仕事の休憩時間、人生の敗北者である男3人は熱き想いを語り合っていた。
通称ニッカは酔っ払って3000円もするガンプラ「Gアーマー」を購入し、昨日ガンダム部分を完成させたのだと熱く語った。
そして私はガンプラで苦い記憶が思い出された。
私が小学生の頃、ガンダムプラモは大ブームで誰もが買い求めたプラモデルだった。
商品入荷日の模型店巡りは当たり前で我々ガキ共はトレジャーハンター的な毎日を送っていたのだ。
平日に入荷されるおもちゃ屋さんに学校が終わってから向かっても既に売り切れ状態だった。
あまりにも悔しくて、幼い私は母に「お母さん、お願いだからガンダムプラモ買ってきて!」と必死に訴えた。
「わかったわ將士、買ってきてあげる」
「ありがとう!お母さん!!」
とても美しい家庭の一幕である。
さて、そのおもちゃ屋のガンプラ入荷日当日、母がガンプラを買ってくる事を信じて私は授業も上の空だった。
学校が終わると警察に追われる泥棒より速いスピードで家に帰宅。
私は母に叫んだ。
「お母さん!買って来てくれたっ!?」
「買ってきたわよ、はいこれ!」
「ありがとう!お母さん!!!あり・・・」
シャア専用ムサイ・・・
私の前に現れたのは人気商品のモビルスーツと呼ばれるロボットではなく、戦艦やキャラクターなどの誰も見向きもしない余り物のプラモデルなのだ。
私はモビルスーツと呼ばれるロボットが欲しかった・・・
「こんなのいらないよっ!」
「!!せっかく買ってきたのに、いらないなら捨てりゃあいいじゃない!!!」
ワァァァン!! 。・゚゚・(T◇T)・゚゚・。
とても悲しい家庭の一幕である。
その私の悲しい過去の話に通称ココリコが食いついた。
「僕は「旧ザク」のプラモデルが欲しかったんですけど、見つけたお店ではゲームウォッチと抱き合わせで売ってたんですよ!プラモデルは300円なのにゲームウォッチは4000円!旧ザク欲しさにお年玉を使って4300円払って買いましたけどね・・・」
「その店、ひでぇ〜〜〜〜!!!!」 (((゛◇゛)))
なんと悲しい物語か・・・
あの無我夢中で追い求めた少年時代のガンプラ。
あんなに執拗に物を欲しがるってのはもうないなあ・・・
大人になったのかな。
もう40だし。
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