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2017年03月20日22:53

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今日のコンサート

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今日は柴田奈穂さんが主宰するタンゴ・ユニット「LAST TANGO」の「ブエノスアイレスのマリア」を聴いてきました@下北沢・東京都民教会。
演劇とライヴハウスの街下北沢で、あえて教会で「ブエノスアイレスのマリア」を上演する、というところに柴田さんとメンバーの意気込みが伝わります。会場はステンドグラスから自然光が入る天井が高い礼拝堂、雰囲気も音響もなかなかイイ感じ。
前半はLAST TANGOのオリジナル・レパートリー。大作の上演を控えて柴田さん以下若干硬くなっていましたが、2〜3曲弾き進むうちに序々にほぐれてきて、客席は温まってきました。
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後半はいよいよ「ブエノスアイレスのマリア」。ピアソラはアルゼンチンでヒナステラに、パリでナディア・ブーランジェに師事して、当時の最先端の音楽理論と作曲技法を身につけると同時に、当時まだ健在だったプーランクやジョリヴェなどと交流してその音楽に影響を受けました。
「ブエノスアイレスのマリア」は、ピアソラがパリで学んだ成果を集大成した「タンゴによるオペラ(オペリータ)」として1967年に創られた作品です。今回は全曲から聴きどころを抜粋して再構成したものですが、元々シュールな台本をもとに創られたので、筋や内容を追うというより、ピアソラの音楽の面白さと歌心を楽しむのが第一の魅力といえるでしょう。
音楽は前述のようにプーランクやラヴェル、ジョリヴェからの影響が色濃く表れています。特にプーランクの「ティレジアスの乳房」、ラヴェルの「スペインの時計」「子供と魔法」など20世紀フランスの舞台作品との関連性が強い作品に感じられました。
しかし、音楽の芯にあるのはあくまでタンゴであり、ピアソラの音楽を表現するためにはやはりタンゴのスペシャリストであることが必要で、普通のオペラ歌手では歯が立たないでしょう。
今回はタンゴのスペシャリストたちのユニットによる上演であり、原語上演でスペイン語がわからないながらもピアソラの音楽が理解できたのはひとえに二人のヴォーカリストの歌の力が素晴らしかったからに他なりません。
男声のKaZZmaさんは時に力強く、時にしなやかに自由自在にピアソラの海を泳ぐ魚のようでした。女声のマヤンさんは以前に比べ格段に表現力が上がって、見事なオペリータになりました。
器楽勢はもとよりユニットとしてライヴを重ねてきたということもあり、素晴らしいアンサンブルとコラボレーションでした。ゲストとして参加したピアノの宮沢由美さんの鮮やかでしなやかなピアノがアンサンブルを一層華やかに彩りました。
柴田さんによるアレンジもピアソラの音楽性や感性を損なうことなく、めくるめくタンゴの情感をよく生かしていました。
一つ欲を言えば、やはり詳しい対訳が欲しかったです。さすがに字幕は厳しいでしょうが、歌の前に訳詞の朗読をはさむとか、プログラム・ノートを創るとか(有料でもかまいません)、一工夫すれば作品の理解がさらに深まったのにな。と思います♪
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