もう8月も終わろうとする今、ジョイフル本田まで、橙助とカブトムシを買いに行ったのでした。
「今飼い始めて、ちゃんと繁殖しますかね」
「あ、大丈夫だと思いますよ。ちょっと狭めのところで出会うチャンスを与えてあげれば。
出会えなかったら、オスをメスに乗っけちゃえばいいんです」
まめに探しに行けば採れないこともないこのあたりで、カブトムシをわざわざ買うというのはちょっと屈辱的ではあるけれど、いたしかたない。夏の初めに橙助がバンドの後輩からもらったつがいがどうも、あまり馬があわないらしい。というか、オスがメスに嫌われている。
オスの名前は「ばかお」
交尾を終えて産卵すべく土に潜ろうとするメスをさらに追い掛け回すというKY男子。
メスの名前は「王理恵」
いやいやばかりしている。まあ、嫌いなら仕方がない。
そこに今回は、オス一匹、メス三匹が加入。
オス2、メス4というのが、理想的なコミュニティーらしい。
それにしても、カブトムシというのは、見ていて飽きない。
こんな楽しみを今まで知らなかった。
丁度、動物園の猿山を眺める感じとも似ている。
オスとオスの喧嘩。
かと思えば並んでじゃれてるし。
オスは交尾目当てでメスを追いかけまわしてばかりいるかというと、それだけでもなく。オスとメスの間で、餌場をめぐる喧嘩が勃発したり。
小柄な「ばかお」が新入りの女子にこずかれて小さくなっていたり。
結局「ばかお」は、「王理恵」ばかりに執着していることが判明したり。
そして、やはりダイナミックでスリリングな交尾。
おこなった後、メスは潜ってしまうけれど、オスは相当疲れているらしく昆虫ゼリーを抱えたままピクりともしない。なんか、わかる。
カブトムシを飼うとほんと交尾の話ばっかり。
「ま、人間もおなじだけどな」
なんて橙助を横目にちょっとした性教育。
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