《モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語／内田洋子》
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
https://booklog.jp/users/besokaki-arlequin?display=front
モンテレッジォは、
イタリア北部トスカーナの山奥にある小さな村。
その歴史は中世にまで遡ることができますが、
なにもない山間の村です。
耕地がないため、
村人は近隣の農村へ出稼ぎに行って
糊口をしのいでいたような、
そんな貧しい村でした。
あまりの貧しさから、
村人たちは行商に出るようになりました。
はじめは砥石や教会のお札を売って歩いていましたが、
やがて業者から譲り受けた在庫本を売るようになりました。
1800年代初頭のことです。
その当時本はたいへん貴重なものでした。
村人たちは本を抱え、
イタリア国内はもとより、
国境を越えて近隣の国々まで足を延ばして売り歩きました。
汽車や自動車など交通機関のない時代です。
村人は行商の途中仕入れた情報、
つまり世間の人々が読みたいと思っている本の情報を、
出版業者に伝えるようにもなりました。
そしていつしかモンテレッジォの村人は、
出版社や作家、印刷会社からも信頼され、
頼りにされる存在になりました。
モンテレッジォの村人は、
現代のインターネットの役割を果たし、
書籍流通の仕組みのもとを作った人たちでした。
モンテレッジォの村は、
イタリアにおける文化、知識、思想の発信の源、
歴史をつくった陰の功労者と言っても良いでしょう。
後に村を出た人たちも、
イタリア各地や国外で書店を開いたり、
出版社を設立したりして、
何らかの形で本に携わっている方が多いようです。
ほんとうに本を愛しているのですね。
村に残った人たちも、
村を出た人たちも、
モンテレッジォが果たした役割を、
そして先祖たちの暮らした故郷を、
心から誇りに思っている様子がうかがえます。
現在のモンテレッジォは過疎化した村ですが、
いまも本に関するイベントが催され、
各地から多くの人が集まるようですね。
山奥の村の人たちがなぜ本を？
不思議ですが、それはきっと
天から授けられた使命だったのでしょうね。
ログインしてコメントを確認・投稿する