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2017年04月21日00:25

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い…いつもと違う?

通りがかったいつもの通勤路の書店。
上下巻手にとって著者名を確認して、一寸驚いた。
エンタテインメントミステリーというイメージしかない、あの松岡圭祐が突如歴史小説。
そしてその内容は、なんと、あの北京の55日。
義和団の乱がテーマ。

フォト フォト

日本が、今の日本になっていった重要な時期、この辺りの時代、学校の授業には殆ど出てこない。
これは読むしかないと上下二冊を入手。

通勤電車と布団の中、上巻を読破し、現在下巻前半まで読み進んだ所。

北京の55日、義和団の乱は1900年6月20日に勃発し、1901年9月7日終結した、中国清朝末期の動乱。義和団事件ともいう。

義和団…つまり狂信的な民衆蜂起が起こったのは、
はっきり言ってしまえば「地大物博(※)」と言われ、他国に一切頼らずに全てを自国内でまかなえる豊かな、しかし(日本を含む西欧から見て)未開の地。
(※広辞苑にはない。大地雄大にして物遍く存在すというような意味か?)

中国は当時の植民地政策を採る軍事的先進国から見ればなんと美味しい資源だったわけだ。

その溢れる資源を独り占めしたい西欧列強の侵略以外の何物でもなかったのだが…

そもそも何でも国内で揃うので特に外国から手に入れたいモノがない中国を阿片でヨイヨイにして旨い汁を吸い尽くそうと考えた大英帝国がそもそもの始まり。

既に大清国は(1894明治27年)7月から1895年(明治28年)3月にかけて朝鮮半島(李氏朝鮮)をめぐり大日本帝国との戦争(日清戦争)を行っており、新興国となめてかかった大日本帝国に負けてしまったが為、もはやヨレヨレとなっていたのである。

北京の55日…義和団の乱、大清帝国滅亡の引き金となったこの戦争は、当初義和団を称する秘密結社による排外運動であったが、1900年(光緒26年)に西太后が反乱を支持して欧米列国に宣戦布告し、「乱」とか「事件」というレベルではなくなってしまう。
既に疲弊しきっていた清国はこの辺りから一気に滅亡へと向かうのである。

義和団の乱鎮圧のために列強各国それぞれが出兵したが、その中で日本と非常識なロシアの対立が顕在化していった。
日露戦争の遠因である。

私の大好きなマックイーンの隠れた名作、砲艦サンパブロ』(The Sand Pebbles :1966年)はこれよりも一寸後、南京事件(1927年)あたりの中国を舞台にしている。
もはや、国民革命軍と共産党がぐちゃぐちゃで国としての程を成していなかった時代の中国である。
この後、1937年(昭和12年)の日華事変から大東亜戦争へと戦渦は広がって行くのである。
中国四千年(五千年ということもある)の歴史、戦火にまみえていない最近の数十年と言うのは非常に希な期間なのであった。

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しかし、何故今突然柴五郎なんだ?

海外では名高く、国内では余りその名を知られない「英雄」。
映画“北京の55日”では確か伊丹十三が演じていたはず。
映画ではほんの脇役だったが、史実では風雲急を告げる北京東公民巷の主役だったという。
54年前に作られたハリウッドで作られた義和団の乱作品はまさに、開拓者を襲う冷酷無比なインディアンを蹴散らす勇猛果敢な騎兵隊…という娯楽西部劇なのである。

ハリウッド大作では殆ど存在感がなかった柴五郎。
本作では物語前半、その英雄は八方美人的昼行灯として描かれる。
が、筆致からして、実はそれは違うだろ?と言う展開が待っていることが読み取れる。

物語中盤、胸を熱くするシーンもあるが、泥沼の籠城戦に突入する。
そして、柴五郎はその非凡さと指導力を存分に…

お話は史実を下書きにしているが、かなり面白く創作された物語なのだろう。
さて、この後史実を題材にミステリー作家はどう落とし前を付けるのか。

それはともかくとして、文庫書き下ろしの腰巻きの煽り。

『今こそ読むべき日本の快挙!』(上巻:元防衛大臣石破茂推薦)

いま、この時期に「日本人は凄かった」「日本人は立派なのだ」と言うそんな煽り。
はっきり言って胡散臭く、余り良い気持ちがする物ではない。

いや、柴五郎その人は確かに立派な人だったのだが…

黄砂の籠城(上)(講談社文庫)松岡圭祐(著)
文庫: 320ページ
出版社: 講談社 (2017/4/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062936348
ISBN-13: 978-406293634

北京の55日
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