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2015年11月28日06:57

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ニッチ

ニッチの語源はどうやら建築用語にある、壁などのへこみ、壁龕のことだと思うが。
「ある生物が生態系の中で占める位置」という意味もあり、こちらは生存競争などの説明に使われる。


『スキマから あなたのニーズを先回り それが勝利の鉄則』


ではないが、『大企業が関心をもっていない,あるいは対応できない領域において,独自の高度な技術・知識,常識にとらわれない柔軟さをもち,小口の需要にも迅速に対応するといったビジネスモデルを構築することにより,高収益をあげる』と定義されていることから、ニッチ産業はあくまで「ニーズがあるからサービスを提供する」訳ですけど。

サービスを受ける側は充分な金銭を必要とする訳ですな。
これはどうしようもない。

で。よく似てるし間違われることが多いというか間違われるんですが……基本的に車業界はニッチ産業で支えられていると思っています。
何せ一度購入してしまえば10年近く持つわけです。
維持整備ってそんなにお金がかかる(儲かる)ものじゃないです。
半分以上の値段が人件費であることを考えると、材料費は格安と考えるべきかも知れませんが。

なんで、ここにニッチがあるのです。ドレスアップとか。

ところが実際にはこのドレスアップと呼ばれる行為と「チューニング」を勘違いさせる(というか、だから一部の人間には「ドレスアップ」という言葉が嫌われる)ものがあるのです。
さて私の考えている車業界のたて構造(あくまで、妄想と個人的印象)を見るとこう。

1 もっとも一般
 車を作る産業(ホンダ、トヨタ、マツダ等)と売る業種(上記業者提携(傘下)ディーラー)
 所謂大企業+傘下、ベンダー企業。当然維持整備にもマークと社名が入ってるし、「純正」の名の下にアクセサリを販売。
 純正アクセサリに準ずる汎用アイテムを売る某一般企業もこのライン、一般と思われる。
2 ちょっと嗜好
 ステッカー、純正にはないアクセサリ(過去にはマフラーカッターなど)、汎用オーディオ。
 意外に現状ではニッチとは言い難く、当然有名汎用品店が建ち並ぶ今はこれも充分大手さんというべき。
 ちょっとLEDつけるよ、程度ではニッチとは言えない。
 というか、昔は純正でも存在しなかったものがどんどん純正化・汎用化する。
 そのうちフルラッピング・痛車も純正化するんじゃないか。
3 物足りない方々へ。
 ダウンサス、純正形状サスペンションキット、エアロ。マフラーなど
 この辺になると所謂すきまって言っても良いのかも知れない。でもこの辺りも最近は純正化してきて、あんまりすきまらしくない。
 でも、「ワンオフ」というすきまを形成する一角を担う。実際有名エアロメーカーものも当然あるんですけどね。
 そんなエアロ、誰が好んで付けるの?と言うとそれはニッチ産業な訳です。
4 ライトチューン
 あれ?と思うかも知れない。いやいや実際にはこの辺から初めて私はニッチだと思うのです。
 3辺りは最早純正でも提供され初め、ニッチを生むに至っています。3が生んだ、更に一歩踏み出したのがこの領域。
 マフラーを変えた?いやいや、エアクリまでそろえて燃調見てECU触るんでしょ?と思ったら最早3のような「性能に影響をほとんど与えないから赦されてきた」ドレスアップから「性能を向上させることで色んなものを失っていく」領域に踏み込む訳です。

 4を支えてきた業界を、通常「チューニングショップ」と呼びます。ま、探せば判りますがまっとうに長く頑張ってるチューニングショップはほとんどありません。
 もう少し精確に言うと、主体に飲み込まれて動けなくなって、そのすきまが発生しなくなっていくのです。ないなら店を畳むしかない。

3が生んだニッチこそが、所謂ドレスアップの業界とチューニングの業界であると私は思っています。
だもんで、この二つは勘違いされやすいものだと思っているのです。
残念ながらドレスアップ(らくじぇありだの言ってるVIP系)は全く判らないので説明できないのですが、大体一般的理解は皆さんされていると思います。

最近はドレスアップという言葉では判らない、さらなるニッチがフルラッピングに代表される痛車だとは思いますが……こちらも詳しい方々に説明を譲るとして。


やはり私に一番近いニッチ業種であるチューニングについて少々弁明をさせていただきたい。

元々はチューニングという言葉通り、「改造」ではなく「整備」、恐らく知っている人間は40台も後半に突入しようとしているであろう「高速道路にあったスパナマーク」の意味。
車を動かすということが消耗するということ、車は巨大な消耗品の塊であること、常々「どのレベルまでの消耗を赦されるか」を見極めていないと「故障」と呼ばれる状態になるということ。
本当の意味で、車は消耗品であると言うことを知ること。
それがチューニングの始まりだと思うのです。
基準となる性能、それは多岐に渡ります。
タイヤ一本でグリップが向上し雨の日にハイドロして快適性を失う、とか。
基準から外れていきます。

車検整備という、ある、目で見える範囲に車を調整することで、国土交通省は公道を走って良いと見なし、車検証を交付することを赦します。

それは恐ろしく範囲が広く、余裕を持ってチューニングという行為により明確に、より精細に、そしてまさに「ニッチ」に、鋭く研ぎ澄ましていきます。

それは性能低下を赦しません。
いえ?当然、犠牲にするものがあります。通常「快適性能」と呼ばれるものを失うのです。
乗り心地、エンジンの騒音、風切り音、ミッションが立てるギア鳴り、ブローオフが立てる吐息、タイヤの蹴立てる鈍いロードノイズ。

ドレスアップは逆。
重量増加を厭わず、乗り心地をふまえた静音性などを重視するはずです。少なくとも車両の走行性能をアップさせるドレスアップは聞いたことがありません(気の利いたショップでは、重量増加を考えた格安のストリートパッドもラインナップしていると聞くが、当然ストリートで使う、ダストの少ない、鳴かない初期制動がノーマルよりも高いものでしょう。ノンアスベストにそう言うものがあるのは耳にしてます)。

そして最近ではどちらにも拝金主義的なショップがあり、高い金を出して性能劣化させたあげくとんずらするような連中がいるとも噂には聞きます。勿論噂であり、本当かどうか判りませんのでここでは言及しません。


問題はここに出した、性能を劣化させることです。

中古車市場に出回る出弾に、こういうのが混ざっているんですよね。
だから某ネット系中古市場での購入というのは素人にはお勧めできません。そう言う方はディーラー直系のオートテラスに向かって下さい(ホンダの店名なのはホンダしか知らないからです!)。
ディーラー系が信用出来るわけではないとこもちょいと問題なのですけど……少なくとも純正部品でくみ上げてくれるのでまだましです。そう言う保証や整備もあるはず。サービスも結構あります。

ちなみに私は、もう10年以上の付き合いになるショップ(大手。ニッチの大手で長いとこは有る意味安心感あります)が中身を見た車を購入してます。
今回も出自明らかで整備明細があり、もしかしたら過去に見た車(ショップに長く通ってたオーナーさんらしい)かつ1オーナの期間が長かった車両であることが一番の決め手でした。

CR-Xは前のオーナーの臭いが最後まで取れませんでした。
こちらの決め手は、リアハッチに増えていたスポット、それも段次で。スポット増しを自分でやったのか、適当な業者にやらせたのかは判りませんが。
ま、オーディオ回りも素人臭い配線(黒ビニールテープによる無理矢理な結線とか)、エアクリボックスのネジがねじ切れてたりとか、ミッション2速がシンクロにダメージがあったりとか自分でどうしようもない部分も多かったです。
それでも整備はほぼほぼ行き届いていたので、サーキットで振り回して遊べたのですけど(ほぼノントラブル、年式的な劣化を除く)。

そう言うことで、今回ビートを購入した一番の下支えはショップの整備の技術だったと言うわけです。
正直ぶっちゃけて店長と話せるし。以前おられた工場長にはもう少し長くいてもらいたかったですが……(スーパー耐久などで良く整備をしていた方らしい。私が大きく影響を受けた方の一人です。そういや、彼の奥さんもCR-Xに乗っていると嬉しそうに話してたのが最後の印象ですね)。

車は長い期間維持できるもの、ということと、国が財産として指定しているもの(軽を除きます)でもあるため、保有する=きちんと管理するということは必ず有るべきなんだと思います。


でもこういう考え方だから、自らがいる位置がニッチであることも充分理解した上で、私は思うのです。

車業界というのはニッチ産業が支えている。
ニッチがニッチを生み、そこにある金の臭いに群がる連中もいる。
であれば、本当に正しい事はなんなのだろうか、と常々考えなきゃならないんじゃないかと。


あなたがお金を払っている「もの」は、果たして本当にその価値があるのでしょうか。
あなたが埋める(存在する)「ニッチ」は、それがために誰かに迷惑をかけていないでしょうか。
車を運用するというのは、色々考えさせられるものです。
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