《新編 不穏の書、断章/フェルナンド・ペソア》
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フェルナンド・ペソアは、
生前はまったく無名だったそうです。
没後27,000点以上の草稿が詰まったトランクが発見され、
一挙にその名が知れ渡ったみたいです。
その後は、紙幣に肖像が使われたり、
1905年創業の老舗カフェの前に銅像が設置されるなど、
いまではポルトガルの国民的詩人と呼ばれているようです。
本書は架空の人物の手記という体裁をとっていますが、
まるでペソア本人の頭の中を覗き見ているようです。
生きることに対する虚無感、倦怠、
存在の不確かさなどについて、
とめどなく書き連ねてあります。
ペソアは70以上もの人格を創造して
作品を書き分けていたということですが、
自分が何者なのかということを知ろうとして
いろんな人格になりきり、
けっきょく何者でもなかったという
思いに至ったのかもしれません。
誰にとっても自分が何者で、
どこから来てどこへ行くのかというのは、
わかろうとしても知りようのないものです。
ペソアは膨大な文章を書き続けることで、
カタルシスを得ていたのかもしれませんね。
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