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2024年03月12日08:14

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経済談義第54回:ハイパーインフレ(4):条件考察

長期連載の経済談義シリーズ第54回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。


数回にわたり「ハイパーインフレ」について書いています。

前回では、僕が考えるハイパーインフレの定義と、物価と通貨発行量のループを形成する二つの条件を挙げました。

再掲しておくと、僕の定義は、
・「物価」と「通貨発行量」の相互作用がフィードバックループを形成して、そのループゲインが「1」を大きく超えること。

で、それが成立するための二つの条件は
条件1:「物価」の上昇が、「通貨発行量」の増加を引き起こす。
条件2:「通貨発行量」の増加が、「物価」の上昇を引き起こす。

でした。


前回説明したように、「条件1」は財政規律を失った政府においては容易に成立しえます。
ということは、問題はもう一つの「条件2」です。
「条件2」が今のところ成り立っていないことが、フィードバックループの形成を妨げ、ハイパーインフレの発生を防いでいるのだと考えられるのです。

しかし、通貨発行量の増加が物価の上昇を引き起こすかどうか、引き起こすとしてどれだけの物価上昇になるか、現在の経済学では今のところ確立した知見がありません。


ただ、通貨発行量と物価の関係についての学説というのは、みなさんどこかで聞いたことがありますね。
そうです、「貨幣数量説」です。

貨幣数量説についてはこの連載でも第45回で取り上げています。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984895588&owner_id=277042

貨幣数量説は、市場にあるモノの量と、発行された通貨の量の見合いで物価が決まる、つまり物価は通貨量に連動するとする説です。
もっとも大雑把に言えば、市場の通貨量が2倍になれば物価も2倍になるというわけです(実際にはいろいろな要因で変わってくるでしょうが)。

ハイパーインフレ条件との関連でいうと、通貨量と物価が比例するとすれば、これは増幅率でいえばちょうど「1」ということになります。ハイパーインフレの条件は増幅率が「1を超える」ことなので、これだけでは一応ぎりぎり発散しない計算です。


日銀黒田総裁(当時)の異次元の金融緩和、いわゆる「クロダノミクス」は、この貨幣数量説に基づいて物価上昇をもくろみました。そして、それが失敗したことにより、貨幣数量説は一般には成り立たないことが実証されました。

しかし、株式などの金融市場においては、貨幣数量説はかなりよく成り立ちます。
クロダノミクスにより大量に発行された通貨は、最終的にはそうした金融市場に吸収されたため、株価が上昇した一方、一般の物価の上昇は発生しなかった、というのが僕の説です。


ということは、その流れがもしも逆流したら、つまり、株式市場から現物の市場に資金が大幅に移動するような流れが将来もしも発生したら、物価は急速に上昇し、フィードバックループが形成されて、ハイパーインフレのリスクが大幅に高まることになります。

(つづく)


連載バックナンバー:
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1942875057&owner_id=277042
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