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2015年03月28日15:18

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ケータイ刑事 銭形舞

 クールの変わり目だったせいか、深夜に『ケータイ刑事』の傑作選を放送していて、その日は堀北真希の『銭形舞』だった。基本的にはゆるく見られるコメディなのだけれど、ゆるく見せるためには密度とテンポが鍵になるようだった。

 『銭形舞』の撮影現場で殺人事件が発生してそれをヒロインたちが調査するという、メタ・フィクションっぽいことやっていて、スタッフ本人が次々とカメラの前に顔を出してはなにやらやりとりをした後、殺したり殺されたりしていた。てことは渡邉睦月も出るのかもしれないけど、まだそのときは『恋空』の後のけっこう貫禄がついたというか、ふくよかなころしか知らなかったので、どうなるかと思っていたら、この当時はけっこう可愛らしかった。googleで検索したら最初に出てくる画像とほぼ同じぐらい。不規則でストレスのたまりやすそうな仕事だから、体形を維持するのは大変そうである。新人歌手発掘のときにはずいぶんフカシていたけど、あれは深夜番組出身の作家として、番組が要求するイメージへ過剰に適応してしまったということなのだろう、多分。

 この番組のスタッフはどういうわけか全員けっこうお芝居がうまくて、そのままやっても別にいいぐらいだったけれど、他の仕事もあるのだろうし、途中で役者さんたちと入れ代わっていた。渡邊睦月を引き継いだのが尾野真千子だったので驚いた。もちろん、『カーネーション』より前の下積み仕事である。

 堀北真希は文句なしにかわいい。まだ少女の、女性として成熟する手前の少し中性的な魅力もたたえていて、この後に『花ざかりの君たちへ』の男装姿で人気を博したのもうなづける。彼女はチャームポイントの一点突破で点数を叩きだすタイプではなくて、各パーツの絶妙なバランスでポイントを積み重ねるタイプだから、十台終盤の容貌が確定していく時期は危機ではあったはずである。しかし、その後はほとんど奇跡といっていいほど、理想的な経緯をたどったと思う。

 銭形舞を見てあらためて思うのは、彼女はいわゆる演技をしていないということである。ドラマの状況に応じて、視聴者が彼女にしてほしいという思う表情を作ってみせることが、その主要な職務になっている。いってみれば、状況依存型の拡張された顔芸とでもいうべきものである。再放送している『梅ちゃん先生』でもそうだし、その後でも変わっていないと思う。
 演技をしていないということでいえば、石原さとみなんかはもっと徹底している。彼女は深窓の令嬢を演じるにあたって、ただ声を低くするという大技ひとつですべてを乗り切ろうとするのである。なぜ恵まれた境遇に育った女性の声が低くなるのか、さっぱりわからない。そんなものはまったく成立していないはずである。ひょっとすると、落ち着いた話し方と声が低いことを混同しているのかもしれない。

 しかし、二人ともそれでいいと思う。むしろ、そうでなくてはならないとすら思う。彼女たちは演技なんかするべきではない。そんなことをすると、菅野美穂のようになってしまう。演技がオリンピックの種目なら、菅野美穂が日本代表でもかまわないけれど、自分が見ているドラマには出てくるのは勘弁してほしい。
「うまいのはわかったからさ、ほかでやってくれないかなあ」
 とか思ってしまうのである。

 せっかく生まれ持ったかわいさがあるのでから、余計なことに手を出して目減りさせることもないだろう。手に取るなやはり野に置け蓮華草、ということである。書いていて自分で、そういうことじゃないよなと思うけれど、そういうことにでもしておかないと終われないので、そういうことにしておく。

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