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近年昭和の時代に製造された通称「うどん自販機」がブームらしい。
自分が高校生だった頃までだっただろうか、まだ世の中にコンビニなどなかった頃様々な自販機を設置して軽食類やドリンク類を24時間販売し、今で言うイートインコーナーでいつでも飲み食いできる「オートスナック(コインスナック)」がそこかしこにあり、大抵「うどん自販機」もあった。
24時間営業のファーストフード店やファミリーレストラン、さらにコンビニが普及して「オートスナック」は次々と姿を消し、もはや絶滅危惧種とも言える状況である。
ところが、近年インターネットの動画配信を中心に「レトロで面白い」と「オートスナック」全盛期を全然知らない若い世代にバズり、我々リアルタイムで知っている世代には「懐かしい」と火がつき、テレビ番組でも特集されるまでブームになってきた。
近年は、関東地方を中心に、廃業したオートスナックからレトロ自販機を集め、修理して何台も設置し新規に開業するオートスナックまで各地に現れる事態になってきており、観光名所のようにもなっているらしい。
中でも通称「うどん自販機」はレトロ自販機を代表する自販機として人気が高く、全国の「うどん自販機」を食べ歩く者まで出現しているらしい。
ただ、「うどん自販機」は新しいものでも製造後30年近く経っており、メーカーは製造していた3社とも自販機事業から撤退しており現在はサポートはなく、壊れてもすでに部品が手に入らないため簡単には直せないこともあり、全国に難題が現役で残っているのか分からないが今も現役で稼働している「うどん自販機」は大変貴重なのは間違いない。
自分も東京・八王子市の実家の近く、現在「デニーズ」冨士森公園店になっているところにかつてはオートスナックがあり、こづかいを握りしめて「うどん自販機」や「ハンバーガー自販機」で食べた思い出がある。
自分は去年の5月に秋田勤務になったが、秋田県にも現役の「うどん自販機」が残っている。
いちばん有名なのは道の駅秋田港セリオンスタにある自販機で、かつて近所の船舶食料商「佐原商店」に設置されていたもので、NHKの「ドキュメント72時間」でも「秋田・真冬の自販機の前で」として放送された自販機で、2016年に「佐原商店」が廃業し、その後道の駅に移設され今や「行列のできるうどん自販機」として有名である。
前置きが長くなったが、去年仕事で仙北市役所田沢湖庁舎を訪問した帰りに昼飯を食べに角館の店に立ち寄った。
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そのときは食堂コーナーで食べたが、広い駐車場の隅に24時間営業のオートスナック(自販機コーナー)があることに気付き、覗いてみたら「うどん自販機」が現役で設置されているのを発見していた。
秋田勤務しているうちに1度食べておかねばと思っていたが、そのときと同様に仕事で仙北市役所田沢湖庁舎を訪問した4月30日火曜日、用務が済んだらお昼になったので、秋田市の事務所に帰る道すがらその「雲沢観光ドラインブイン」に寄り、今回はオートスナックコーナーで昼飯として食べることにした。
平成初期までの製造で生産終了した「うどん自販機」でもあり紙幣は使えず硬貨でしか買うことができないのだが、自販機コーナーにはちゃんと両替機もある。
「うどん自販機」のメニューは2種類で、一般的には「天ぷらうどん」と「天ぷらそば」という組み合わせのラインナップがいちばん多いのではないかと思うが、「雲沢観光ドライブイン」の「うどん自販機」には「天ぷらそば」はなく、「天ぷらうどん」と「ラーメン」というラインナップなので、今回は少数派と思われる「ラーメン(350円)」のボタンを押す。
できあがるまでわずか25秒である。
できあがると下の取出口に下りてくるので、取り出して後ろのテーブルで食べる。
熱々ではないがぬるいというほどでもなく、電子レンジで温めなくても十分だったのでそのままいただく。
具材はなるとが1枚。
それとチャーシューではなく安っぽいハム、あとは薬味のねぎだけ。
味は自販機のラーメンだから推して知るべし、専門店の本格的なラーメンと比べるのは野暮だろう、安っぽい「自販機ラーメン」の味わいを楽しみながら麺は残り1口まで食べ進んだ。
別にスープが旨いわけじゃないが、あまりの懐かしさに感激し、塩分摂り過ぎ確定だが全つゆで完食。
350円と安いこともあってボリュームは少なく、「おやつ」とか「受験勉強の夜食」としてならこれで十分だが、昼食としては少々もの足りず、隣の自販機を覗いてみたら「カツ丼」を発見。
ついつい「カツ丼(400円)」のボタンも押してしまった。
こちらの自販機は冷蔵された商品がただ出てくるだけの自販機で、「うどん自販機」との間にあるこれも昭和チックなレトロな電子レンジで温めていただく。
冷蔵収納だからか消費期限は3日間となっており、冷凍ではない「カツ丼」が3日目まで持つのか少々心配だが、今回のは前日に作られた「カツ丼」だから大丈夫だろう。
卵とじのカツの下にはたまねぎだけじゃなく細切りにしたなるとも盛られていた。
早速食べてみる。
自販機用だからか味は濃いものの、普通の卵とじカツ丼である。
ご飯と共に食べても「カツ丼」として普通においしい。
ボリュームは少ないが、味はまともなカツ丼でありこれが400円で手軽に自販機で食べられるならコンビニの弁当なんかよりよっぽどいいじゃないかと思いながら残り1口まで食べ進んだ。
完食すれば、それぞれ量は少なかったものの「ラーメン」と「カツ丼」の2種類食べれば十分お腹も一杯になった。
これで総額750円で食べることができたわけで、味はともかく大満足である。
移設された有名な道の駅秋田港の「うどん自販機」と違ってこちらは「ずっと現役」と思われ、令和の今の時代でも昭和のままの雰囲気で食べることができるのも素晴らしいと思う。
これが関東地方だったら観光名所になると思うのだが、平日のお昼どきでも自分以外に近所のオッサンが1人買いに来ただけだったのが少々寂しいところである。
有名な道の駅秋田港にあるのを含め秋田県には「うどん自販機」は3台現存しているらしいので、ほかの2台も食べに行っておきたいと思う。
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