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2023年12月06日12:51

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三島由紀夫を教えてください

 今春、坂本龍一さんの訃報に接し、「戦場のメリークリスマス」にデヴィッド・シルヴィアンが歌詞をつけて歌った「禁じられた色彩」(forbidden colours)の曲名由来が、三島由紀夫の小説『禁色』だと不明にして初めて知った。(坂本の父・一亀は三島の編集者でもあった)

 三島由紀夫(1925年生まれ、1970年没)は、私がものごころ付く前に、市ヶ谷の自衛隊で割腹自殺していたし、若いころの私は、あらゆる有名権威に反発していたから、「頭のおかしい右翼作家」の小説などまったく関心がなかった。
 唯一、美輪明宏の「黒蜥蜴」で認識していた。
 いやいや、高名な裁判官の倉田卓次が創作者だともスクープされた日本三大奇書の『家畜人ヤプー』の創作にも三島が関わっていたという話は聞いた。
 痩せた身体を鍛えて上半身むき出しの「変態おじさん」だと思っていた。
 大学サークルのOB名簿の最初の方に、三島作品『青の時代』のモデル、光クラブの山崎晃嗣の名前を発見して感動したが、三島の本名、平岡公威の名前もあったかどうだったか。

 いざ読むと、『禁色』は同性愛を赤裸々に描いて、なるほど面白い小説だった。
 『青の時代』は、作品としてはどうか。
 今秋、京都へ長期出張があり、旅のお供は『金閣寺』。美をめぐる思索のあれこれ、古典や寺社に関する衒学的な蘊蓄、卓抜な比喩表現。三島の最高傑作とされるのはよくわかった。
 中断して読んだ佐藤秀明『三島由紀夫 悲劇への欲動』(岩波新書)が三島の人生と思想、作品批評をコンパクトにまとめていた。
 『金閣寺』は承知のとおり、戦後すぐと言ってよい昭和25年に実際に起きた学生僧による放火事件をモチーフにしている。
 しかし、作家の平野啓一郎さんの解釈によれば、主人公(私)は三島本人の内心であり、金閣は天皇のメタファーであると説明していて、この人はさすがすごいなと感心した(今年、大部な『三島由紀夫論』を上梓した)。

 三島は、その後に書いた『鏡子の家』が文壇で酷評され、『宴のあと』(日本初のプライバシー裁判として勉強する)、『午後の曳航』(オペラ化され、最近も宮本亞門演出により上演された)、2.26事件を題材にした『憂国』、全四巻からなる長編『豊饒の海』を完成した日に軍服を着て自衛隊に立て籠もり、隊員に演説をぶった後、腹を切った。
 そこに至る遍歴は、さまざまな研究がなされており、付け加えることはない。
 ただ、しばらくは、飽きるまで、三島の小説や戯曲等をなるべく創作順に読んでみたいと思っている。
 「金閣は美しい」と書いた三島にとっての「金閣」が私にも姿を現すであろうか。
 京都出張中、金閣は目と鼻の先にありながら、朝から夜まで缶詰めで、実際の金閣を見ることはできなかったのが心残りだった。
 あなたにとっての三島由紀夫や好きな作品を教えてください。

丸C細江英公さん作品「薔薇刑」(1961年)
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緊迫感より、どてらシャツで「お控えなすって」に見えてしまう。
ネックレスが、寅さんのぶら下げものに見えるからだ。
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