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2012年08月16日15:57

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ミトコンドリア系と解糖系 その3

 
     ビタミンB1がないと、ピルビン酸はミトコンドリアに入れない

  安保さんの著作を辿りながら、細胞の中で行われるミトコンドリア系の有酸素エネルギー発生と解糖系の無酸素エネルギー発生の違いや役割分担についてみてきたのですが、ひとつ大切なことが抜け落ちています。これは安保さんの著作自体でも触れられていないことなので、書いておきたいと思います。

 細胞のエネルギー源となるブドウ糖が細胞の中に入ると、まず細胞質溶液のなかで醗酵に似た解糖プロセスを受け、1個のブドウ糖が2個のピルビン酸に分解されますが、ここでもし充分な酸素とビタミンB群(とりわけビタミンB1)があると、ピルビン酸はアセチルCoAのかたちでミトコンドリアの中に取り込まれ、クエン酸回路がまわり、さらに上記のプロセスで発生した水素を利用して電子伝達系をまわし大量のエネルギー(ATP)を生み出します。

 安保さんの本で言及されていないのは、ビタミンB群のことです……ミトコンドリア内での燃焼にはもちろん酸素が必要となるのですが、いくら空気がたっぷりあっても薪がなければものは燃えないのと同じように、解糖系で産生されたピルビン酸が、アセチルCoAとなってミトコンドリア内部に入らなければ、エネルギーが作られないだけでなく、ピルビン酸がどんどん乳酸に変わり、血液を酸性化し、乳酸アシドーシスという事態を引き起こしてしまいます。エネルギーの元がミトコンドリアの手前まできているのに入ってこない状態です。

 ピルビン酸がアセチルCoAとなってミトコンドリアに入るためにはビタミンB1を中心とするビタミンB群(ビタミンB2、パントテン酸、ナイアシンも関与する)の働きが必須なのですが、この仕組みをよく理解していない医者たちによって、高いカロリーの点滴を受けながら、乳酸アシドーシスを起こして死亡した患者さんや、ウェルニッケ脳症などを引き起こし記憶障害になってしまった患者さんが多々あります。

 ミトコドリアにおけるエネルギー産生をしっかりサポートしたいならば、ブドウ糖などの栄養補給はもちろん必要だけれど、充分な酸素とビタミンB群がないと、とりかえしのない事態を招きかねないこともあるので 要注意です。(なお、ビタミンB群の吸収にはナトリウムや葉酸などが関わるため、極度の減塩やアルコール類の飲み過ぎなどがビタミンB群の吸収を妨げることがあることも押さえておきたいポイントです)

 ビタミンB不足による乳酸アシドーシスのメカニズムを知らないと、とんでもないことが引き起こされかねないのですが、医者でもこのメカニズムがわかってない人がいるので自分や家族を守るためにも知っておきたい知識のひとつです。

 とくに今から引用する三石巌さんの文章を読めばわかるように、1992年以降、ビタミン類が保険対象から外されてしまったという医療保険制度上の問題もからんできますので、押さえておきたいことがらです。

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  『医学常識は嘘だらけ』三石巌著:序章 医学は科学にあらず より

   点滴が原因で重度の記憶喪失に

  平成8年、医療過誤が原因で、ウエルニッケ脳症になった男性のドキュメンタリー番組を見た。この男性は39歳で、胃の手術をした後、高カロリー輸液を点滴で受けた。ところが、医者が輸液に必要なビタミンを入れなかったため、術後2か月で発症してしまう。

 ウェルニッケ脳症の記憶障害は、前向健忘といい、新たな記憶が十数分しか、頭に残らないのが特徴である。記憶には、数字や字を覚える記憶や、折り紙の折り方を覚える技術的な記憶などいろいろあるが、ウェルニッケ脳症の場合は、エピソード記憶がすぐに失われてしまう。

 たとえば、この男性は買い物に行く道順はわかるのだが、数十分すると買い物に行ったこと自体を忘れてしまうのである。毎朝、自分が記憶障害になったことに“初めて”気づき、息子の姿を見て「突然、背が伸びた」と驚く様子が、テレビに映っており胸が痛んだ。

 強度のつわりや内臓手術などで食事が摂れず、栄養剤の点滴を受けた患者がウエルニッケ脳症になった例は日本では20例を超えるらしい。なかには亡くなった方もいる。妊娠中に発症したある女性は、発症後に長男を出産したが、その記憶さえ失われ、子どもに愛情が持てないという。

 あなたはこの忌まわしい出来事をどう捉えるだろう。なぜ、医者が点滴にビタミンを入れなかったのだろう。

 これこそ医原病の最たるものである。医者の無知が、人を重病にさせ、命を奪うことさえやっているのである。無知な医者は、点滴の使い方すらわかっていない。必要なときは点滴にビタミンを入れると使用書にすら書いてあるのに、その判断もつかないのである。

 そしてその背後には、厚生省の犯罪もある。1992年に、医療赤字を抑えるため、ビタミン投与は原則的に保険適用から外してしまった。それによって、億単位の赤字が埋まるという話である。

 たしかに、食事で栄養を摂取できない患者へのビタミン投与は、適用対象になっている。しかし勉強不足の医者は、患者にビタミンを使うなら自費だと告げる。患者の方はまさかビタミンを入れないことによって、自分が重病になるなど思いもよらないことだろう。保険の適用外なら、使わなくていいと言う人も出てくる。そして、悲劇が起こるのである。

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 ちなみにアメリカでは、1日に高カロリー輸液と共に300mgのビタミンB1を入れていますが、日本では1/100の3mgということのようです。

 
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