まだ梅雨明けして間もないのにもはや夏バテか。いかにもはやすぎる。ごろんとしてこれながめている。
『続紙魚放光 尾上蒐文洞追悼集』。
谷澤永一さんは「本好き人好き」に、≪戦後の四十年を通じて、大阪の古書界は、百貨店における即売会が中心であった。私も病膏肓(やまいこっこう)の身ゆえ、初日の開場時間午前十時に、同好の士とともになだれこむ。そのとき業者側からは蒐文洞翁が、大きな声と大きな身振りで、万遍なく歓迎の意を表する。一段落して獲物をせいりしていると、珍品おましたか、と覗きこむ、十一時に食堂街が開くのを待って、翁を中心にチクと一杯、その楽しみがなくなったのを、つくづく残念に思うのである。≫と書いている。
この本、驚いたのは装幀が湯川成一さんなのでした。
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