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2009年08月13日14:06

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フラート(ふと気を引きつけるもの)

 ミンデルが提唱しているレインボー・メディスンというのは、現行のモノトーンで一次元的な単色の医療にとって代られるべき未来の医療の代名詞です。

 それは日常の合意的現実(社会的ルールや、科学的な法則が支配する主客の分かれた、因果論的な固いイメージの世界)と、夜見る夢やファンタジー、あるいは音楽やダンスのように、流動的で、不合理な世界……そしてさらにその奥にある微かな気配のようなもの、微妙な傾向性、ガイドする沈黙の力の領域を自在に行き来して、その全体バランスを取りながら、大いなる流れに従ってゆく生き方へと変換してゆくヴィジョンでもあると思います。(レインボー・メディスンは、現行の単色の医療を排斥するのではなくて包含し、多様なサイコセラピーや代替医療も含みながら、さらなる深みを扱う多次元的な医療アプローチを提案しています)

 ある意味でシャーマニックでもあるこうした多次元的な生き方にチューニングし、自らの感覚を鍛えてゆくには、ほんのわずかの気配のようなものに敏感になってゆくトレーニングが求められてきます……
 
 何気なくふと気を引くような気配、傾向性を、ミンデルは「フラート」と呼んでいます。ミンデルは「アウェアネスは身体の素粒子領域と相互作用する」という仮説を述べていますが、このフラートの次元は、身体の素粒子が渦巻いている微細な量子的領域と相互交流する可能性を秘めているかもしれないということです……。

 ちょうどこのあたりの微細な感覚について、河合隼雄さんと茂木さんが対談(『こころと脳の対話」)のなかで触れていますので、ちょっと紹介しておきたいと思います。


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茂木:

 どうも「気に懸かる」というものについて、われわれの脳科学だと、アテンション(注意)という言葉はよくいうんですね。でも、そのアテンションという意味と、どうも気に懸かるというニュアンス、なんかちょっと違いますね。

河合:

 違うんです。アテンションというのは、まさに方向をもっている。意識としてパッと方向をもつわけでしょう。しかし気に懸かるというのは、ふっとこう出てきますね。自分の今の意識とは関係ない、違う方から出てくる。ですから、気に懸かるものというのは大事にした方がいいんですね。

 フロイトの有名な言葉で、クライアントの人がこられて、お話を聞いているときは「平等に漂える注意力をもって」といいます。英語でいうと「フリー・フローティング・アテンション」。これはパラドックスなんです。なぜかといえば、アテンションというのは方向をもっているわけです。でも、それをもたないアテンション。だから、やっぱりさっきいわれた『五輪書』なんかと一緒ですよ。相手のどこかに注意したらあかんというのと一緒で、全体に、平等に注意を向けている。そうしていてふっと気になるもの、それがやっぱり大事なんでね。そういうふうに考えたらいいと思う。


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第一層:因果律が支配する、日常的な合意的現実の領域、医療的な診断など。
第二層:不合理な夢・イメージ、身体感覚、音象が渦巻く、流動的な領域
第三層:沈黙(ドリーミング)から湧き出てくる微かな気配、フラートの領域

 これら三つの領域は、そのまま頭・ハート・ハラへと置き換えることも可能なのですが、ミンデルのプロセスワークが面白いのは、多様なチャンネル(視覚・聴覚・身体感覚・動作・関係性など)を通してドリーミング領域からシグナルが送られてくるプロセスを繊細な感覚で随時キャッチし、そのプロセスの展開を巧みにフォローしてゆくところにあります。(なので決してマニュアル的にはならない)

 たとえば、昨日Bhumika がアップした身体症状に働きかかけるワークの体験談なども、ぱっと読まれた感じでは、多分に因果的な理解のされ方をしてしまう恐れがあるかもしれません。

 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1252916725&owner_id=3464744

 けれども実際ワークを体験された方はわかるように、結果を振り返ってみるとあたかも明瞭な因果関係があったかのように見えるかもしれないけれど、プロセスを辿っている最中に起こっていることはむしろ因果関係の崩落といってもよいものであり、まさにそこが量子力学的なアプローチの醍醐味だと言えます。





 
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