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2019年10月22日22:27

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火曜は……

 火曜は、映画4本。
 
 1本目、品川プリンスシネマで、
 「駅までの道をおしえて」
 これは、直木賞作家・伊集院静の短編を橋本直樹監督が映画化したもの。
 主演は、新海誠監督の娘である新津ちせ。

 愛犬ルーの突然の死が受け入れられない8歳の少女サヤカは、一頭の犬に導かれ、同様に喪失感を抱える老人と出会って……

 この映画、傍らに愛犬の姿のない事に戸惑うように街中を彷徨うサヤカの姿だけで、もう目頭が熱くなる。
 そうして始まるドラマは、8歳の少女が抱え込むのには余りに大きな、身近な「死」を描くもの……身近な人がいなくなってしまう、死別と言う別れを、それこそサヤカにも判るように描くドラマには心揺さぶられる。
 ただ、元が短編小説で、エピソードにもひねりがないのに対し、2時間を超える映画はさすがに冗長。
 新津ちせの愛らしさと、犬の自然な動きに思わず頬は緩むものの、中盤以降はさすがにもどかしく思え、感動を削がれた感あり――せめて、これが90分であったら、むしろ印象はいいように思うのだが。

 この映画で、三途の川を渡るのは鉄道なのだけど、秘密の広場でルーが掘り当てるもの、そして、ルーが赤い電車を好きな事を伏線にした、クライマックスの展開には納得。ただ、いかに京急電鉄が全面協力とは言え、彼岸から来る列車を最新の京急車両にする事はないと思うのだが……

 あと、特筆すべきは、新津ちせの才能。子役の域を超えた自然な演技に雄弁な目力。これは天才の部類でしょう。


 1本目の後、昼食にしたい所だけど、生憎時間がない。セブンイレブンのイートインでサンドイッチひとつ頬張り、映画館に逆戻りして観る2本目は、
 「最高の人生の見つけ方」。
 これは、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンのW主演の2007年の同題映画を原案に、吉永小百合と天海祐希でリメイクしたヒューマンドラマ。
 監督は「のぼうの城」の犬童一心。

 平凡な主婦の幸枝と、ホテルチェーンの女社長のマ子。末期がんの宣告を受けた2人は、ひょんなことから同じ病院の2人部屋に入院することになる。
 ある日、幸枝は病院で出会った12歳の少女が落とした“死ぬまでにやりたいことリスト”を手にする。一時退院した2人は、自分の残りの人生のためにリストを実行に移す事にするが……

 余命僅かな老人の暴走気味な「やり残し」を描き、最後にハートウォーミングなエピソードで締めくくる、と言う構成は同じながら、それを日本でやるとどうしてこうもダサく、湿っぽくなってしまうのか。
 確かに前半は悪くないのだけど、後半はぐだぐだで、最後の家族の和解など、どうしようもない。
 そもそも、私は吉永小百合の演技が好きではなく、本作も見送りのつもりだったのだが……やはり本作もダメだった。

 映画としては、主演2人よりも、ひとりコメディ担当で頑張るムロツヨシと、凛とした存在感を放つ満島ひかりの奮闘が目立つが、それでもこの仕上がりは残念と言うしかない。


 この後、新宿へ移動。 3本目は、新宿武蔵野間で、
 「ホームステイ ボクと僕の100日間」。
 これは、日本で実写映画とアニメ映画が製作された森絵都の小説「カラフル」をタイ・バンコクに舞台に映画化したもの。

 死んだはずの“ボク”の魂は、「当選しました」の声で自殺した高校生ミンの肉体に宿ることになる。
 100日間でミンの自殺の原因を見つけないと、“ボク”の魂は永遠に消えると告げられ、“ボク”は新生“ミン”として再び生き始める。

 原作は未読、映画版はアニメの方を観ているが、タイ版は様々な所が極端で、これもお国柄、と言う所か――冒頭の展開は、ホラータッチのSFサスペンスのノリで、自殺の謎解きミステリーに転じ、高校に舞台が移ってからは学園ラブコメで何とも甘ったるいロマンスを描いて行く……終盤、ミンの自殺の理由に迫る中で、彼を巡るどうしようもない状況が明らかになって行く、その描写もエグくて、これはまぁ、死にたくもなるわなぁ、と。
 物語としては、そこからの転回がちょっと弱く、ドラマの盛り上がりを欠いた感があるのが残念。あと、ミンの友人を女性にしてしまった事で、ミンと憧れの先輩とのロマンスが結果三角関係っぽくなってすっきりしなかったも気になる所。
 最後の“収まるところに収まった”辺りも、さすがにご都合主義だなぁ、と思ってしまった。
 ただ、あまり身近に感じる事のないタイの高校生の青春ドラマは目新しかった。


 4本目は、テアトル新宿に移動して、
 「ブルー・アワーにぶっ飛ばす」
 これは、TSUTAYA CREATOR’S PROGRAM FILM2016で、審査員特別賞を受賞し製作された人間ドラマ。監督は、本作がデビュー作となる箱田優子。

 売れっ子CMディレクターの砂田だが、何者にもなれない自分や大嫌いな田舎にコンプレックスを抱き心は荒みきっていた。結婚はしているのだけど、子供を作る気にはなれず、妻子あるスタッフと不倫し、飲んだくれる毎日。
 そんなある日、祖母を見舞うため故郷の茨城に帰ることになり、そんな彼女に清浦がついてくる。清浦は、砂田が困った時に必ず現れる、自由奔放な“秘密の友人”だった……

 この映画、夏帆のバンカラっぷりが凄い。すっぴんで大酒飲んで悪態をつき、花壇に頭突っ込んで公園のベンチで爆睡……今、これが出来るのは他に門脇麦くらいだろうか?いずれにしても演技の幅を一段広げた事は間違いない。
 物語としては、都会の生活で何時しか心荒んだ女性が、故郷の現実を見て、それでも「生きる」と言う事を見直す、と言うもの。
 ダサくとも、イケてなくとも、それだからこそ生きているのだ、と結論は頷けるものだし、それを飾らない、素の言葉で紡ぎ出した箱田優子監督と、演じた夏帆とシム・ウンギョンには素直に賛辞を送りたい。
 そして、そうした語るべきものがあるから、30女の一泊二日の帰郷がちゃんと面白い映画になるのだ。

 気になったのは、最後、“秘密”が明かされるシーンが決まらなかった事。また、“秘密の友人”を外国人にするのもちょっと狙い過ぎのような気がした。

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