直木賞作品を読破するぞシリーズ!
二回目は!
第135回 直木賞受賞
三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」
東京と神奈川の狭間に存在する「まほろ市」で、便利屋を営む中年男、多田は。
正月早々の仕事先で、高校時代、一言も口をきかなかった同級生、行天(ぎょうてん)と再会する。
行くあてのない行天は、多田の事務所に転がり込み。
後先考えない、破天荒な行動で多田をイラつかせつつ。
様々なトラブルを解決に導き、2人は依頼者たちを救うのだった。
ペットの預かり、小学生の塾への送り迎え、女子高生のボディガード、老人宅の納屋の片付けと言った、ありふれた仕事が。
なぜかいつも、ヤクザ絡みのヤバい事件になり。
物事を穏便に、穏便に済まそうとする多田の前で、行天が、一番、選択して欲しくない行動を取り(笑)
行天の大胆さと腕っ節。
そして多田の知性と細やかさが、不思議と噛み合って、事件を解決する。
要するに「便利屋」と言いつつ、バディものの探偵小説なんだけど。
これは面白い!
そして深い!
多田も、行天も、いい年をしたオジサンであり、今までの人生は、決して満たされた物ではなかった訳です。
行天は、高校時代、級友の悪ふざけが元の事故で、小指の先を切り落としている。
多田は、直接この事故に絡んでいやいが、キッカケを作っている。
行天の指は、すぐ縫合したので、くっついたが。
数十年、経過した今も傷跡は残り、神経は通わず、触っても冷たく、色も白い。
この指の傷が、この作品のテーマなのだ。
人生は破滅しない。
どんな不幸が起こっても、行天の指の様に、「修復」はする。
だが、元に戻らず、温かさも通わず、感覚のない様な「修復」に、人は満足するのか。
この物語では、様々な「依頼者」や、その周囲にいる人々や、多田や行天たち便利屋自身も、人生の「修復」を願っている。
これ以上はネタバレになるので、皆さん読んでくだちぃ。
続編もあるから買った!
映画とドラマにもなってるから観る!
しかし、題名というか、舞台を「まほろ市」としたのが勝利だよなぁ。
ぶっちゃけ、モデルは町田なんだけど(笑)、駅裏にヤクザと娼婦がタムロする、シン・シティの様な描写のためか、架空の町になってますが。
これ架空の名前でも、漢字の名前にしなかったのが、流石だと思います。
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