皆様、お今日は。宮内庁三の丸尚蔵館にて7月12日迄開催中の令和2年6月臨時展示である「皐月，水無月，文月〜夏めく日本」展に行って参りました。その感想です。
今春，これまでに経験のない外出制限の中，何時もよりも身近な自然の中に春らしさを感じて過された方も多かったことでしょう。桜が日々咲き進むなか，春の花々が次々と周囲を彩り，鳥や虫が飛び交い初め，さらに若葉萌ゆる季節へと移ろいました。そして，ようやく私たちも外歩きを楽しめるようになりました。季節は夏へと向かいます。
わが国では，四季それぞれの様々な事象や花鳥風月に対する細やかな感覚を和歌に詠み込み，また美術的に表現して，季節感豊かな文化を発展させてきました。旧暦の和名で五月を皐月と呼ぶのは，早苗さなえを植える時期であることからとされ，雨が多い時期であることから五月雨月さみだれづきとも言います。また六月を水無月と呼ぶのは，暑さがピークとなって水が涸れる時期にあたることからで，山野が青々と茂ることから青水無月とも，また暑さをしのぐ風を待つ時期であることから風待月とも言います。七月の文月は，稲穂の花や葉が蕾のまま（含ふふむ）の様子から，また七夕に詩歌の文を供えることからとも言われます。現在の暦の季節とは少しズレがありますが，こうした季節感を私たちも感じ取りながら，本格的な夏へと移りゆく季節を健やかに過していきたいものです。
本展では，初夏から盛夏の風情を，愛らしさや美しさ，そして豊かな情感によって表現した絵画作品，また卓抜した技法による工芸作品等と共に，今話題の明智光秀壮年期の七夕の和歌を紹介します。
皇室の方々も、宮内庁の皆様も「コロナ自粛疲れ」を吹き飛ばそうとして臨時に企画された本展示ですが、実に夏らしくてナイスな企画であります。大手門にて手指のアルコール消毒と恒例の「手荷物検査」を受けたあと、三の丸尚蔵館に入る際にサーモグラフィによる体温検査がありますが、それをクリア出来れば無料でこれだけ観れるのは嬉しい事でして、宮内庁の皆様の粋な計らいを感じたのでした。
いつも思うんですが、本当に自分のところの収蔵品だけでこれだけヴァリエーションが飛んだ展示が出来るのは、東京国立博物館と東京藝術大学大学美術館位なものでして、展示物も明智光秀、徳川家康、徳川秀忠等の和歌が収められた『古筆短冊手鏡』や円山応挙先生の『海辺図』、長澤芦雪の『唐子睡眠図』、森轍山の大作『孔雀図』と言った円山派、森派の絵画、加納夏雄・海野勝�Δ旅膾遒任△訥鏡箋珊�『岩上鶺鴒置物』、板谷波山先生の『白磁枇杷彫文花瓶』等、最高のものだけを集めたコンパクトですが秀逸な企画でして、これを見逃すのは余りに勿体無いと思います。竹橋にある東京国立近代美術館とのハシゴをすれば充実した夏の一日が過ごせることは自分が保証致します。
https://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/kikakutenji-r02.html
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