タイトルの本を読んでえらいおもしろかったわけです。
日本語の歴史についてときに奈良時代までさかのぼって論じているのですが、言葉というものは変わるものだということに深い感慨をおぼえます。つくづく思うのは、「美しい日本語」というものは幻想にすぎないということでしょうか。
続いて大正から昭和にかけての落語家の言葉などをまとめた本を読みまして、まだ売れないころの五代目古今亭志ん生なんかが出てくるわけですけど、この順番で読んでしまうと風俗史的な意味はあるだろうと思いつつ、おそらく著者がもっとも訴えたいであろう言葉の美しさということについては、さほどそそられません。
言葉やなにが美しいかの価値観は時代とともに変わっていくものであって、そこと切り離して特定の言い回しや仕種を持ち上げても仕方がない気がします。
おそらく、無常ということでいうなら、そうやってなにもかもが移り変わっていくことに美を見出すのが本道なのでしょうけれど、たいがいはただ「昔はよかった」という懐古趣味に陥りがちというか、それならまだよくて「昔のことを知っている自分が好き」みたいなところに回収されることが多いように思います。
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