臆病な蛇(ouroboros sleeping)剣よりも強しとひとは讃ふれど争ひも餓ゑも救へぬ無力に言霊に力ありせば朽ちざらまし昨日の誓ひも明日の理想も伸ばす手に虚空のみ攫(つか)みえし君の歯噛みとため息けして忘れずこんなにも刃毀れせる武器振りあげて兇器に勝
言葉咲(わら)ひて(no words no world)隕鉄に匿さるる言(ロゴス)ふつふつと原初の宇宙の祈りとどめて“Far-off days”無表情なるテキストに息吹与へし遥けき日々よ食べられぬかぼちや 付焼き刃の英語 菓子ねだる児らは米軍の街に唇を喰ひしばり呻きこ
挽歌いくたび(calling you calling me)恋のみち手ほどきせむとや鶺鴒(せきれい)のわけ知り顔に先を駆けゆく唇にふるる霧さめしづもりて雨名月の光(かげ)のしんしん記憶らは骨を晒して墓標たりかつて流れし心の血も絶え碧落に残されし暑気のかぎろひて秋
神性の背理(nocturne by electric cicada)眼(まみ)凝らし波を覗けば見えやうかうねる黒潮 龍の如くに地平より曙光一箭夜を射(う)てり蝉の音(ね)押し寄せたひらぐる夏滴りし汗は地瀝青を撃つもたちまち気化す 無力なりけり末世の如く昏(くら)かる