mixiユーザー(id:809109)

2009年12月14日03:44

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が〜まるちょば。

  



湯のみ 先々週の “笑点” だったか、

   が〜まるちょば

という2人組のパントマイムを見た。ごっつ、面白かった。いわゆる、旧来のパントマイムから、一歩飛び抜けた芸である。

   …………………………


湯のみ “が〜まるちょば” なんて名前だと、ガゼン、由来が知りたくなる。オフィシャルサイトを見ると、

   グルジア語で 「こんにちわ」 の意味

と書いてある。にれのやの血が騒ぐ。

   …………………………


湯のみ グルジア語で 「こんにちわ」 を、

   გამარჯობა gamarjoba [ ガマルヂョバ ]

と言う。これはよろしい。しかし、

   マルチョ

ではない。グルジア語ははっきりとしたアクセントを持たない。だから、アクセントのある音節が長く発音される、というような性質はない。また、「ヂョ」 であって、決して 「チョ」 ではない。おそらく、

   コンビ名としてアッピールするように、アレンジしたもの

と見える。

   …………………………


湯のみ フシギなことに、彼らは、アルファベットでコンビ名を綴るときには、

   Gamarjobat

としている。「チョ」 を正しく J で綴っているではないか!

湯のみ それと、奇妙なことに、カタカナ名にはない、語末の -t を付けている。

   …………………………


湯のみ グルジア語の 「こんにちわ」 は、世界でも珍しい由来を持つ。

   「勝利!」 “Victory!”

という名詞を口にするのである。なぜなのかはわからない。グルジア語には格変化があるが、Gamarjoba というのは、主格、もしくは、呼格 (呼び掛けの格) であるから、

   「あなたに勝利を!」 というような意味ではない

のだ。単に、

   「勝利!」

と言っているだけである。もっとも、「勝利」 という名詞は、

   გამარჯვება gamarjveba [ ガマルヂヴェバ ]

である。 -jveba で音縮約が起こり、 -joba となったのだ。挨拶で音縮約が起こるのはフシギではない。コトバというのは、日常、よく使うものほど、早く擦り切れる。

湯のみ 「こんにちわ」 が 「こんちわ」 になるのと同じだ。しかし、「ガマルヂョバ」 と言うのは挨拶の場合だけであって、「勝利」 という名詞は、あくまで、「ガマルヂヴェバ」 である。

   …………………………


湯のみ “が〜まるちょば” が Gamarjobat というぐあいに、-t を付けているのは、必ずしも間違いでもない。

湯のみ これは、2人称複数の語尾なのである。つまり、複数の相手とか、あるいは、1人でも尊敬語の意味で、「ガマルヂョバット」 と言うのだ。

湯のみ しかし、この語法、正式には誤用であるらしい。-t という語尾は、あくまで動詞に付くものであって、名詞に付けてはいけない。にもかかわらず、グルジア人は実際に使っているそうだ。逆に、gamarjoba という単語に 「勝利する」 という動詞の意味がある、としてしまう辞書もある。事実の追認である。それにしたがうと、

   Gamarjoba 「あなたは勝利する」
   Gamarjobat 「あなたがたは勝利する」

となる。

   …………………………


湯のみ 奇妙なことに、グルジア語では、「さよなら」 にも “勝利” を使う。

   გამარჯვებით gamarjvebit
          [ ガマルヂヴェビット ]

と言う。これは、gamarjveba “勝利” という名詞の 「具格」 である。これは、「〜によって」 という手段や道具をあらわす。つまり、

   グルジア語の 「さよなら」 は、
   「勝利によって!」 と言っている

ことになる。「勝利によって、何をどうするのか」 はよくわからない。「さようならば」 何であるのか判らないのに似ている。
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