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2009年05月31日09:26

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吉村英夫『ヘタな人生論より「寅さん」のひと言』

サブタイトル:人間にとって本当に大切なものって、なんだろう?

いいねぇ。やっぱ俺、寅さん(映画)大好きだよ。全部見たことあるわけじゃないけど、「寅さん(映画)」が言いたいことは俺は解っているつもり。

俺のお気に入りを引用しよう。

---- [start] quotation ----
|寅「おう?………手前さしづめインテリだな。…あ、そうか、
|  そのインテリが暴力を振るったわけだ。ヘーエ!たいしたもんだ、
|  蛙のションベン、見上げえたもんだ屋根屋のフンドシだよ」

|(2)『続・男はつらいよ』

「手前さしづめインテリだな」とそれに続くナンセンス言葉で観客は爆笑ないしは苦笑する。
---- [ end ] quotation ----

俺、爆笑だな。わーい(嬉しい顔)

---- [start] quotation ----
|寅「川が流れております。岸辺の草花を洗いながら、絶ゆまず流れ続ける
|  川を眺めますと、何やら私の心まで洗い流される気がしてまいります。
|  そうして、いつしか思い起こされるのが、私の餓鬼のころのことで
|  ございます。私は川のほとりで生まれ、川で遊び、川を眺めながら
|  育ったのでございます。祭から祭へのしがない旅の道すがら、
|  きれいな川の流れに出会いますと、ふと足を停め、柄にもなく
|  もの悲しい気分になって川を眺めてしまうのは、そのせいかも
|  知れません。今頃、故郷に残した私の肉親たち、たった一人の妹さくら、
|  その夫の博、息子の満男、おいちゃん、おばちゃんたちは
|  どうしているのでございましょうか。――そうです、私の故郷と
|  申しますのは、東京は葛飾柴又、江戸川のほとりでございます」

|(44)『寅次郎の告白』

リズム感のある美文調での素晴らしい語りである。渥美清から発せられる口上は、もはや名人芸である。
---- [ end ] quotation ----

いいねぇ。わかるなぁ。俺も荒川のほとりで生まれ、江戸川で遊んだからなぁ。川が大好きだぜ。

---- [start] quotation ----
結局、寅の恋心は実ることがない。寅は失恋するが、失恋を予感する感覚は冴えている。千里も先の針の音を聞き分ける鋭さで、みずからの恋の行く末を感じ取る。

|寅「お嬢さん、お笑いくださいまし、私は死ぬほど
|  お嬢さんにほれていたのでございます」

|(1)『男はつらいよ』
---- [ end ] quotation ----

ぐはぁ〜っ。><
これはたまらん。涙失恋

---- [start] quotation ----
|満男「人間は何のために生きてんのかな」
|寅 「難しいこと聞くな、お前は。…何と言うかな、あー生まれて来て
|   よかった――そう思うことが何べんかあるだろう。そのために
|   生きてんじゃねえか」

|(39)『寅次郎物語』

「あー生まれて来てよかった」と思えるような人生を築く。山田洋次の人生観の根本だろう。山田は、人間は幸せに生きる権利もあれば義務もあり、政治や経済、すなわち社会や国家は、個人が幸せに生きる権利を支援し保障すべき義務をもつという観点を堅持する。
---- [ end ] quotation ----

「あー生まれて来てよかった」と思える瞬間って、俺には結構沢山あるな。俺は幸せ者だと思う。

---- [start] quotation ----
|満男「何のために勉強するんだ」
|寅 「むずかしいこと聞くなって言っただろう。…つまり、何と言うか、
|   人間長い間生きてりゃいろんなめんどうなことにぶつかるだろう。
|   そん時俺みたいに勉強してない人間はいい加減にサイコロ振ったり
|   気分で決めたりするしかないんだ。それが、勉強した奴はな、
|   自分の頭でキチンと筋道をたてて、どうすればいいかってことを
|   考えられるんだ。そのために大学に入るんじゃないか。――あー、
|   慣れないことを考えたら頭痛くなって来た」

|(40)『寅次郎サラダ記念日』

「キチンと筋道をたてて」論理的思考を貫くことは、論理が錯綜し、上面の感覚だけが重宝されたり、詭弁的なものがまかり通るいまの時代には重要である。筋道を通すことは、いま日本人に求められるもっとも重要な課題かもしれない。寅の支離滅裂自由自在思考も尊重しなければならないことはあるが、肝心要では論理性や人間の尊厳や社会的普遍性が決め手となってくる。
---- [ end ] quotation ----

これは、すげぇ。すげぇよ。そうだよな、寅さん。かっけぇなぁ〜、寅さん。

この本電車の中で読んでいても、ちょくちょく涙が湧いてきた。飲みながら読むのにも最適だ。これからもよろしくだ。


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