと買いかぶったワケでござりますね。

   …………………………

湯のみ ついでにもうしあげますと、

   バンダナ

も、この仲間のコトバです。ただ、トテツもなく時間と距離の遠回りをしたコトバです。

   *bhendh- 「結ぶ」。印欧祖語

     *bendan 「結ぶ」。ゲルマン祖語
     *bandam 「帯状のもの」。ゲルマン祖語

     bandh- [ バンドㇷ〜 ] 「〜のまわりに巻く」。サンスクリット
     bándhana- [ ' バンドㇵナ〜 ]
      「結ぶこと・もの、しばること・もの」。サンスクリット

湯のみ こういうことなんすよ。

   bandhana サンスクリットもしくはヒンディ語など
    ↓
   bandana 「バンダナ」。ポルトガル語
    ↓
   bandan(n)a 「バンダナ」。英語 ※18世紀〜

   …………………………

湯のみ さきほど申し上げました bond 「きずな」 は、 band の異形 (方言形) で、現代英語では、 band と bond が併存する形になったワケでござります。

   bond は “しばるもの” であることから 「契約、証文」

の語義もあるわけです。

湯のみ でですね、

   bondage 「ボンデージ」 ですね

湯のみ これは、 bond 「しばる」 から来ていると思うでガショ? そこがコトバの恐ろしいところで、全然カンケーねえ、のです。

湯のみ 古ノルド語の 「住む」 という動詞から派生しているもので、

   bond 農奴

なんすね。
湯のみ -age というのはラテン語の -āticum 「〜アーティクム」 という抽象名詞をつくる語尾が訛ったもの。で、

   bondage 「農奴の境遇、とらわれの身」

と来るわけです。
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