この話は、地味にタロウのターニングポイントだと思うのです。
我らが石堂淑朗先生のお弟子さんにして、『タロウ』『レオ』『80』で脚本を執筆。
後に小説家としても活躍される、阿井文瓶先生の脚本家デビュー回です。
阿井文瓶先生の脚本は、ゲストの子役の問題やコンプレックスに焦点を当てる事が多く。
そうしたゲストが、怪獣と闘う、または向き合う事によって、成長する話が多いです。
「ウルトラマン80」では前半のメインライターを務め、いわゆる「教師編」の、世界観を固めています。
デビューこそ『タロウ』中盤ですが、第二期のホームドラマ路線で、活躍した作家さんと言えるでしょう。
さて、この話では、冒頭で健一くんと竹雄くんが、小学生をいじめる中学生の集団を、見て見ぬふりをしようとしますが。
いじめられている子が持っていた、ウルトラマンタロウの、お面を見た健一くんは、猛然と中学生に食ってかかり。
ボコボコにされながらも、「もう少しで、卑怯者になる所だった」と言います。
このシーン、子供の時は「説教くせぇな」と思ってましたが(笑)
今、見ると、非常に良く出来たシーンです。
ただ、中学生の子役が揃わなかったのか、いじめっ子の中学生たちも明らかに小学生で、学生服がブカブカなのが可愛らしいですが。
そんな健一くんに加勢もせず、紙芝居屋のお父さんを恥ずかしく思っている竹雄君ですが。
怪獣ムカデンダーが出現し、子供たちを逃がそうとしたお父さんが、重傷を負わされると。
ムカデンダーへの闘志を燃やし、危険をかえりみず、ピンチになった光太郎さんの手助けまでします。
さっきからゲストの竹雄くんの話ばかりしてますが、ムカデンダーも暴れ回ります。
着ぐるみの尻尾の部分に人が入り、アクターさんの股間の辺りから前に首が伸びた、独特なデザインのムカデンダー。
秋祭りの神社や、光太郎さんの登る、火の見やぐらなど、ミニチュアが凝っているのも嬉しい所。
タロウとの戦いでは、ムカデンダーの首と胴が離れ、また合体する見せ場も。
激戦の末、物凄く久々に、ストリウム光線で仕留めるタロウ。
怪獣を逃す話や、光線が防がれる話が多かったので、ストリウム光線が決め技になるのは久々です。
お父さんも無事、回復し、竹雄くんも、間違った事を許さない、勇気ある少年になるのでした。
第二期ウルトラのキーパーソン、阿井文瓶先生の加入を経て、タロウは次回から「おなじみ怪獣、宇宙人ぞくぞくシリーズ」に突入します。
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