Netflixで『ソーシャルネットワーク ('10)』を観ました。天才が、天才故に大きな仕事を成し遂げる一方で周りの人々を不幸にする展開が苦手なもので、劇場公開した時にはまったく観ようとは思わなかった作品です。しかし、最近になって、本作がデヴィッド・フィンチャー監督作品だと気付き、ちょうど配信もしていたので観てみようかと思いました。
なにしろFacebookの創業者であり『世界でもっとも若い億万長者』であるマーク・ザッカーバーグがテーマの作品ですので、もうそのキャラクターだけでも突出していてひとつの物語となりますし、来し方と大きく関係する二つの訴訟の場とFacebookを立ち上げ拡大していく過去の出来事とが交互に行き来する描写には卒がなくて、なかなか面白く観られました。ただ、物語の展開には意表をつくような点はなく、まず手堅い印象しか残りません。
しかし、映像となるとそこはいかにもデヴィッド・フィンチャーらしく、おおっと目を引くようなカットがいくつもありました。登場人物達の若さからくる熱がこもったような過去の場面から、明るく白けたような現在の場面に転換すると、観ているこちらがハッと我に返るような画面作りはそれだけで面白かったですし、中でも、ザッカーバーグの世界とはかけ離れたところにあるボート競技の場面の、明るく華やかだけど作り物にしか見えない映像は特に強い印象を受けました。
まだ生きている人物をテーマにした伝記映画と言うといろいろ萎縮するところもあるでしょうけど、関係なくデヴィッド・フィンチャー作品になっていたところが良かったです!
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