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2017年09月08日11:55

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エッセイ集513:「電気自動車の動向を複眼的にみる」

<電気自動車の動向を複眼的にみる>
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最近になって日産の「新型リーフ」の発表や、トヨタとマツダの提携など、電気自動車の普及への動きが加速しているようです。

そこで改めて電気自動車の動向について考えてみました。

[電気自動車はクリーンか?]
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まずは「電気自動車は本当にクリーンか?」という基本的なお話です。

蓄電池を動力とする電気自動車は、温室効果ガスを発生しないという意味では確かにクリーンと言えます。

しかし、蓄電池を充電するための電力を発電するために化石エネルギーを使っているとすると、電気自動車も結局は化石燃料で動いていることになります。

温室効果ガスの発生場所が「発電所」なのか「自動車」なのかという違いだけになります。

ただ、工業、農業、食品産業などにおいても集中して大規模な生産を行うと効率が上がるように、同じ化石エネルギーの消費でも、集中化、大規模化した発電所での温室効果ガスの発生は、多少の送電ロスはあっても、個々の自動車で化石燃料を燃焼するよりは少なくてすむのは確かなようです。

さらに発電所が化石燃料を使わなければ、電気自動車は確かに完全にクリーンなものになりますが、エネルギーのクリーンさについては、あくまで発電、充電、蓄電、走行までトータルした視点が重要なのは言うまでもありません。


[中国における電気自動車の普及推進]
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欧州に劣らず中国が電気自動車の普及推進しているようです。

トランプ政権による米国のパリ条約離脱の動きに対して、中国は温暖化防止に積極的に取り組んでおり、電気自動車の普及推進もその一環のように考えられます。

しかし実際の所、中国の喫緊の課題は北京や上海など都市部の大気汚染です。

従って、中国にとって当面の問題は、ガソリン車による温室効果ガスの発生でなく、有毒な排ガスによる大気汚染であり、電気自動車の普及は大気汚染源を、都市部を走るガソリン車から都市部から離れた発電所に持っていくということのように思われます。

[水素社会は到来するのか?]
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最近の電気自動車の普及への動きの加速とともに、水素を燃やす燃料電池車の動きが若干影をひそめているようです。

電気自動車の現時点の最大の弱点はその充電時間の長さです。それに比べ燃料電池車の場合は、ガソリンと同じ要領で液体水素を注入すれば良いのでその利便性は格段に上がります。

その燃料電池車に代表される、将来における「水素社会」の確立が大きな話題となってきました。ただ、基本的には電力を使って水を電気分解して水素を作り、その液体水素をボンベに入れて運搬し、最終的に燃料電池で水素を燃やして動力を発生させるというのは、かなり非効率なものです。

それは電力の最大の利点である、運搬の容易さ(=送電)を犠牲にしたものです。まずは電力を効率よく送電してそれを蓄電するのが全体としての効率を最大化します。

このことを考えると「水素社会」を推進してきたのは、燃料補充に時間を要さないという大きな恩恵を受ける自動車業界であり、他の業界にとっては「液体水素+燃料電池」より「従来の送電+蓄電池」の方がはるかに効率的だと思われます。

自動車業界としても、電気自動車と燃料電池車への二重投資は、その膨大なインフラ投資を考えると現実的なものではないようにも思われます。

そういう意味では「夢の水素社会」も、自動車業界の意向を反映した一時だけの「はかない夢」で終わってしまうのかも知れません。 (おわり)
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