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2019年11月17日03:36

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「強健術」案内74

今回は、「第六練修法 (広背筋)」を見ていきます。この型は『実験 簡易強健術』、『心身強健術』に発表されたものと形的にはそれほど変わりませんが、『心身強健術』から新たに加味された重要な要素はやはり導入されています。

イ、両腕を伸張して、俯伏したる時、頭部より脚部に至るまで、水平を保ち得る程の高さの場所(机、椅子、踏台或は窓の肘掛等適宜)に両足の爪先を架す。
ロ、両腕は、体と地の平行線に、直角になるように真直ぐに伸ばし、
ハ、掌は、五指を揃えて、地に突く。
ニ、両手の間隔は体側に添うの位置、即ち体が丁度この間にはまる丈(だ)けの位置をとる。
ホ、頭は真直ぐ。
ヘ、視線は両手の真中の地に注ぐ、(以上準備姿勢)。

ここまでが準備姿勢ですが、『実験 簡易強健術』、『腹力体育法』ではこの後に、「この位置定まるや、渾身、腕より足の指先まで、力を込めて緊張す」とあり全身に力を込めさせています。ところが、『心身強健術』ではこの部分が無くなっています。これまで、春充は本運動の時以外は、全身の力を抜いた「自然体」になることを基本としていましたので、その原則に立ち返ったものと考えられます。

ト、 両掌及び足端は位置を変えぬ儘(まま)、急激に、出来得る限り低く下ろす。

この部分主語がありませんが、「腰」を下ろします。ちなみに前著『腹力体育法』では、「両掌及び足端は位置を変えぬまま、急激に、腰部のみを上下する。―出来得る限り腰を高くし、又低く下ろす」と腰を上下することを一文の中に解説しています。今回はこの動きをト、で腰を下ろす動作を解説し、リ、で腰を上げる動作を解説するように分けたものと考えられます。

チ、体を上下する時、膝と腕とが曲がらぬ様に注意すべし。
リ、腰を上げたる時、両掌を以って強く地を押し、両踵に力を込めて、空間(踵は踏み台に着いて居らぬ故)を強く踏み附くるが如くになせ。腹筋の緊張と共に後背筋は自ら最大極度の緊張をなすべし。

この部分が『心身強健術』で大きく変化した部分です。この「第六練修法 (広背筋)」の型の「本運動」がここになりますが、これまで『実験 簡易強健術』、『腹力体育法』では単純に腰を上下させる運動法でした。そしてこの運動法の目的は、「全身の筋肉に一時に力を入れて」(腹力体育法 P.96)「体格の均整を謀る」(実験 簡易強健術 P.242)ことにありました。ところが、今回見ている『心身強健術』では「広背筋」を鍛える運動法と位置づけられています。そして最も大きく変化した点は、「両踵に力を込めて、空間(踵は踏み台に着いて居らぬ故)を強く踏み附くるが如くになせ」とある部分です。少し高い台の上に足が乗っていますので、踵は少し浮き上がりますが(台が無くても、腰を下ろすと踵が浮き上がります)腰を上げて型が決まった瞬間、手をつっぱり浮いた踵を台(台が無い場合は床)にドンと押しつけます。こうして、『心身強健術』から新たに導入された「脚の踏みつけ」がここにも応用され「腹筋の緊張」を助けているのです。

ヌ、上より下に移りて、一回の運動となし、すべてにて三回。

「踵を踏みつける」ことにより、『実験 簡易強健術』、『腹力体育法』では5回であった回数を減らすことに成功しています。

ル、『鍛冶練磨す幾百回』の意気を以って、此の難運動に堪えよ。
(心身強健術 P.158〜159)

次回は、「第六練修法 (広背筋)」の(備考)を見ていきます。

(写真は、「第六練修法 (広背筋)」を行う春充)
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