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2010年06月01日23:01

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<ネタばれ注意>人は何歳になっても生まれ変われる(映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」を見て)

 仕事に追われ忙しく生活していると、なぜだか
理由が分からず自分がいつの間にかピリピリしている
事に気づく。だが理由はわからない。すぐに
答えが出ないものだからやり過ごしてしまう。
 就活、勉強に没頭しているあまり、周囲に冷たく
当たっている自分がいるのに気づく。
この感情は今置かれている状況では仕方がない事だと
自分に言い聞かせる。
 このような感情になった人は相当多いはずだ。
 
 この映画の主人公・肇(中井貴一)もそのような一人。
一流企業の中で出世街道をひた走り順風満帆の人生のように
見える。自分もそう思い込んでいた。だが奥さんと娘が
待つ家庭では何故か安らげない。二人の眼差しが
冷たい。だって自分が冷たく当たっているのだから。
それに気付かない肇。娘の倖
(本仮屋ユイカ)はただでさえ就活を間近に控え、
自分が追い込まれているのに、いつも冷たい父に
軽蔑の眼差しを送っていた。
上司からは工場を閉鎖する汚れ役を命じられるが、
同期の親友・川平からは
自分が置かれている立場を全く理解してもらえない。
自分でも気付かないイライラがつのる。

 そんなある日、田舎の母が病に倒れたとの知らせが
入る。医師のよると余命が幾ばくもないらしい。
不幸は続く。川平が事故で亡くなったのだ。
 親友を亡くし、最愛の母の死に直面し、
肇は49歳にしてやっと自分と向かいあった。
そして出した答えが、自分が幼い頃夢見ていた
地元の鉄道の運転手になる事だった。
 上司はもちろん家族までもが驚きを隠せない。
 しかし、肇の決意は固かった。一流企業を
あっさり辞め、地方の小さな鉄道の入社試験を
受ける。周りは若い人ばかり。しかし、肇は
泣き言や文句を一言も言わず、運命を嘆かず、
年齢を言い訳にせず、筆記試験や実技試験を
こなし、見事合格する。
 いつもピリピリして眉間に皺を寄せ
曇り顔で、冷たいロボットのような肇は
もうそこにはいなかった。
 表情が生き生きと輝き、いつも笑顔を
絶やさない血が通った、責任ある頼もしい
仕事人・父親の顔に変っていた。
 肇を軽蔑していた倖だが、生まれかわった
父を見て喜んだ。そして、父の姿を見て
自分の将来とちゃんと向き合おうと思うようになる。

 自分が当初思い描いたような人生を送る人は
稀だろう。ほとんどの人が、何らかの妥協をしたり、
諦めたり、方向転回したりして、自分の思い描いた
人生とは全く違う人生を送っている。
 そんな中で大切な何かを見失う人も多いように思う。
出世やお金のために、周りの人や家族させも
犠牲にしてしまう。しかも、本人は大切な
何かを失った事を全く気付かない。
 しかも自分が当初抱いていた夢や目標にも
蓋をして、心の底に追いやってしまう。
 
 サラリーマン時代の肇はそんな我々そのものだ。
 観ている者全てに生まれ変わった肇を通して、
家族の絆の尊さ、
周りの人たちへの感謝、夢や目標を持つ大切さ、
自分らしく生きる事への誇り、
仕事をするという事の意義、
自分が生まれ育った故郷への愛情等、
心の底にしまいこんで忘れていた感情や
思いを呼び起こさせてくれる。

 この映画を見たら、人生どんなに妥協していても
方向転換していても、何歳からだって生まれ変われるさ、
という勇気を貰えるような気がする。

(終わり)
 
 
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