広島には『むさし』というチェーンがありまして、うどんとかおむすびとかお団子とか、そういったものを販売しています。
もう一昨年になりますか、帰省した折にここでうどんを食べたら、やたらと麺がやわらかくて驚きました。広島出身の神足裕司が書いているように広島はうどんについては関西文化圏に属しています。つゆが澄んでいるのは憶えていたのですが、麺のやわらかさに驚いてしまったのは、気づかないうちに自分が関東のうどんに慣れてしまっていたのでしょう。
ちなみに高知出身の西原理恵子は郷里のうどんについて「だしはじゃこだしで最高、しかし、麺にはコシというものがない」といった感じで書いていました。高知もうどんは関西に属するようです。
しかして、なぜに本来的に関西文化圏に属する香川の讃岐うどんはコシが強いのか。
かつてネット上で「関東のうどんは麺がメインだが、関西のうどんはつゆがメイン」とあるのを読んで、えらく納得した記憶があります。個人的にはさらに進めて、関西のうどんは汁の具と捉えるのが妥当な気がしています。
きつねうどんとかやくごはんといえば、「炭水化物で炭水化物を食べる」と揶揄される組み合わせですが、かやくごはんをごはんとおかず、うどんを汁と考えれば、定食として最低限の体裁を整えているといえます。一方、コシの強いうどんは主食かそれに準じる存在といえるでしょう。うどんのコシが強いのは、降雨が少なくて米作の適地でないなどの理由により、小麦の生産が盛んな地域です。主食としては、それなりに食べごたえがあって腹にたまることが必要になります。
関西風と関東風、なにかと比較される両者ですが、実は同じうどんでありながら、そもそも食事のなかでの位置づけが異なるのではないでしょうか。
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