吉野家が紅生姜を付け合わせにしたのはチェーン展開後。
それまでは沢庵、白菜漬け、福神漬け等々から、あれこれ変えて提供していたようである。
というか当時の日本人は、食卓に数種の漬物が必須で、そっちを主体にして食べてるようなものだったから。
(福神漬けだけで夕飯を食べる、植木等の歌があるね)
で、チェーン展開の折に紅生姜だけになった。
効率化のことを念頭に置いたのは想像に難くない。
味以上に効率化。おなじ手法をどこの土地でもすぐにやれること。バイトでもすぐに仕事ができること。
しかしTVCMが始まり
「ひとすじ〜80年〜」「明日はホームランだ!」
をやった時、視聴者はこう解釈した。
「テレビで宣伝してたから一流」
「話題の食事をしておかなければ笑われる」
「最新流行に乗らなければ、つまはじきにされる」
ええと、こだわりの老舗の、伝統和食の一品がブームになっている、と解釈したのよ。
よって、家庭のそれのように
「なんだ?沢庵ねえのかよ?」
とは言われない。場違いな最新流行の店におずおすと来店して、おごそかに食べ、家に帰って
「うーむ、うまい! 吉野家は伝統の味を守っているね」
とかなんとか、味のわかる男を演じたりしちゃってたのである。
乗り遅れず、最新の側につけたんだから。
有頂天でベラベラ語りたくなるものなのだ。
吉野家にあるものは、何から何まで「型」
もう決まっちゃってんの!
面白いのは、それがヒットして他業種が参入してきた時に「まるごと模倣した」事だ。
差別化という考え方は当時はまだ洗練されておらず、ほとんどそのままを真似るしかなかったからだ。
お客の側もまた
「もうコレって決まっちゃってんの!」
とばかり、それを様式と受け取ってしまっていたから、仮にライバル企業が紅生姜をやめて沢庵にしていたら
「ふざけんな、紅生姜だろ?常識で考えろよバカ!」
になった可能性が高いね。
というわけで、後発のほうが新メニューを先行できて、吉野家のそれがあんまり話題にならないのって、やっぱ「先行者の呪縛」だなーって気がする。
様式を作った側は、つまり聖書になるからね。おいそれと書き換えられないんよ。
やったは、信者の方が怒る(笑)
「ワシらは今まで通りがええんじゃ!」
てね
吉野家、焼失・倒産・BSEも乗り越え120年… “単品だけで勝負できない時代”でも牛丼に懸ける矜持
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6526955
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