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2017年08月13日20:28

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地学ノススメ 「日本列島のいま」を知るために  <読書メモ>

鎌田浩毅著   講談社 2017年 (ブルーバックス) 

同じ理科という範疇にありながら地学は生物学、化学、物理に比べて高校教育では冷遇されている。私が通った高校にも地学の専任教師がおらず、他の教科の年配の教師が兼任で教えていた。畑違いの教科を教えなくてはならないその教師も大変だったが、にわか仕込みの教鞭では教わる方は更に大変で教師が何を教えているのかさっぱりわからず、授業を聞くものなど一人もいない状態だった。

ところが進学を希望した大学の理科が地学1科目だけであった。理科は大好きで化学や生物なら絶対に自信があったが地学を一から学びなおすには不安が大きかった。結局進学先を変えて好きな理科が2科目選択という大学を受けることにした。

地学というとそのような苦い思い出がよみがえるが、後年何かの本で知った大陸移動説(1912年にドイツのアルフレート・ヴェーゲナーが提唱した)から発展したプレートテクトニクス論という地球規模のダイナミック理論を知り地学が面白い学問と知ったが後の祭りであった。地学とは地球科学の略らしいからもっと学校教育で重要視してよい学問分野ではないだろうか?

筆者はこの地味な地学をもっと世間に知ってもらおうと本書を書いたとしている。現在の地球を知るのに重要な考え方の「プレートテクトニクス」理論が地球上部の平面的な観察に加え、地球内部と上部とのダイナミックな動きである「プルームテクトニクス」理論の2つを紹介し平面的かつ立体的に地球を考察する。

地球科学といえば、一般人に関心があるのが地震・噴火ではないだろうか。本書も後半に地学的な視点か世界の地震・噴火について書いている。南海地震の危険性について警鐘を発している本書では前半から火山噴火が及ぼす重大な影響についても記している。日本では桜島の噴火と関連する姶良カルデラとその近くにある鬼界カルデラの噴火が及ぼす影響が書かれている。姶良カルデラや鬼界カルデラについてはその存在は知っていたが、本書では白頭山(北朝鮮と中国の間にある山)の噴火が2032年までには98%の確率で大噴火を起こす可能性があることも書いている。白頭山の大噴火は南海地震、姶良カルデラ、鬼界カルデラと同等かそれ以上に世界的な影響が大きいことに警鐘を発している。

地球を知るという意味でも地震・噴火の予知ということでも地球を対象とした地学(地球科学)は理科教育で重要視してよい分野のようだ。

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