mixiユーザー(id:14438782)

2009年11月02日20:59

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「よろしかったでしょうか」

 気になる日本語の表現を取り上げ、それを一般的に定着した言葉として扱っていいかどうか、スタジオに集まったタレントと観客で判定する番組をちょっと前にNHKで放送していました。
 「よろしかったでしょうか」はそこで取り上げられた言葉の一つです。コンビニやファミレスなどで客に確認をとるために使われているようです。
 「よろしいですか」は直接的すぎるため、話し手の気分としてそこにうすい衣を一枚かけてへだてたいというのもわからなくはありません。しかし、いささかこなれない表現であることも事実でして、スタジオの反応も否定派が圧倒的でした。
 もっとも、学者によると文法的には正しいそうです。たしかにあえて時制をずらし遠まわしに言及することで仮定・婉曲・尊敬表現にすることは英語にもあります。洋の東西を問わず一般的な言語の生理かと思います。

 ただ、「よろしかったでしょうか」に敬語としての用法があるから、この表現が文法的に正しいというのは、ちょっと厳しい理屈のような気がします。なんとなれば、敬語というのは話し手と相手の関係に依存するものでして、敬語表現だからどこで誰に使ってもいいというものではないからです。
 つらつら思うに、問題なのはこの表現が正しいかどうかなのではなく、日本語の敬語表現がパートタイムのサービス業従事者との関係を想定していなかったからではないでしょうか。あるいは、既存の日本語が想定していなかった関係が顕在化されてきたというべきか。
 デパートの店員よりは打ち解けて、しかし、街の小売店のおばちゃんほど個人的な話題には立ち入らない、そういう関係にまだ日本語がうまく対処できていないことが原因になっていると思います。
 最終的にどこに落ち着くかですが、番組によると関東では各チェーンが「よろしいでしょうか」を使うことで統一しつつあるそうです。このあたり、単純に話し手のの慣れの問題ともいえるので、こちらが定着する可能性はあります。一方、どれだけ違和感があってもここまで広まったものはなかなかすたれないので、「よろしかったでしょうか」がこのまま安定する可能性もあります。いまから新しい表現が作られて広まる可能性はもうないでしょう。

 この番組はNHKがたまにやる番組たまご(プロトタイプ番組の試作放映)の一つだったらしいのですが、もうちょっと見てみたいなと思いました。

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