mixiユーザー(id:5956264)
2022年10月23日21:10
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山登りはじめました＃301「硫黄岳に行ってきた」
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■山行概要
◆【八ヶ岳】
硫黄岳(2760m)
◆2022/10/8(土)〜2022/10/10(月)、曇り⇒ガス⇒雨、湿度80〜90％以上(体感)
気温7℃〜13℃くらい(？)、風速7〜8m/sくらい？(山頂で)、全備重量13.2kg
◆日程は前後泊を含む2泊3日だが、山自体は日帰り
所要時間7:35(コースタイム5:10)、累積標高差971m、歩行距離10.5km
◆7:10/桜平(中)駐車場(標高1890m)を出発、登山開始⇒7:20/桜平(上)駐車場分岐
⇒7:50/夏沢鉱泉(標高2060m/ここで8:05まで小休止)⇒8:15/オーレン小屋の水力
発電棟近く(ここで8:20まで立ちション休憩)⇒8:50/オーレン小屋(標高2330m/こ
こで9:05まで小休止)⇒9:25/夏沢峠(標高2429m/ここで9:40まで中休憩)⇒10:40/
硫黄岳(標高2760m)登頂(11:00まで山頂を散策)⇒12時までお昼休憩⇒12:40/夏沢
峠(標高2429m/ここで12:55まで小休止)⇒13:20/オーレン小屋(標高2330m/ここで
13:40まで中休憩)⇒14:15/夏沢鉱泉(標高2060m)⇒14:40/桜平(上)駐車場分岐⇒
14:45/桜平(中)駐車場(標高1890m)へ帰還
◆写真はYAMAPへ↓
硫黄岳
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八ヶ岳連峰は南八ヶ岳の最北端、「硫黄岳」に行ってきました。それではいつも通り、無駄に長い前説からどうぞ。
【前説】
今年はいつになく雨ばっかりっすわ。多分、山を趣味とする人はみんな同じことを嘆いているんじゃないかなあ。7月の連休は白馬三山縦走を計画するも雨予報で中止、天気の隙間を狙って奥秩父に行くも結局、雨に降られてびっちょ濡れに。その後も同様、予報の隙間を狙って再び奥秩父へ行くも途中からずっと雨で、やはりびっちょ濡れに。その後の南アルプスも途中で雨予報のためルートを変更して午前中で撤退。先月の北アルプス縦走にいたっては、台風の通過を待ってから入山したのに、現地で予報が変わって4日間の内、殆どが雨という。
ホント嫌になるわー。こんな天気悪いのは何年振りだろうか。いつだかの年も、7月後半から10月末まで週末が全部雨だったことがあるなあ。そんな感じで10月のスポーツの日の3連休、今回もやっぱり雨予報が出てね。これもう、今シーズンの高山山行は全滅なんじゃないか？と。標高2500m以上の高山は実際、この10月の3連休が最終ですよ、その後はもう、一気に山は冬になってしまいますから。
さて、元々この連休は毎年、八ヶ岳方面を企画するのですが、毎年雨ばっかりでトント実現したことがない。で、昨年は7月の連休で南八ヶ岳メインコースの縦走に行ったんだけど、晴れ予報でも午後になると必ず雷雨が。
コレ↓
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★山登りはじめました＃267「南八ヶ岳縦走に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃268「南八ヶ岳縦走に行ってきた」その��
https:/
★山登りはじめました＃269「南八ヶ岳縦走に行ってきた」その��
https:/
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朝からガスってて眺望は悪いし、虫も凄いし、何よりも暑い！全然涼しくないんだYO！で、やはりベストシーズンはもう少し寒くなってからと確信。緯度や標高を考えると、北アルプスの方を先に行く必要があり、必然的に八ヶ岳はその後、つまり10月の三連休となってしまうのです。ちなみにこれは山中泊の場合の話です。日帰りであれば過去には8月に天狗岳・9月中旬に蓼科山・10月下旬と11月上旬にそれぞれ赤岳に行ってます。
コレ↓
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★山登りはじめました＃178「赤岳に行こうとして途中で撤退した」
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★山登りはじめました＃211「赤岳に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃212「赤岳に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃213「赤岳に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃230「天狗岳に行ってきた」
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★山登りはじめました＃270「蓼科山に行ってきた」
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当初はずっと「赤岳に登らなきゃ！」と言っているだーたかさんと、予行演習で事前に天狗岳に行くも本番が雨で中止になってしまったHりさんを連れて行くのが目的でね、昨年と逆回りのルートを考えていたのです。美濃戸を基点に南沢ルートで行者小屋、中岳を経由して文三郎尾根で赤岳、一泊して二日目は横岳と硫黄岳を踏んで赤岳鉱泉まで降りて北沢ルートで戻ってくるという。ところがかなり早い段階から両名の欠席が確定。
自分・HGさん・ONZKさんの三人は逆回りは言え昨年このコースは歩いてる。じゃあ未踏の編笠山と権現岳を周回コースで縦走して南八ヶ岳の主稜線を踏破しますか、なんて話をするも、9月の北アルプス縦走終了後にONZKさんから「岩山にはもう行かねえ！」宣言が！んじゃあ仕方ねえ、HGさん、二人で行きますか？と計画を練り直す。小淵沢に前後泊して三連休の中日、早朝スタートで1日を目一杯使って編笠山と権現岳を周回するプランを立てるも、そもそも予定していた宿が満室で予約できねえ！
当然、山小屋の方も満室で予約不可。そうこうしているうちにまーた雨予報だYO！ただし、中日の日曜日だけは午後の早い時間まで曇りで済むみたい。でもこのパターン、予報の隙間を狙ってうまくいった試しが無いんだよ。少なくとも今年はそれで7月に2連敗している。実行するにしても下山が夕方になるコースだと、絶対に途中で雨に降られてしまうのだ。んもーう、どうしていっつもこうなのよ！するとHGさん、
「あ、そしたらさ、最短コースで硫黄岳はどう？桜平からスタートして夏沢峠から登るやつ！」
「6月にソロで偵察に行ったコースですよね？」
「そそ！美濃戸からスタートするより、往復で2時間以上、いや、もっとかな？美濃戸口からのスタートよりも所要時間は短いと思うよー」
「おー、それ、いいですね！早朝スタートなら午後早い時間に下山出来るってことね。昨年の縦走ではちょうど硫黄岳登頂のタイミングで雷雨だったからなあ、硫黄岳はもう一回登り直したいと思ってました！」
「でしょ？昨年の時、爆裂火口壁、見てないよね？爆裂火口壁を見ないで何のための硫黄岳か！それと今回のルート、夏沢峠からね、凄いよ！まあ続きは行ってからのお楽しみってことで！」
後泊の石和健康ランドは元々、かなり前から予約を入れてあるので問題無し。前泊は茅野の定宿に予約確認をすると、3名一部屋の和室なら空いてるとのことで急遽予約を取る。3名がキャパってことはあと1人、大丈夫か。人数増えれば交通費も安く上がるし、ダメ元で弟氏に打診を入れてみる。と、予想外に即答で参加を表明。南八ヶ岳は行ったことないので、一緒に行くとのこと(北八ヶ岳は今年の3月に雪上トレーニングで北横岳に行ってるんだYO！)。ってことで今回は3人パーティーで確定です！
【本編】
さて前泊する移動日。当日はお昼頃に弟氏をピックアップして自分の車で横浜を出発。川崎でHGさんをピックアップしたら府中スマートICから中央道へ。最近はこのパターンがホントに多い。もう何回目だろうか？雨予報とは言えそこはやはり三連休の初日である。午後の早い時間帯でも中央道は大渋滞。八王子から相模湖辺りまでは全部渋滞ですよ。ただまあ、今日は茅野へ移動するだけなのでそれは最初から折り込み済みっすわ。
途中、SAやPAで何度か休憩を挟み、諏訪南ICで中央道を降りたらコンビニで翌日の朝ご飯などを調達。17時半頃、茅野の定宿や到着。ここ、激安でホント重宝してますよー！今回だって素泊まりで＠3500JPYですもん。八ヶ岳方面の山行の時は必ずこの激安ビジネスホテルに前泊してます。何気に高校生の部活の合宿の泊地で人気の宿みたいで、いっつも混んでるんですがね。今回もどこぞの女子高のバレー部が大会遠征の拠点として団体様で利用されておりました。
いつもは各人、シングルの洋室を使うんですが、今回は初の和室です。部屋にはトイレも風呂もありません、ホント泊まるだけ。荷物を置いたらこれまた毎回お約束の上海料理の店へGO！実は茅野に前泊する目的の98％はこのお店に行くためだったりします。3人とも今年の3月以来ですから、楽しみにしていただけあって登山全日とは思えない量の飲み食いをかます！
翌朝は5時に移動開始の手はずなので、3人とも4時前後に起床。眠い目を擦りながら、昨日調達したコンビニ飯をモグモグする。コンタクト入れてUNKしたら出発するか、と思いきや、なーんかUNKが全部出切らない感じ。これはダメ、山中UNK撤退はもうホント勘弁してｸﾚﾒﾝｽ。というのも今回、事前情報によると桜平の駐車場と夏沢峠のトイレは閉鎖のままとのこと。夏沢鉱泉とオーレン小屋は有料のトイレがあるけど、靴脱がないといけないそうなのだよ。そもそも日帰りの登山で山中でUNKするのやだー！
実は自分だけでなく他の2人も同じ様な状況で、出発しようとすると誰かが「やっぱちょっと待って！UNK！」とトイレに行ってしまい、中々出発が出来ない。自分に至っては車に乗り込みやっと出発！ってタイミングで「やっぱりもう1回！」と、ホテルに徒歩で戻ってトイレに行く始末。結局各人それぞれ3回、合計9回もUNKストップが発生し、出発時間が1時間近く遅れてしまったYO！
そんなこんなで6時前にようやっと茅野を出発。一路、駐車場所である桜平を目指す。も、この辺りの林道がナビの地図に全く入っていないんよー。仕方無いのでスマホでGoogle先生にナビをお願いして先へ進むことに。桜平への林道は唐沢鉱泉へ向かうルートの途中から分岐してるんですよ。唐沢鉱泉は天狗岳の時に一度だけ行ったことがあります。
別荘地を抜けてゴルフ場がいくつか点在する山の麓を登り切ると、急に道幅が狭くなってくる。唐沢鉱泉への分岐を過ぎると、これホントに車走って大丈夫なのか？という酷道へ。轍も凄いし路面は穴だらけ。道幅は極端に狭く、対向車が来ても絶対にすれ違いは無理。傾斜もかなりあって、人が歩くのに毛が生えた程度のノロノロ運転で慎重に進んで行く。
しばらくすると開けた場所に出た。「下」の駐車場である。かなりの広さだが、駐車車両は数台しかない。するとHGさんから
「あ、ここじゃないよ！ここに停めると歩く時間が往復3時間くらい追加になるんで。ここに駐車するくらいなら美濃戸の方が全然マシだから！」
と説明があり、スルーして先へ進む。しばらくすると樹木の隙間から車が何台も見えてきた。どうやらここが目的地、桜平の「中」の駐車場のようだ。
「ここね、ここに駐車するの。上の駐車場だと今度は駐車してから登山道まで歩いて戻らないといけないから、行程的にはここがベストなんだよ！」
とHGさん。伊達に偵察山行に行ってませんね、特に初めての場所でこうしたアプローチ部分で有益な情報をいただけるのは大変ありがたいことです。林道からザッと見渡すと、正規の駐車スペースは既にもう、先客の車でビッチリですわ。今日は三連休の中日ですから、前日から入山している人だってそりゃあ、多いでしょう。林道脇の路駐可能スペースがちょうど2台分くらい空いているので、すかさず滑り込む。後続の車も自分の右隣りに駐車して、これで空きスペースはもう、無い感じ。いやー、ギリギリで駐車出来てよかったー！UNKの件が無ければ、もう少し早く到着出来たんだと思いますけどね。
いずれにしても予定よりスタートが1時間近く遅れていることには変わりない。今日こそは雨が降り出す前に下山するんだ！急いで身支度をするが、ダブルのトレッキングポールの片方が死んでる！スクリューロックが全く回転せず、うんともすんとも言わん！北アルプス縦走から戻った後、ちゃんとメンテナンスしたんだけどなあ。毎日、長時間の雨に晒されてジョイントも水没状態になったので、分解して乾燥させたんだけど、不十分だったか？良くわからんがとにかく、固着してしまった動かないのだ。仕方ない、今回は片方だけ持ってシングルポール運用するっきゃねえ！
7時少し前、桜平の「中」駐車場を出発。しばらくは快適な林道歩き。と言うのも、この先にはまだ「上」の駐車場があるので基本は車が通れるように整備されているからなんですねえ。歩きやすくて大変良い。「上」の駐車場との分岐を過ぎるとゲートが。地図では「桜平ゲート」とある。登山客が車で入れるのはここまで。ここから夏沢鉱泉までも車で行けるけど、それは業務用の車のみ許可って感じみたいですよ。
ってことでゲートから夏沢鉱泉までも再び快適な林道歩きが続きます。清流沿いにゆっくりと高度を上げて行く。車が通行出来る斜度なので、歩いていても全然苦しくない。結構な水量の鳴岩川の右岸沿いに付けられた林道兼登山道は、正に快適そのもの！ただ、紅葉はもう少し後だね、ほんのり黄色く色づいてますが・・・。そうそう、南八ヶ岳では「紅葉」と書かずに「黄葉」って書くんです。文字通り、赤色はほとんどなく、黄色ばっかりなので。黄色ってことは唐松とかが多いのかしら？
歩き始めて1時間弱、唐沢鉱泉の水力発電棟が見えてきた。この界隈は鳴岩川の豊富な水量を活用して、水力発電で小屋の電力を賄っているみたい。先月の北アルプスでも槍沢ロッヂの手前で小さな水力発電所を見ましたが、祠程度の大きさの施設で、おそらく発電量も微々たるものかと推測。半面、夏沢鉱泉の施設は「棟」と呼ぶにふさわしい大きさで、これはやはり川の水量が圧倒的に八ヶ岳の方が多いからなんだろうねえ。
時間的にはちょうど1ピッチ経過したので、夏沢鉱泉で最初の小休止を入れる。標高は2060m、下界より12℃低いので寒いと思いきや、湿度が高いので全然寒くない。振り返ると木々の上に北アルプス南部の稜線が一望出来ました！おー、こういうのってテンション上がるよね！小休止を切り上げ、次のマイルストーンであるオーレン小屋へと歩を進める。ここもずっと鳴岩川の右岸に沿って歩いて行く。途中、今度はオーレン小屋の水力発電棟がありました。大きさは夏沢鉱泉よりもかなり小ぶりです。
歩くこと40分、標準コースタイム10分巻きでオーレン小屋に到着。ここは幕営地があるので、テント泊登山の人も大勢いてかなりに賑わいです！オーレン小屋のメニューを見ると「ボルシチ」が！気になるなあ、食べてみたいぞ？オーレン小屋は3つのルートのジャンクションになっていて、自分らが進む夏沢峠へのルート、硫黄岳から峰の松目方面を周回して戻ってくるルート、主稜線の山腹を巻いて天狗岳の方に抜けるコースの三択が取れます。
「ここは夏沢峠へ上がるルート一択ね！異論は認めません。理由は行けばわかります、以上！」
とHGさん。初めてのコースだし、何より偵察登山に来ているHGさんの意見だからこれはもう、素直に従わざるを得ない。小休止を切り上げたら指示通りのコースへ入る。オーレン小屋からは川とは並行ではないコースとなるので、樹林帯の登山道を上がって行くとアッと言う間に川のせせらぎは聞こえなくなってしまった。歩くこと20分弱、樹木の切れ目からチラチラと青い空が見えてきた。山小屋らしきシルエットも見える。先行している弟氏の歓声が聞こえる。
夏沢峠に到着だ。ヒュッテ夏沢と山びこ荘の背後に茶色の巨大なミルフィーユ状の岩壁が見える！
「こ、これ！これはー！」
「そそ、これが是非見せたかったやつ！硫黄岳の爆裂火口壁ですYO！」
背後から追いついたHGさんが指を差す。
「往路でこのコースを歩きたい一番の理由がコレ、爆裂火口壁を見上げながら登れるんだよ。山頂からだと火口を見下ろすだけだけど、夏沢峠からは高さ約600mの火口壁が見れるのよん！」
いやいや、これは予想以上に凄い迫力だぞ？めっちゃデカい！硫黄岳の爆裂火口壁は直径約1km・深さは約550mもあるそうだよ。本沢温泉の標高が2110mだから、本沢温泉から100m足らず上がかつての火口の底ってことになる。爆裂火口(Explosion Crater)はその名の通り、爆発的な噴火で火口周りが吹き飛ばされてしまったわけだから、相当な量の噴出物・飛散物があったに違いない。何ともスケールのデカい話じゃないですか！ちなみに夏沢峠にはヒュッテ夏沢と山びこ荘っていう2つの山小屋がありますが、コロナ禍の影響ってことでどちらも営業はしておりませんでした。
さて、一頻り写真を撮ったら登山再開です。と言うのも段々と本沢温泉側からガスが上がって来てるんだよねえ。夏沢峠から見上げる爆裂火口壁は今回の山行の一番の目的でしたが、昨年の縦走時は雷雨のため硫黄岳の山頂はほぼスルーに近かったのでね。ガスのかかっていない硫黄岳の山頂を散策して景色を楽しみたいのだよ。桜平からここまでは比較的緩やかな川沿いの樹林帯を歩いて来たが、流石に夏沢峠から硫黄岳の山頂までは急峻なガレ場の登りとなる。途中で小休止が取れないかも知れないので、ここでしっかりと水分補給と行動食摂取をする。小休止を切り上げ、歩き始める。
しばらくは樹林帯を進むが、森林限界を突破すると急に視界が開け、赤茶けた岩だらけの世界が広がる。九十九折に付けられたガレの登山道を、本沢温泉方面から湧き上がってくるガスに追いつかれないようにえっちらおっちらと標高を上げて行く。呼吸を整えるために小まめ立ち休憩を入れるが、振り返る度にその眺望にため息が出る。雲海の向こう、北アルプスが一望だ！夏沢鉱泉からは槍穂高連峰しか見えなかったが、今は鹿島槍ヶ岳や五竜岳の方まで良く見えるじゃないの！
標高を上げていくと東西の天狗岳の頭が稜線から顔を出す。更に進むとその背後の蓼科山が！蓼科山の標高を超えるとその後ろに隠れていた後立山連峰が顔を出した！白馬三山まで見える様になったやんけ〜！いやー、これは楽しい！楽し過ぎるYO！標高を上げる作業が全く苦にならない。北アルプスだけじゃないぞ？夏沢峠からは見上げるだけだった爆裂火口壁が今度は真横に見えるようになった。凄い自然の造形！次々と変化する景色を楽しんでいたら、アッと言う間に山頂に着いてしまった。
今度は硫黄岳から続く主稜線の反対側、南八ヶ岳メインルートの峰々が！逆光で色は真っ黒だが、横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳と、岩稜帯の稜線が続いている！昨年は硫黄岳・横岳・赤岳と、そのコースの上を縦走したけど、こうやって目の前で再度実物を拝んでしまうと、また行きたくなってしまう！いやー、素晴らしい眺めじゃないかー、善き哉、善き哉！
それにしても硫黄岳の山頂は広いねえ。景色が良いってことは遮蔽物が何も無いってこと。だから昨年は雷雨に見舞われて大急ぎで逃げたんだけど、同時に遮蔽物が何も無いってことは風がビュービューってことでもあります。山頂でお昼休憩のつもりだったけど、ちょっとこの風じゃあ無理みたい。少なくとも火器を出しての煮炊きは出来ないっすわ。風の無い場所を探してしばらく山頂周辺をウロウロするも、当然そんな場所は無い。
下山は峰の松目方面からオーレン小屋に下る予定だったが、お昼休憩を考えるとそのコースは止めた方が良いだろう、とHGさんから意見が。結局、稜線の風下側以外は風の無い場所は無く、一旦登って来た道を引き返し、登山道から少し外れたハイマツ帯の中で良さげな場所を発見！風も無いし、目の前には天狗岳と背後の蓼科山、地平線には長大な北アルプスの稜線が見える絶景ポイントです！ここでお湯を沸かして簡単にお昼ご飯を済ます。
コーヒーを淹れてまったりしていると、段々と風が強くなってきた。火器使用の後なのでナイスタイミングだったよ。結局山頂には戻らず、このまま往路をピストンすることにしたが、夏沢峠に降りる頃にはもう、山頂はガスに飲まれて何も見えなくなってしまった。当然、爆裂火口壁もガスの中。いやー、HGさんの言う通りこのルート、登りで使って大正解！ガスる前に眺望を満喫出来たので、これもナイスタイミング！
オーレン小屋で小休止を挟み、夏沢鉱泉はスルーすることに。と言うのも、下の方もガスで真っ白になってきてしまい、夏沢鉱泉の辺りで雨がパラついてきたんだよね。結果、この判断は大正解で、桜平に着く直前に雨が本降りになって来たのです。でも車までもう、目と鼻の先の距離だから問題無し。これもナイスタイミング！いやー、何か今回は全てをギリギリのタイミングでうまくかわせ、天気予報の割りには大成果の山行だったと思います。
その後は車のリアハッチを屋根にしてドライエリアを確保、片付けをしたら一路、いつもの石和健康ランドへ。風呂・飯・酒・寝るのコンボを決め、これまたいつも通り、翌日は早朝出発で全員、午前中には帰宅しました。いやいや、ホント今回のコースは初心者にこそお勧めなんじゃないか？歩行距離も標高差もちょうど良いし、飽きないし疲れないし、夏沢峠から硫黄岳への登りはご褒美がいっぱいだし！手軽に2760mの高山に登れてこれだけ楽しいってコースはそうは無いと思いますよ。
次回の八ヶ岳は来年の3月、雪上自主トレーニング再び、ということで、昨年の北横岳に続き今度は縞枯山・茶臼山の方に行く予定です！
■写真解説
�＿涜�峠から見上げる硫黄岳の爆裂火口壁！今回の山行の一番の目玉でしたが、いやー、予想以上の大迫力でした！これはスゲー！
�⇔臆�岳(2760m)に2回目の登頂〜！前回は雷雨に見舞われてホント通過しただけでしたが、今回はじっくりゆっくり、山頂を散策出来ました！
�Ｎ臆�岳山頂から南八ヶ岳メインルートの稜線を見る。横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳！昨年、このコースは縦走したけど、また歩きたいなあ。
◆【八ヶ岳】
硫黄岳(2760m)
◆2022/10/8(土)〜2022/10/10(月)、曇り⇒ガス⇒雨、湿度80〜90％以上(体感)
気温7℃〜13℃くらい(？)、風速7〜8m/sくらい？(山頂で)、全備重量13.2kg
◆日程は前後泊を含む2泊3日だが、山自体は日帰り
所要時間7:35(コースタイム5:10)、累積標高差971m、歩行距離10.5km
◆7:10/桜平(中)駐車場(標高1890m)を出発、登山開始⇒7:20/桜平(上)駐車場分岐
⇒7:50/夏沢鉱泉(標高2060m/ここで8:05まで小休止)⇒8:15/オーレン小屋の水力
発電棟近く(ここで8:20まで立ちション休憩)⇒8:50/オーレン小屋(標高2330m/こ
こで9:05まで小休止)⇒9:25/夏沢峠(標高2429m/ここで9:40まで中休憩)⇒10:40/
硫黄岳(標高2760m)登頂(11:00まで山頂を散策)⇒12時までお昼休憩⇒12:40/夏沢
峠(標高2429m/ここで12:55まで小休止)⇒13:20/オーレン小屋(標高2330m/ここで
13:40まで中休憩)⇒14:15/夏沢鉱泉(標高2060m)⇒14:40/桜平(上)駐車場分岐⇒
14:45/桜平(中)駐車場(標高1890m)へ帰還
◆写真はYAMAPへ↓
硫黄岳
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八ヶ岳連峰は南八ヶ岳の最北端、「硫黄岳」に行ってきました。それではいつも通り、無駄に長い前説からどうぞ。
【前説】
今年はいつになく雨ばっかりっすわ。多分、山を趣味とする人はみんな同じことを嘆いているんじゃないかなあ。7月の連休は白馬三山縦走を計画するも雨予報で中止、天気の隙間を狙って奥秩父に行くも結局、雨に降られてびっちょ濡れに。その後も同様、予報の隙間を狙って再び奥秩父へ行くも途中からずっと雨で、やはりびっちょ濡れに。その後の南アルプスも途中で雨予報のためルートを変更して午前中で撤退。先月の北アルプス縦走にいたっては、台風の通過を待ってから入山したのに、現地で予報が変わって4日間の内、殆どが雨という。
ホント嫌になるわー。こんな天気悪いのは何年振りだろうか。いつだかの年も、7月後半から10月末まで週末が全部雨だったことがあるなあ。そんな感じで10月のスポーツの日の3連休、今回もやっぱり雨予報が出てね。これもう、今シーズンの高山山行は全滅なんじゃないか？と。標高2500m以上の高山は実際、この10月の3連休が最終ですよ、その後はもう、一気に山は冬になってしまいますから。
さて、元々この連休は毎年、八ヶ岳方面を企画するのですが、毎年雨ばっかりでトント実現したことがない。で、昨年は7月の連休で南八ヶ岳メインコースの縦走に行ったんだけど、晴れ予報でも午後になると必ず雷雨が。
コレ↓
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★山登りはじめました＃267「南八ヶ岳縦走に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃268「南八ヶ岳縦走に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃269「南八ヶ岳縦走に行ってきた」その��
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朝からガスってて眺望は悪いし、虫も凄いし、何よりも暑い！全然涼しくないんだYO！で、やはりベストシーズンはもう少し寒くなってからと確信。緯度や標高を考えると、北アルプスの方を先に行く必要があり、必然的に八ヶ岳はその後、つまり10月の三連休となってしまうのです。ちなみにこれは山中泊の場合の話です。日帰りであれば過去には8月に天狗岳・9月中旬に蓼科山・10月下旬と11月上旬にそれぞれ赤岳に行ってます。
コレ↓
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★山登りはじめました＃178「赤岳に行こうとして途中で撤退した」
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★山登りはじめました＃211「赤岳に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃212「赤岳に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃213「赤岳に行ってきた」その��
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★山登りはじめました＃230「天狗岳に行ってきた」
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★山登りはじめました＃270「蓼科山に行ってきた」
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当初はずっと「赤岳に登らなきゃ！」と言っているだーたかさんと、予行演習で事前に天狗岳に行くも本番が雨で中止になってしまったHりさんを連れて行くのが目的でね、昨年と逆回りのルートを考えていたのです。美濃戸を基点に南沢ルートで行者小屋、中岳を経由して文三郎尾根で赤岳、一泊して二日目は横岳と硫黄岳を踏んで赤岳鉱泉まで降りて北沢ルートで戻ってくるという。ところがかなり早い段階から両名の欠席が確定。
自分・HGさん・ONZKさんの三人は逆回りは言え昨年このコースは歩いてる。じゃあ未踏の編笠山と権現岳を周回コースで縦走して南八ヶ岳の主稜線を踏破しますか、なんて話をするも、9月の北アルプス縦走終了後にONZKさんから「岩山にはもう行かねえ！」宣言が！んじゃあ仕方ねえ、HGさん、二人で行きますか？と計画を練り直す。小淵沢に前後泊して三連休の中日、早朝スタートで1日を目一杯使って編笠山と権現岳を周回するプランを立てるも、そもそも予定していた宿が満室で予約できねえ！
当然、山小屋の方も満室で予約不可。そうこうしているうちにまーた雨予報だYO！ただし、中日の日曜日だけは午後の早い時間まで曇りで済むみたい。でもこのパターン、予報の隙間を狙ってうまくいった試しが無いんだよ。少なくとも今年はそれで7月に2連敗している。実行するにしても下山が夕方になるコースだと、絶対に途中で雨に降られてしまうのだ。んもーう、どうしていっつもこうなのよ！するとHGさん、
「あ、そしたらさ、最短コースで硫黄岳はどう？桜平からスタートして夏沢峠から登るやつ！」
「6月にソロで偵察に行ったコースですよね？」
「そそ！美濃戸からスタートするより、往復で2時間以上、いや、もっとかな？美濃戸口からのスタートよりも所要時間は短いと思うよー」
「おー、それ、いいですね！早朝スタートなら午後早い時間に下山出来るってことね。昨年の縦走ではちょうど硫黄岳登頂のタイミングで雷雨だったからなあ、硫黄岳はもう一回登り直したいと思ってました！」
「でしょ？昨年の時、爆裂火口壁、見てないよね？爆裂火口壁を見ないで何のための硫黄岳か！それと今回のルート、夏沢峠からね、凄いよ！まあ続きは行ってからのお楽しみってことで！」
後泊の石和健康ランドは元々、かなり前から予約を入れてあるので問題無し。前泊は茅野の定宿に予約確認をすると、3名一部屋の和室なら空いてるとのことで急遽予約を取る。3名がキャパってことはあと1人、大丈夫か。人数増えれば交通費も安く上がるし、ダメ元で弟氏に打診を入れてみる。と、予想外に即答で参加を表明。南八ヶ岳は行ったことないので、一緒に行くとのこと(北八ヶ岳は今年の3月に雪上トレーニングで北横岳に行ってるんだYO！)。ってことで今回は3人パーティーで確定です！
【本編】
さて前泊する移動日。当日はお昼頃に弟氏をピックアップして自分の車で横浜を出発。川崎でHGさんをピックアップしたら府中スマートICから中央道へ。最近はこのパターンがホントに多い。もう何回目だろうか？雨予報とは言えそこはやはり三連休の初日である。午後の早い時間帯でも中央道は大渋滞。八王子から相模湖辺りまでは全部渋滞ですよ。ただまあ、今日は茅野へ移動するだけなのでそれは最初から折り込み済みっすわ。
途中、SAやPAで何度か休憩を挟み、諏訪南ICで中央道を降りたらコンビニで翌日の朝ご飯などを調達。17時半頃、茅野の定宿や到着。ここ、激安でホント重宝してますよー！今回だって素泊まりで＠3500JPYですもん。八ヶ岳方面の山行の時は必ずこの激安ビジネスホテルに前泊してます。何気に高校生の部活の合宿の泊地で人気の宿みたいで、いっつも混んでるんですがね。今回もどこぞの女子高のバレー部が大会遠征の拠点として団体様で利用されておりました。
いつもは各人、シングルの洋室を使うんですが、今回は初の和室です。部屋にはトイレも風呂もありません、ホント泊まるだけ。荷物を置いたらこれまた毎回お約束の上海料理の店へGO！実は茅野に前泊する目的の98％はこのお店に行くためだったりします。3人とも今年の3月以来ですから、楽しみにしていただけあって登山全日とは思えない量の飲み食いをかます！
翌朝は5時に移動開始の手はずなので、3人とも4時前後に起床。眠い目を擦りながら、昨日調達したコンビニ飯をモグモグする。コンタクト入れてUNKしたら出発するか、と思いきや、なーんかUNKが全部出切らない感じ。これはダメ、山中UNK撤退はもうホント勘弁してｸﾚﾒﾝｽ。というのも今回、事前情報によると桜平の駐車場と夏沢峠のトイレは閉鎖のままとのこと。夏沢鉱泉とオーレン小屋は有料のトイレがあるけど、靴脱がないといけないそうなのだよ。そもそも日帰りの登山で山中でUNKするのやだー！
実は自分だけでなく他の2人も同じ様な状況で、出発しようとすると誰かが「やっぱちょっと待って！UNK！」とトイレに行ってしまい、中々出発が出来ない。自分に至っては車に乗り込みやっと出発！ってタイミングで「やっぱりもう1回！」と、ホテルに徒歩で戻ってトイレに行く始末。結局各人それぞれ3回、合計9回もUNKストップが発生し、出発時間が1時間近く遅れてしまったYO！
そんなこんなで6時前にようやっと茅野を出発。一路、駐車場所である桜平を目指す。も、この辺りの林道がナビの地図に全く入っていないんよー。仕方無いのでスマホでGoogle先生にナビをお願いして先へ進むことに。桜平への林道は唐沢鉱泉へ向かうルートの途中から分岐してるんですよ。唐沢鉱泉は天狗岳の時に一度だけ行ったことがあります。
別荘地を抜けてゴルフ場がいくつか点在する山の麓を登り切ると、急に道幅が狭くなってくる。唐沢鉱泉への分岐を過ぎると、これホントに車走って大丈夫なのか？という酷道へ。轍も凄いし路面は穴だらけ。道幅は極端に狭く、対向車が来ても絶対にすれ違いは無理。傾斜もかなりあって、人が歩くのに毛が生えた程度のノロノロ運転で慎重に進んで行く。
しばらくすると開けた場所に出た。「下」の駐車場である。かなりの広さだが、駐車車両は数台しかない。するとHGさんから
「あ、ここじゃないよ！ここに停めると歩く時間が往復3時間くらい追加になるんで。ここに駐車するくらいなら美濃戸の方が全然マシだから！」
と説明があり、スルーして先へ進む。しばらくすると樹木の隙間から車が何台も見えてきた。どうやらここが目的地、桜平の「中」の駐車場のようだ。
「ここね、ここに駐車するの。上の駐車場だと今度は駐車してから登山道まで歩いて戻らないといけないから、行程的にはここがベストなんだよ！」
とHGさん。伊達に偵察山行に行ってませんね、特に初めての場所でこうしたアプローチ部分で有益な情報をいただけるのは大変ありがたいことです。林道からザッと見渡すと、正規の駐車スペースは既にもう、先客の車でビッチリですわ。今日は三連休の中日ですから、前日から入山している人だってそりゃあ、多いでしょう。林道脇の路駐可能スペースがちょうど2台分くらい空いているので、すかさず滑り込む。後続の車も自分の右隣りに駐車して、これで空きスペースはもう、無い感じ。いやー、ギリギリで駐車出来てよかったー！UNKの件が無ければ、もう少し早く到着出来たんだと思いますけどね。
いずれにしても予定よりスタートが1時間近く遅れていることには変わりない。今日こそは雨が降り出す前に下山するんだ！急いで身支度をするが、ダブルのトレッキングポールの片方が死んでる！スクリューロックが全く回転せず、うんともすんとも言わん！北アルプス縦走から戻った後、ちゃんとメンテナンスしたんだけどなあ。毎日、長時間の雨に晒されてジョイントも水没状態になったので、分解して乾燥させたんだけど、不十分だったか？良くわからんがとにかく、固着してしまった動かないのだ。仕方ない、今回は片方だけ持ってシングルポール運用するっきゃねえ！
7時少し前、桜平の「中」駐車場を出発。しばらくは快適な林道歩き。と言うのも、この先にはまだ「上」の駐車場があるので基本は車が通れるように整備されているからなんですねえ。歩きやすくて大変良い。「上」の駐車場との分岐を過ぎるとゲートが。地図では「桜平ゲート」とある。登山客が車で入れるのはここまで。ここから夏沢鉱泉までも車で行けるけど、それは業務用の車のみ許可って感じみたいですよ。
ってことでゲートから夏沢鉱泉までも再び快適な林道歩きが続きます。清流沿いにゆっくりと高度を上げて行く。車が通行出来る斜度なので、歩いていても全然苦しくない。結構な水量の鳴岩川の右岸沿いに付けられた林道兼登山道は、正に快適そのもの！ただ、紅葉はもう少し後だね、ほんのり黄色く色づいてますが・・・。そうそう、南八ヶ岳では「紅葉」と書かずに「黄葉」って書くんです。文字通り、赤色はほとんどなく、黄色ばっかりなので。黄色ってことは唐松とかが多いのかしら？
歩き始めて1時間弱、唐沢鉱泉の水力発電棟が見えてきた。この界隈は鳴岩川の豊富な水量を活用して、水力発電で小屋の電力を賄っているみたい。先月の北アルプスでも槍沢ロッヂの手前で小さな水力発電所を見ましたが、祠程度の大きさの施設で、おそらく発電量も微々たるものかと推測。半面、夏沢鉱泉の施設は「棟」と呼ぶにふさわしい大きさで、これはやはり川の水量が圧倒的に八ヶ岳の方が多いからなんだろうねえ。
時間的にはちょうど1ピッチ経過したので、夏沢鉱泉で最初の小休止を入れる。標高は2060m、下界より12℃低いので寒いと思いきや、湿度が高いので全然寒くない。振り返ると木々の上に北アルプス南部の稜線が一望出来ました！おー、こういうのってテンション上がるよね！小休止を切り上げ、次のマイルストーンであるオーレン小屋へと歩を進める。ここもずっと鳴岩川の右岸に沿って歩いて行く。途中、今度はオーレン小屋の水力発電棟がありました。大きさは夏沢鉱泉よりもかなり小ぶりです。
歩くこと40分、標準コースタイム10分巻きでオーレン小屋に到着。ここは幕営地があるので、テント泊登山の人も大勢いてかなりに賑わいです！オーレン小屋のメニューを見ると「ボルシチ」が！気になるなあ、食べてみたいぞ？オーレン小屋は3つのルートのジャンクションになっていて、自分らが進む夏沢峠へのルート、硫黄岳から峰の松目方面を周回して戻ってくるルート、主稜線の山腹を巻いて天狗岳の方に抜けるコースの三択が取れます。
「ここは夏沢峠へ上がるルート一択ね！異論は認めません。理由は行けばわかります、以上！」
とHGさん。初めてのコースだし、何より偵察登山に来ているHGさんの意見だからこれはもう、素直に従わざるを得ない。小休止を切り上げたら指示通りのコースへ入る。オーレン小屋からは川とは並行ではないコースとなるので、樹林帯の登山道を上がって行くとアッと言う間に川のせせらぎは聞こえなくなってしまった。歩くこと20分弱、樹木の切れ目からチラチラと青い空が見えてきた。山小屋らしきシルエットも見える。先行している弟氏の歓声が聞こえる。
夏沢峠に到着だ。ヒュッテ夏沢と山びこ荘の背後に茶色の巨大なミルフィーユ状の岩壁が見える！
「こ、これ！これはー！」
「そそ、これが是非見せたかったやつ！硫黄岳の爆裂火口壁ですYO！」
背後から追いついたHGさんが指を差す。
「往路でこのコースを歩きたい一番の理由がコレ、爆裂火口壁を見上げながら登れるんだよ。山頂からだと火口を見下ろすだけだけど、夏沢峠からは高さ約600mの火口壁が見れるのよん！」
いやいや、これは予想以上に凄い迫力だぞ？めっちゃデカい！硫黄岳の爆裂火口壁は直径約1km・深さは約550mもあるそうだよ。本沢温泉の標高が2110mだから、本沢温泉から100m足らず上がかつての火口の底ってことになる。爆裂火口(Explosion Crater)はその名の通り、爆発的な噴火で火口周りが吹き飛ばされてしまったわけだから、相当な量の噴出物・飛散物があったに違いない。何ともスケールのデカい話じゃないですか！ちなみに夏沢峠にはヒュッテ夏沢と山びこ荘っていう2つの山小屋がありますが、コロナ禍の影響ってことでどちらも営業はしておりませんでした。
さて、一頻り写真を撮ったら登山再開です。と言うのも段々と本沢温泉側からガスが上がって来てるんだよねえ。夏沢峠から見上げる爆裂火口壁は今回の山行の一番の目的でしたが、昨年の縦走時は雷雨のため硫黄岳の山頂はほぼスルーに近かったのでね。ガスのかかっていない硫黄岳の山頂を散策して景色を楽しみたいのだよ。桜平からここまでは比較的緩やかな川沿いの樹林帯を歩いて来たが、流石に夏沢峠から硫黄岳の山頂までは急峻なガレ場の登りとなる。途中で小休止が取れないかも知れないので、ここでしっかりと水分補給と行動食摂取をする。小休止を切り上げ、歩き始める。
しばらくは樹林帯を進むが、森林限界を突破すると急に視界が開け、赤茶けた岩だらけの世界が広がる。九十九折に付けられたガレの登山道を、本沢温泉方面から湧き上がってくるガスに追いつかれないようにえっちらおっちらと標高を上げて行く。呼吸を整えるために小まめ立ち休憩を入れるが、振り返る度にその眺望にため息が出る。雲海の向こう、北アルプスが一望だ！夏沢鉱泉からは槍穂高連峰しか見えなかったが、今は鹿島槍ヶ岳や五竜岳の方まで良く見えるじゃないの！
標高を上げていくと東西の天狗岳の頭が稜線から顔を出す。更に進むとその背後の蓼科山が！蓼科山の標高を超えるとその後ろに隠れていた後立山連峰が顔を出した！白馬三山まで見える様になったやんけ〜！いやー、これは楽しい！楽し過ぎるYO！標高を上げる作業が全く苦にならない。北アルプスだけじゃないぞ？夏沢峠からは見上げるだけだった爆裂火口壁が今度は真横に見えるようになった。凄い自然の造形！次々と変化する景色を楽しんでいたら、アッと言う間に山頂に着いてしまった。
今度は硫黄岳から続く主稜線の反対側、南八ヶ岳メインルートの峰々が！逆光で色は真っ黒だが、横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳と、岩稜帯の稜線が続いている！昨年は硫黄岳・横岳・赤岳と、そのコースの上を縦走したけど、こうやって目の前で再度実物を拝んでしまうと、また行きたくなってしまう！いやー、素晴らしい眺めじゃないかー、善き哉、善き哉！
それにしても硫黄岳の山頂は広いねえ。景色が良いってことは遮蔽物が何も無いってこと。だから昨年は雷雨に見舞われて大急ぎで逃げたんだけど、同時に遮蔽物が何も無いってことは風がビュービューってことでもあります。山頂でお昼休憩のつもりだったけど、ちょっとこの風じゃあ無理みたい。少なくとも火器を出しての煮炊きは出来ないっすわ。風の無い場所を探してしばらく山頂周辺をウロウロするも、当然そんな場所は無い。
下山は峰の松目方面からオーレン小屋に下る予定だったが、お昼休憩を考えるとそのコースは止めた方が良いだろう、とHGさんから意見が。結局、稜線の風下側以外は風の無い場所は無く、一旦登って来た道を引き返し、登山道から少し外れたハイマツ帯の中で良さげな場所を発見！風も無いし、目の前には天狗岳と背後の蓼科山、地平線には長大な北アルプスの稜線が見える絶景ポイントです！ここでお湯を沸かして簡単にお昼ご飯を済ます。
コーヒーを淹れてまったりしていると、段々と風が強くなってきた。火器使用の後なのでナイスタイミングだったよ。結局山頂には戻らず、このまま往路をピストンすることにしたが、夏沢峠に降りる頃にはもう、山頂はガスに飲まれて何も見えなくなってしまった。当然、爆裂火口壁もガスの中。いやー、HGさんの言う通りこのルート、登りで使って大正解！ガスる前に眺望を満喫出来たので、これもナイスタイミング！
オーレン小屋で小休止を挟み、夏沢鉱泉はスルーすることに。と言うのも、下の方もガスで真っ白になってきてしまい、夏沢鉱泉の辺りで雨がパラついてきたんだよね。結果、この判断は大正解で、桜平に着く直前に雨が本降りになって来たのです。でも車までもう、目と鼻の先の距離だから問題無し。これもナイスタイミング！いやー、何か今回は全てをギリギリのタイミングでうまくかわせ、天気予報の割りには大成果の山行だったと思います。
その後は車のリアハッチを屋根にしてドライエリアを確保、片付けをしたら一路、いつもの石和健康ランドへ。風呂・飯・酒・寝るのコンボを決め、これまたいつも通り、翌日は早朝出発で全員、午前中には帰宅しました。いやいや、ホント今回のコースは初心者にこそお勧めなんじゃないか？歩行距離も標高差もちょうど良いし、飽きないし疲れないし、夏沢峠から硫黄岳への登りはご褒美がいっぱいだし！手軽に2760mの高山に登れてこれだけ楽しいってコースはそうは無いと思いますよ。
次回の八ヶ岳は来年の3月、雪上自主トレーニング再び、ということで、昨年の北横岳に続き今度は縞枯山・茶臼山の方に行く予定です！
■写真解説
�＿涜�峠から見上げる硫黄岳の爆裂火口壁！今回の山行の一番の目玉でしたが、いやー、予想以上の大迫力でした！これはスゲー！
�⇔臆�岳(2760m)に2回目の登頂〜！前回は雷雨に見舞われてホント通過しただけでしたが、今回はじっくりゆっくり、山頂を散策出来ました！
�Ｎ臆�岳山頂から南八ヶ岳メインルートの稜線を見る。横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳！昨年、このコースは縦走したけど、また歩きたいなあ。
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