■宮崎駿さん企画の新作長編アニメ、NHKが今冬に放送へ
(朝日新聞デジタル - 06月03日 14:16)
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スタジオジブリが新作長編アニメ「アーヤと魔女」を制作し、冬にNHKで放送する。3日、NHKが発表した。宮崎駿さんが企画し、長男の吾朗さんが監督する3DCG作品という。
原作は、宮崎駿監督によって映画化された「ハウルの動く城」と同じ英のダイアナ・ウィン・ジョーンズさんによる児童向け小説。日本語訳は徳間書店から出版されている。自分が魔女の娘と知らずに育った少女アーヤが奇妙な家に引き取られ、意地悪な魔女と暮らすことになる物語で、原作を気に入った宮崎駿さんがアニメ化を企画したという。
ジブリの鈴木敏夫プロデューサーはコメントを発表した。「コロナ（新型コロナウイルス）の後、世界はどうなるのか？ それが現在、いろんな人の一番大きな関心事です。映画やテレビだって、それを避けて通ることは出来ません。『アーヤ』は、コロナ後に堪えられる作品なのか？」
「この作品の大きな特徴は、アーヤの賢さだと気づきました。賢ささえあれば、どんな時代も乗り越えられる。そう思ったとき、安堵（あんど）を覚えました」
「『長くつ下のピッピ』が世界一強い女の子なら、アーヤは世界一賢い女の子の物語です。憎たらしいけど、なぜか可愛いアーヤ。いろんな人に愛されることを願っています」（小原篤）
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プロデューサー：鈴木敏夫 コメント
『コロナの後、世界はどうなるのか? それが現在、いろんな人の一番大きな関心事です。
映画やテレビだって、それを避けて通ることは出来ません。『アーヤ』は、コロナ後に堪えられる作品なのか? ラッシュを見ながら、ぼくは何度も考えました。そして、この作品の大きな特徴は、アーヤの賢さだと気づきました。賢ささえあれば、どんな時代も乗り越えられる。そう思ったとき、安堵を覚えました。『長くつ下のピッピ』が世界一強い女の子なら、『アーヤ』は世界一賢い女の子の物語です。憎たらしいけど、何故か可愛いアーヤ。いろんな人に愛されることを願っています。ちなみに、アーヤは誰かに似ていると思ったら、この作品の監督である吾朗君そのものでした。それを指摘すると、吾朗君は照れ臭そうに、はにかんでいました。』
人間の賢さは嫌味である。だから、物語は常に賢い人が苦境に立つ所を描いてきた。千夜一夜物語が、その典型であろう。賢い女性と言う時、この物語の語り部シェヘラザードとドゥンヤザードを忘却する事はあり得ない。
古事記に描かれた物語の多くは騙し討ちと計略であるが、その賢さに人々が胸躍らせるのも、彼らが不利な側に立つからだ。こうして、強いものを打ち倒す物語は、世界中のどの神話にも物語にもみられる。
かように賢さというものは、警戒されてきた。その証拠と見做す事ができる。だから、神というより上位の賢者、強者が存在しなければ、人間は王を認める事はなかったであろう。如何に堯舜が賢人だとはいえ、彼らの評価がその賢さにではなく、その徳の高さにあった事は中国の太古から研究で結論は極まっている。
賢い悪王は手に負えない、ローマは長い歴史の中でそれを証明しようとしてきた。そして、愚かな王は更に手に負えないという結論を得る。しかしカエサルが暗殺されたのは、彼の賢さ故であろう。彼が賢くなければ、殺されるような実績は残せなかったであろう。一人の兵士として軍に従事し、戦場で朽ち果てたろう。
賢いとは、人に先んじて資産を奪うという意味である。コロナ後であろうが前であろうが、２１世紀はそういう時代になっている。どんな時代も乗り越えられるとは、だれひとり見捨てずに、という意味ではない。
よって、この場合の賢さとは、徳なりなんらりの拘束がある上での条件付きになる。さて、賢さだけが時代を作ったのか。賢さが歴史を進める原動力であったか。
戦争と平和を読むものは、最後のエピローグにおいてトルストイの考えをトレースしながらも、歴史とは何かという事について考えざるを得ない。自由と必然についての考察が、歴史という正体に迫り、しかし、打ち砕かれるかのような錯覚を思えながらも、深く感じいられずにはいられない。
ナポレオンがその聡明さによって世界を手中に収めたはずなのに、全く同じ人物が、全く同じ行動にって破滅への道を突き進んだ。それを脳腫瘍や、加齢による前頭葉の劣化にその理由を求める事も可能であろう。人はどこかでそれまで蓄積してきたものを使い果たすようになる。
当人は時代の先端を取り入れているつもりでも、それを処理するアルゴリズムが昔のままであるから、必要な情報を捨て、重要でない情報に注目するようになる。最新データを取り込んでいるから安心していいわけではない。その情報処理が昔のままなら、おそらく、いつもと何も変わらない結論を得るだけである。そして安堵する。
人も年を取るにつれて、考え方が古いと周囲から言われるようになる。何も変わってないと言われるようになる。また同じことを語っていると言われる。春木屋理論によれば、変わっていないと感動させるためには、常に変わり続けなければならないそうである。
人々は変わる、時代は変わる。その中で同じ場所に、まるで北極星のように存在するためには、自分自身の位置も変えていないと不可能だ。その証拠に２千年もすればケフェウス座ガンマが北極星になる。
ヒットラーも聡明であったのだろう。だからあれだけの地位を手にいれたのだ。もう一度やってもそう出来るかは不明である。数百回のたった一度だけがこの世界の結果だったと考える方が妥当であろう。異なる次元の世界ではヒットラーはただの絵かきであったり、優秀な曹長として終えていたかも知れない。
彼がアウシュビッツをしなければ、後世の評価は大きく変わっていただろう。だが、それは、現在の右傾化を更に激化しているかも知れないし、あれだけの事をしたから冷戦は戦争をせずに終われたのかも知れない。イスラエルがナチスの正当な後継者としてパレスチナに対して絶滅戦を仕掛ける事はなかったかもしれない。またはもっと過激である可能背もある。歴史のifを語るのは無意味だが、その無意味にさえ耐えられないような論説ではあまり強いとは言えまい。
しかし、今も駿の名を冠しなければ作品を語れないのはまずい。彼は彼でいま別の作品と格闘中であろう。これは誰が企画しようが宮��吾朗の作品であるにも関わらずである。その辺りが辛いと思うのだが、そういう形でしか記事を書けない記者というのは、何も変われない典型だろうと思う。
朝日新聞のような比較的恵まれた人たち、この危機において、当人たちは何も危機感を感じずに済んだ人たちというのは変わる切っ掛けが得にくいだろう。多くの人は、それでもこれが変わる切っ掛けになるだろうと直感しているものである。
でも変わるべきであるという感覚と、では何をどう変えるべきかの間には河が流れていて、誰もが渡れるというものでもない。だが、おそらく誠実に取り組む事が、例え河を渡れないとしても、そこに橋を架ける助けになっているだろう。誠実にまさる賢さはない、というのもまた人間が歴史から見いだした真実である。しかし、現代はそれをないがしろにする時代である。
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