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2021年09月02日09:02

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憲さん随筆アーカイブス 2015年秋の芸術鑑賞、憲さんかぶり付き! 永青文庫春画展へ行く

フォト


※画像は喜多川歌麿「歌満くら」第九図の「手籠め図」

※この憲さん随筆は2015年10月7日に執筆したものに加筆修正しました。

※本文中にかなり際どい性描写があります。嫌な人は読まないでください。

憲さん、第九が好きだ。

・・・・・・。

といっても、年末に老若男女がこれでもかと声をはりあげ歌うベートーベン作曲第九番ではない。

参考

憲さん、生オーケストラを初鑑賞! “第九”でベートーベンは何を表現したかったのか? 謎だ!の巻き
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2023/01/post-dbb0b0.html

我等が歌麿(ウタマ〜ロ←「マ」にアクセント)画伯の「歌満くら」第九図の「手籠め図」である。(画像参照)

「歌枕」ではない。「歌満(マン)くら」である。

極めて意味深長。

女性は若い娘。顔をみると気が強そう。少し世間擦れしてる。

オヤジは“利兵衛じじい”というらしい。まだ、じじいというほど枯れてはいまい。

すごい毛むくじゃら。

気をいかせているのか、わずかばかり恍惚の表情。

余白の書き入れにはこうあるそうだ。

娘「此、利兵衛じじい、よしやがれ」

利兵衛じじい「なんといわれても、一ばんしさいすればよいじゃ」

男の名前を知っているということは通りすがりの強姦ではあるまい。娘は口ぶりからみて堅気ではない。

水茶屋の看板娘くずれか?

参考

【水茶屋】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E8%8C%B6%E5%B1%8B

客の利兵衛じじいにさそわれ、今でいうキャバクラ嬢よろしく金を巻き上げてやれ、とたくらんだところ、逆に待合茶屋(今で言うラブホテル)に引きずりこまれ、手籠めにされたのか?

そんな文化が江戸時代にあったかどうかは不明?

参考

【待合茶屋】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%85%E5%90%88%E8%8C%B6%E5%B1%8B

利兵衛じじいはどうしても一ばんしたいらしい。

憲さん、想像が膨らむ。

利兵衛じじいはあそこが膨らむ。

我等が歌麿画伯はどんな顔をして、どんな思いでこれを描いたのだろうか?

一回その現場を覗いてみたい。

・・・・・・。

日曜日、秋の芸術鑑賞企画第三弾として、芸大美術館の幽霊画展、杉浦日向子原作『合葬』映画鑑賞に引き続き、ポニョ吉と連れだって「春画展」を見に行った。

参考

「日本初!春画の名品が集結する『春画展』がついに開催」
https://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2015/06/shungaten_r18.html

『本邦初!』の触れ込みで、大英博物館からも里帰り出品されると言われれば、江戸っ子憲さん、行かない訳にはいくまい。

場所は永青文庫。美術の殿様、熊本藩細川護立が蒐集した美術品を自身の目白台にある下屋敷だった場所で展示している小さな美術館だ。

参考

【永青文庫】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E9%9D%92%E6%96%87%E5%BA%AB

混雑が予想されるので、午前中の鑑賞をと、早めに家を出る。

東西線に乗り地下鉄早稲田駅で下車、徒歩で北へ向かう。鶴巻町の交差点を過ぎ、リーガロイヤルホテルを左にみて新目白通りを渡るとじきに神田川にかかる駒塚橋に出る。ここは春、桜の季節にきたが、神田川に覆いかぶさるような桜並木が見事である。

神田川の北側が目白台の台地になっていて、新江戸川公園と関口芭蕉庵に挟まれた胸突坂は見上げるような急勾配だ。

坂を登りきると左手に目的の永青文庫があった。

まだ午前中だというのに人が多くきていた。皆、春画目当てである。

昼間からいやらしい。

( ̄ー ̄)ムフフ

入場料大人一人1500円、二人あわせて3000円を払いチケットを購入。いざ、入館!

入場は並ぶほどではなかったが、中の展示品にはびったり人が張り付いている。

展示はまず一気に四階まであがり、プロローグからはじまる。
しかし、プロローグから人が溢れんばかりに並んでいるので、そこは飛ばして「肉筆の名画」を順路と逆からみた。

ドーーーン!

目に飛び込んでくるのは、着る物や寝具は美しい色彩をほどこされてはいるが、その真ん中にはそれはそれは生々しく描かれた、血管が浮き上がりいきり立つ極めてデフォルメされた男根と、これまた、身体のわりに大きすぎる上、異様に盛り上がった女陰の画である。

それも、その数や一幅や二幅ではない。

これでもか〜〜〜っ!

と、それらの画に描かれたファルスの如く、血管が浮かび上がらんばかりの勢いの絵が整然と展示されているのだ。

参考

【ファルス】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%B9_(%E6%80%A7)

特に並んでみる必要もないと係員がアナウンスしているので、列の隙間を見つけては、ポニョ吉おいてきぼりで展示ガラスにかぶりつき鑑賞する。

しかし、いくつかみてくるとゲップがでる思いだ。

四階を一通りみたら三階「版画の傑作」をみに階下に降りる。

憲さんが愛してやまない江戸の時代に入ると版画技術が目覚ましい発展を遂げ、春画も浮世絵版画とともに版画で量産されるようになり、それまで一部上流階級の趣味から庶民の間に一気に広まった。

そこで登場したのが、前出の我等が歌麿であり、北斎であった。

彼らの極めて局部がデフォルメされた好色なる作品は版画という出版媒体で瞬く間に巷間へと広まったらしい。

それは、老若男女、そう男性のみならず女性までもが愉しんだというから驚きである。

また、それらは今でいうパロディー物も多く、世界地図を真似て、南極を男性、北極を女性のそれに見立てて描く(暁鐘成作 万交区新話 両根地球略全図)など、みている物を飽きさせない。

憲さんは四階でみた、一部上流階級の独占物であった狩野派の美しくも卑猥なる肉筆画より、確かに芸術性では劣るが、江戸時代の庶民も手にした、笑いを誘うウィットに富んだ版画のほうがより強く興味をそそられた。

残念ながら、上述したウタマ〜ロの「手籠め図」も我等が北斎のかの有名な「蛸と海女」図もパネルでの展示だったがそれでも充分楽しめた。

参考

【蛸と海女】
https://media.thisisgallery.com/works/hokusai_03

(それにしても北斎の想像力とエンターテイメント性は群を抜いているものがあるとあらためて感心した。)

惜しむらくは、かなり美術館の箱そのものが手狭で、もう少し広い会場でみたかったのと、春画の余白に書かれているミミズがのたくったような文字の訳出がもっとされていればより楽しめただろう。

憲さんとしては、これからの課題は古文書とまではいわないが、江戸時代の貸本くらいは原文で読めるようになりたいものだと感じた次第である。

参考随筆

憲さんの古文書解読講座! 現代の御用組合は江戸時代の百姓から少しは学べ! 渡辺尚志著『言いなりにならない江戸の百姓たち』を読む
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2022/09/post-c6c099.html

また、みなさんにはもしこの春画展を鑑賞しに行くのであれば空いているであろう平日をお勧めします。

ところで、憲さんにとってそれらの作品以上に大きく興味をそそられたものがある。

それは何か?

それは、この「春画展」に来場している客層である。

非常に女性が多いのである。

それも若い。

確かに若いカップルも見かけるのだが、それより二十歳前後の女性グループが多い。

それも、我々が想像するような、カップルが酔っ払って熱海や鬼怒川の温泉の秘宝館に入り「やだ〜、なに〜これ〜!エッチ〜!きゃーきゃーハート」なんて乗りではまったくない。

それはかの古美術鑑定家であり憲さん好みのインテリ熟女、安河内真美先生が美術品を鑑賞するが如く真剣に、というか神妙にそして食い入るようにそれをみているのである。

参考

【安河内眞美】
https://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/smp/kaiun_db/kanteishi/kanteishi_3.html

その見つめる目の先のそれというと・・・

それは、男性のそれであり、女性のそれであり、そしてそれがそれの中に入ってなにそれしている極めて「なんだがな〜」といったそれである。

それも二十歳そこそこの娘さんたちがである。

憲さんにとっては、そっちのほうがとってもエロティックに思えました。

憲さん、美術の事はよくわかりませんが、この春画、特に江戸期における版画は芸術であるか否かの議論の前に、すぐれた庶民文化であり風俗であることは言を待ちません。

そういう意味では、極端にいえば、この「春画展」、中世から近世における『エロ本展』でなくて何でしょうか?

では、想像してみてください。

僕らが青春時代にお世話になった、あの数々のナニ本たちが、今から二百年後、三百年後、どこぞの美術館でガラスケースの中にうやうやしく陳列されて、それらをその時代の二十歳前後の若い娘さんたちが神妙な顔をして、口にハンカチか何かを押し当てて、見ている様を!

その作品群は、まずプロローグには『週間平凡パンチ』『週間プレーボーイ』や『ボム』が並んでいます。まだ、序の口です。

そして階を変えてメインの展示、題して『ビニ本から裏本へ』のコーナーです。

みてます、みてます、女の子が、あの『雅』や『冬の華』なる当時は非合法なる出版物を!

参考

【ビニ本】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%8B%E6%9C%AC

【裏本】

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%8F%E6%9C%AC

我々が心震わせ、ナニは随喜の涙で濡れさせた、めくるめくナニがナニしてなんとやらの「作品」群たちを!

そしてエピローグには我等の青春を飾り、そしてエポックメーキングの『りんごちゃんヌード』がデカデカと掲げてあるではありませんか!

解説にはこうある。「このヌードこそ時代を変え、時代を作ったヌードである!」と!

参考

【りんごヌード】
https://middle-edge.jp/articles/I0000781.amp

ありがとう!

ありがとう!

憲さん感激と涙で作品がみれません泣き顔

みなさん!想像しただけで興奮しませんか?

それとも私だけですかね?

興奮しているのは?

(´Д`)=*ハァ〜

二階の「豆判の世界」とエピローグも一通り見終え、会場の外に出た。

お日様が黄色く見える。

ここで、ポニョ吉、お決まりの一言!

「すごいね〜げっそり

確かに凄い!。

まず、何が凄いかといえば、時代が変わり、時が過ぎても、人間はやること、考えることは全くかわらない。

その一言に尽きる。

それは助兵衛が、文字通り!人をつくり、助兵衛が営々と人の文化をつくり、育んだことである。

助兵衛こそ文化の源であり、助兵衛こそ人間そのものである。

助兵衛万歳\(~o~)/

助兵衛マンセー\(~o~)/

である。

次に何がすごいか。

どこの美術館もやりたくてもやれなかった、この「昔のエロ本展」なる「春画展」をこの小さな美術館が日本ではじめて開催したことである。

よく、警視庁が見逃してくれたものである。

ちょっと前なら必ず、刑法175条、すなわちいわゆる「猥褻物陳列罪」なる被害者なき罪により極めて無粋なる当局による難癖がつき、展示物にこれまた無粋なる覆いがついたり、ひどいときは開催そのものが脅かされることもあるというのに・・・。

今回、なぜこのように本邦初として開催にこぎつけられたか考えてみた。

当美術館、現理事長は平成の殿様総理、かの細川護熙公にあらせられるぞ!

頭が高い!

頭がっ!

はは〜っ!

参考

【細川護熙】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E5%B7%9D%E8%AD%B7%E7%86%99

いくら版籍奉還しても、枯れても元殿様は殿様。飽きっぽくても元総理は元総理大臣。

彼の御威光が当局にして無粋な横槍を入れるのを躊躇ならしめているのだろうか?

いずれにせよ、

殿様最高!\(~o~)/

熊本藩最高!\(~o~)/

熊本城最高!\(~o~)/

アッパレである。

褒めてつかわそう。

( ̄ー ̄)ムフフ

永青文庫を出て、さらに北に向かう。

椿山荘の正門の目白通りを挟んだ向かい側に、カトリック教会の東京教区の大本山、故丹下健三氏が設計した東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂がある。

一同、神に導かれるがごとく教会の中に吸い込まれ、入っていく。

参考

【カトリック関口教会】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E9%96%A2%E5%8F%A3%E6%95%99%E4%BC%9A

この聖堂、建物自体が十字架をかたどっている。聖堂内部は見上げると天井が高く、天井も十字架の意匠だ。
後ろを振り返ると日本一のパイプオルガンが鎮座している。

日曜日なので、日曜礼拝が執り行われ多くの信者が聖歌を斉唱している。

敬虔なる仏教徒である我々は礼拝はスルーして見学に専念。聖堂正面脇に置かれた像に吸い寄せられる。

その像は人類救済のために、十字架で磔にされ殺されたキリストを聖母マリアがその亡骸を膝で受けとめ、その苦難のあとを偲び、限りない愛を瞑想する御姿。

かの、ミケランジェロの大作、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあるピエタ(悲哀)像のレプリカである。

参考

「東京カテドラル聖マリア大聖堂 東京都文京区 静寂に包まれる祈りの場」
https://mainichi.jp/graphs/20200518/hpj/00m/070/001000g/1

なんという美しき像!

なんという慈悲深さ。

そしてなんという清らかさ!

さすが、処女で懐胎されたお方である。

こんな小汚ないオッサンの御母堂だというのに若々しい。

一同、その像の前にひざまずき落涙す。

いままでみてきた「俗」なる画に溺死しかけた我の百八つの煩悩を一気に吹き飛ばしてくれるかの神々しさである。

まさに、「俗」から「聖」へのジェットコースターや〜げっそり

大聖堂を出て教会を後にする。禊ぎを終えた我々の後ろには、私たちを温かく見守る、ルルドの洞窟に立つ聖母マリアがいた。

参考

「東京カテドラル関口教会『ルルドの洞窟』を歩く」
https://teitowalk.blog.jp/archives/5707306.html

その御聖顔はいくぶん笑みをたたえているようにもみえた。

ありがとう、マリア様。

そう心でつぶやき我々は帰路についた。

やっぱり、東京最高\(~o~)/

東京散歩最高\(~o~)/

おしまい。

どーよっ!

どーなのよっ?

※参考随筆

“死”への誘惑を纏(まと)う珠玉の作品 杉浦日向子作『百日紅』
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2021/06/post-e2d799.html

葛飾北斎とその娘、葛飾応為(おうい)ことお栄について述べている。

※関連商品はこちらより


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憲さん、これ持ってるもんね〜!

( ̄ー ̄)ムフフ
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